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INTERVIEW

Japanese

FoZZtone

2014年11月号掲載

FoZZtone

Member:渡會 将士 (Vo/Gt)

Interviewer:沖 さやこ

-はははは(笑)。このアルバムは渡會さんのパーソナルな部分も出ているので、精神的にも今まで以上に楽器隊の皆さんが渡會さんに寄られたのかもしれないですね。

そうですね。竹尾もこれまではわりとちょっと地面から浮いたところでずっと気持ちよく弾きっぱなし、という感じだったんですけど(笑)。今回は特に注文をしたわけではないんですけど、曲の中にスッと入って弾いてましたね。あと、パワー・バランスもバンドの中で変わってきたのかな。セカイイチとFoZZtone(※セカイイチとFoZZtoneがひとつのバンドとして活動している)をやったことで、キャノンが恐ろしいくらいにグルーヴというものに真摯に向き合うようになったので、竹尾に要求するというよりは、キャノンに"こんな感じで"と頼んだりして。なので今までの中で1番ベースが仕事してるのかな、ベースが担ってる割合が多いのかなという気はしますね。彼は性格的にすごくいいやつなんで、半歩引いてくれってとこを平気で2歩くらい引くんですよ(笑)。それが今回はいいバランスでオレオレ感を出してたりして。そういうことも含めて全体がまとまっているのかもしれないですね。

-今回は島内晶子ストリングス、ゲスト・コーラスで星羅さん、トランペットでPE'ZのOhyama "B.M.W" Wataruが参加なさっているなどゲスト・ミュージシャンも多彩ですが、これも渡會さんのイメージに最初からあったことなのでしょうか?

いや、全然そんな気なかったんですけど、録ってる最中とかにうちの事務所の社長が"これ女の子のコーラスとか入ってたらいいね!"とか、"ストリングスあったらいいね!"とか......それで"あ、ゲスト呼んでもいいんですか? 社長が言い出したんだったらやりましょう!"と(笑)。そういうノリも含めて。

-バンドとしてもそのノリに乗っかれるモードだったということですか?

あ、僕個人の考えかたとして、意見出さないやつは帰れ、みたいなのがあって(笑)。制作するなら全員で意見を出そう、というのがあるんです。出た意見にはまずワン・トライする。それによってカオスになる瞬間もあるんですけどね。このままメンバーだけで録ったらツルッとしたものになりそうだったし、やっぱりちょっとでこぼこしてるくらいがFoZZtoneかなと思ったんで、今回はそのでこぼこをゲストに求めてみました。島内晶子ストリングスのみんなともPE'ZのOhyamaさんとも今まで交流があったわけでなく今回が初めて、すごくいい出会いをさせてもらいましたね。PE'ZのOhyamaさんはうちの社長がPE'ZのPVの監督でもあるので"ついこの前撮ったからちょっと呼んでみる"って(笑)。それで初めてお会いして。いきなりものすごいモダン・ジャズとか吹き出したらどうしよう!なんて思ってたんですけど(笑)、すごく曲のことを理解してくださって素晴らしいトランペットを入れてくださって。繋がってみたら、すごくいいマッチングでした。

-最初聴いたときはシリアスなアルバムなのかな、と思いましたが、そこになりすぎない絶妙なバランス感覚があるアルバムだと思います。

シリアスなもの得意なんですけど、それだけだとちょっと嫌だなって(笑)。あとでそれを自分で聴くのもつらいし。やっぱり多少笑えないとなーと思うし。......最近常々思うのが、かっこつけるバンドは腐るほどいるんですけど、おちゃらけるというのと違ってて......ユニークというか、ユーモアのセンスがある面白いバンドは少ないなーと思って。そういうところにはなんとか落とし込みたい。だから「開きっぱなしの扉か俺は」というタイトルとか、ちょっとこう......"何?""変だな......"って感じのものにしたり。

-この曲はクールなトラックとヴォーカルなのに、歌詞は思わず笑ってしまうような内容で、それぞれのパートの見せ場も入れられていて。

"11年もやってるバンドのくせして、それぞれの自己紹介を兼ねたソロ回しやろうぜ"って(笑)。

-ふふふ、遊び心は欠かさず、ですね。先ほどお話に出た「Gloria」は"報われようぜ"という言葉がとてもシンボリックだと思ったのですが、これはどういう想いから湧いてきた言葉なのでしょう?

やっぱり......なんでしょうねえ......。『Reach to Mars』を録ったときに、みんな結構しっかりした手ごたえがあって"これは行くだろう!"って――まあ毎作品録るたびにそう思ってるんですけど(笑)、でもまあ、時代やタイミングがあったり、宣伝の仕方なのかなんなのか、自分たちの手ごたえと売り上げがかっちり一致しないというのが、バンドを11年やってるとストレスにもなってきて......いい加減報われてえな!! と(笑)。"報われようぜ"にはそういう泥くさい感じのニュアンスも含まれてますね。あと、『Return to Earth』をアルマゲドンのラストみたいに"帰ってきたぜ!"みたいな感じで夕日の滑走路を歩いて、みんなが出迎えてくれるようなアルバムにするかーみたいな話もしたんですけど......たしかにそりゃあエンターテインメントだけど、嘘だろ?って(笑)。それにそういうものを(リスナーは)どういう気持ちで聴くんだろう? ひと仕事やり遂げた人が"やったぜ!"と聴く音楽は間口が狭いなと思ったんです。みんな取り敢えず金曜日の仕事が終わったけど、次の月曜に持ち越すものがあって、ちょっとやけっぱちな気持ちで酒飲んだり、いろいろ大変だと思うんですよ。だから"火星から帰ってきたぜ!"というよりは"ひとまず帰ってきましたけど、まだまだやることがたくさんあるんですよね"みたいなものにしたかったんです。世の中の人たちが現在進行形でいろんなものを抱ええているなと思ったので"報われた"と歌うよりは"よし、これから俺らは報われようぜ"というマインドの方が共感できるのかなって。

-渡會さんはいつも一般社会で生活する人たちのことを考えてらっしゃいますよね。

いやー、だって、そういう人たちに聴いてもらいたいですもん。だからかっこいい音楽をあんまりやりたくないんですよね。それよりは"日常生活送ってる自分超かっこいい""がむしゃらに頑張ってる俺すげーかっこいい"みたいな、聴き手がそう思える音楽じゃないと。お金をしっかり払ってもらうわけだし、人に聴いてもらうとしたら、やっぱり何かしらメッセージやその音楽を聴く意味が欲しいなと。やっぱり何かを提供しないと詐欺だなと思うんですよね。