Japanese
FoZZtone
2012.10.27 @東京キネマ倶楽部
Writer 沖 さやこ
“Disc physical”と“Disc mental”の2枚組でリリースされたFoZZtoneの『INNER KINGDOM(内なる王国)』。Disc mentalである組曲“Pageant : Keller Water”に、第三部は収録されていなかった。この完成披露会では、謎に包まれていたその内容が明らかに。この日、本当の意味で『INNER KINGDOM』が完成する。
赤で統一された内装が特徴のキネマ倶楽部に、色とりどりの布が宙を漂う。物販にはこの布と同じく、カラフルな色合いのボンフィンが売られていた。モニターや楽器、アンプもアジアン・チックな布で包まれている。“カラフルな服で”というドレス・コードの通り、鮮やかな洋服を身にまとった観客で溢れる。入場時頂いたパンフレットの中身は渡會将士(Vo/G)のイラストによる“Pageant : Keller Water”の絵本。この日のライヴは特別になるだろう――そんな予感を開演前から感じている人は多かったはずだ。
「prologue」をSEにして、それぞれ趣の異なる衣装に身を包んだメンバーが登場。その流れから「Discommunication Breakdown」「Keller Water」と“Pageant : Keller Water”の世界を辿ってゆく。第一部が終わると、インタールード的なSEが。MCなし。フロアから拍手は起こらない。だがその厳かな静寂からは、音のひとつひとつをかみ締めるように聴き入る“気合い”が感じられる。その緊張感と呼応するようにシリアスに鳴り響く「Crocodile bird reaction」と「Planaria fever」。ブルージーな竹尾典明(Gt)のギターが切なくクールに鳴り響く。内向的な世界から一転、広大な野原にいるような開放感の「El Condor Pasa」、渡會のアコギ弾き語りで幕を開ける「your song for new morning」は足元の間接照明だけが点され、菅野信昭(Ba)もアコギを構える。美しく静かに重なる4人のハーモニーに、胸の中が浄化されてゆくようだった。オルゴール風のインタールードは徐々に激しさを増し、第三部へ。KING CRIMSONの「21st Century Schizoid Man」だ。芯の通った熱いヴォーカルと骨太のグルーヴは、より鋭利に駆け抜ける。すると突如「Discommunication Breakdown」、マイナーに転調した「Keller Water」、テンポを上げた「your song for new morning」を挟み込み、再び「21st Century Schizoid Man」へ。激動のサウンド展開に息を飲む。その後の「professional car」はちょっぴり切ないけれどあたたかいナンバー。激しさと穏やかさが同居する第三部。その目まぐるしさに、しばらく放心状態だった。
第四部「african diabolo」では、4人でリズム合戦。菅野も竹尾も打楽器を構え、渡會もスルドを体にぶら下げ、リズムを刻む。祭囃子のような拍子を入れるとフロアからは笑みが零れ、そこから徐々に歓声が沸き始め、クラップが起こる。菅野がホイッスルを吹き始めると4人の笑顔もどんどん晴れやかに。それに波及するようにフロアも笑顔に溢れる。渡會が全身で歌を振り絞る「Africa」。ラストにフロアへ金テープとボンフィンが放たれ、多幸感に満ちたラストがより鮮やかに彩られた。
『INNER KINGDOM』のインタヴュー時、空白となっていた第三部の内容について訊いた。だが、それまでいろんなことを話してくれた渡會が、それについては“去年(2011年11月5日に東京キネマ倶楽部にて行われた「組曲 白鯨」ライヴ)同じようなことをやったから、またやろうかなって”と言葉少なめだった。第三部を収録しなかった本当の理由――それはアンコールでひとりステージに戻ってきた渡會の口から、直接フロアへと届けられた。『INNER KINGDOM』のレコーディング中、自身の母親が病気で倒れたこと。レコーディングの合間を縫ってお見舞いに行ったこと。普段ならメールで済ませるようなことも、実際に会いに行って伝えたこと。衝突も喜びも、Face to Faceで起こるものは納得できるということ。Disc physicalとDisc mentalの2枚を作ったが、Disc mentalもPhysical=具体的なコミュニケーションが大事だという結論に至ったこと。「Africa」は病と闘う母への激励の曲だということ。だがアルバムが完成した頃に、母は他界。それを受けて渡會はこのアルバムを“未完成”でリリースさせてほしいとメンバーに頼んだ。未完成のアルバムを引っ提げた全国ツアー、出会ったリスナーたちは体を躍動させ、満面の笑みでFoZZtoneを歓迎した。それは紛れもなく『INNER KINGDOM』の導いた答えだった。“只今をもちまして、完成とさせていただきます”と渡會が告げると、場内は大きくあたたかい拍手で溢れた。
「LOVE」で渡會はフロアへ乱入。観客と実際に触れ合い、フィジカルなコミュニケーションを体現する。ダブル・アンコールでは来年10周年を迎えることに触れ“未来に向けてロックンロールしていきたい”と語り「MOTHER ROCK」。ツアーでは封印されていた、終盤のスタジアム・ロック調の展開も堂々と披露した。終演後、渡會は“へとへとで立っているのもつらい”と苦しそうに笑っていた。それだけ自らの肉体と精神を削ったステージだったのだ。文明の発達により顔を突き合わすコミュニケーションが減り、心や感情が伝わりにくくなっている世の中。それに警鐘を鳴らすように、FoZZtoneは『INNER KINGDOM』で音楽の具体性を追求し、リスナーたちの力を融合させ、この大作をとうとう完成させた。バンドとリスナーが導いたこの答えは、非常に真っ直ぐで、強く美しい“LOVE”だ。
- 1
LIVE INFO
- 2025.12.12
-
Hump Back
Chimothy→
崎山蒼志
VII DAYS REASON
LiSA
Another Diary
凛として時雨
TOMOO
Nikoん
BIGMAMA
PENGUIN RESEARCH
moon drop
ねぐせ。
私立恵比寿中学
くるり
PEDRO
サカナクション / Creepy Nuts / 羊文学 / ちゃんみな ほか
flumpool
the shes gone
VOI SQUARE CAT
SAKANAMON / Broken my toybox / SPRINGMAN / KEPURA
BRADIO
ザ・クロマニヨンズ
僕には通じない
LONGMAN
- 2025.12.13
-
MONOEYES
"DUKE×GREENS presents わちゃごなどぅ -whatcha gonna do-"
ぜんぶ君のせいだ。
VII DAYS REASON
Vaundy / THE ORAL CIGARETTES / sumika / マカロニえんぴつ ほか
UVERworld
eill
フラワーカンパニーズ
LITE
DURAN
SHERBETS
清 竜人
ポルカドットスティングレイ
moon drop
Nikoん
石崎ひゅーい
吉井和哉
9mm Parabellum Bullet
Cody・Lee(李)
flumpool
東京スカパラダイスオーケストラ × HEY-SMITH
[Alexandros]
Appare!
秋山黄色
藤沢アユミ
キタニタツヤ
THE SPELLBOUND
- 2025.12.14
-
downy / toe / unripe / aieum
(sic)boy
VII DAYS REASON
LiSA
ねぐせ。
10-FEET / クリープハイプ / go!go!vanillas / Saucy Dog ほか
UVERworld
ぜんぶ君のせいだ。
Devil ANTHEM.
フラワーカンパニーズ
TOMOO
NEE
"DUKE×GREENS presents わちゃごなどぅ -whatcha gonna do-"
OAU
PEDRO
Nikoん
石崎ひゅーい
kobore / Suspended 4th / ザ・シスターズハイ / ザ・シスターズハイ ほか
鶴
SHERBETS
RADWIMPS
9mm Parabellum Bullet
PENGUIN RESEARCH
MOSHIMO
スカート
PHALUX
Bimi
ASP
22/7
古墳シスターズ
クジラ夜の街
[Alexandros]
キタニタツヤ
- 2025.12.15
-
MONOEYES
Kroi
GODSPEED YOU! BLACK EMPEROR
anewhite
山田将司(THE BACK HORN)/ 大木伸夫(ACIDMAN)/ 内澤崇仁(androp)/ 村松 拓(Nothing's Carved In Stone) ほか
TOOBOE
Mrs. GREEN APPLE
Hump Back
- 2025.12.16
-
くるり
SPARK!!SOUND!!SHOW!!
優里
YOURNESS
GANG PARADE
ザ・クロマニヨンズ
GODSPEED YOU! BLACK EMPEROR
Mrs. GREEN APPLE
- 2025.12.18
-
桃色ドロシー
あいみょん
くるり
Nikoん
東京初期衝動
The Ravens
リーガルリリー
ザ・クロマニヨンズ
点染テンセイ少女。
渡會将士
高岩 遼
カメレオン・ライム・ウーピーパイ
Homecomings
PompadollS
- 2025.12.19
-
(sic)boy
Helsinki Lambda Club
桃色ドロシー
ガラスの靴は落とさない
Nikoん
flumpool
吉井和哉
東京初期衝動
LiSA
BIGMAMA / THE BOYS&GIRLS / KALMA / オレンジスパイニクラブ / ハク。
SHERBETS
VII DAYS REASON
キノコホテル
羊文学
僕には通じない
Mrs. GREEN APPLE
BLUE ENCOUNT
- 2025.12.20
-
NANIMONO
PENGUIN RESEARCH
LACCO TOWER
RADWIMPS
ポルカドットスティングレイ
ぜんぶ君のせいだ。
The Cheserasera
flumpool
ハシリコミーズ
ZOCX
クジラ夜の街
ExWHYZ
浪漫革命
mudy on the 昨晩
"MERRY ROCK PARADE 2025"
ザ・クロマニヨンズ
Awesome City Club
SPECIAL OTHERS
LUCY
アイナ・ジ・エンド
め組
ACIDMAN
UVERworld
パピプペポは難しい
eastern youth
Mrs. GREEN APPLE
優里
- 2025.12.21
-
NANIMONO
The Biscats
桃色ドロシー
クジラ夜の街
RADWIMPS
LACCO TOWER
NEE
東京スカパラダイスオーケストラ
GLIM SPANKY
フラワーカンパニーズ
MOSHIMO
DURAN
(sic)boy
"MERRY ROCK PARADE 2025"
VII DAYS REASON
ザ・クロマニヨンズ
LiSA
Appare!
Newspeak
齋藤知輝(Academic BANANA)
Keishi Tanaka
鶴
清 竜人25
MONOEYES
暴動クラブ
UVERworld
OKAMOTO'S
優里
- 2025.12.22
-
DOES
東京スカパラダイスオーケストラ
フラワーカンパニーズ
Kroi
FINLANDS
アーバンギャルド × 氣志團
あいみょん
RELEASE INFO
- 2025.12.12
- 2025.12.17
- 2025.12.19
- 2025.12.20
- 2025.12.21
- 2025.12.22
- 2025.12.24
- 2025.12.26
- 2025.12.29
- 2026.01.01
- 2026.01.04
- 2026.01.06
- 2026.01.07
- 2026.01.09
- 2026.01.11
- 2026.01.14
FREE MAGAZINE

-
Cover Artists
ZOCX
Skream! 2025年12月号















