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INTERVIEW

Japanese

THEラブ人間

2013年04月号掲載

THEラブ人間

Member:金田康平(歌手)

Interviewer:伊藤 啓太


-ライヴ中お客さんの顔よく見てるよね?

あー俺全員見て帰る。今までできなかったのZeppのDiver cityに出たときは数えれなかった。全員の顔見て帰るって結成からずっと思ってやってるつもりなんだけど、流石に多い。

-LIQUIDROOMで限界くらい?

リキッドで限界だったなぁ。こないだのBLITZは数えれた。数えたって言うと数字言ってるみたいだけど、目を見てる。よく見てるよ俺、てか見るとこそこしかないからね。

-バンドによっては顔見るのは嫌だっていう人もいるよね。『恋に似ている』のツアーの頃と、今とではお客さんの目に変化はあった?

うん、違うなぁ。何が違うんだろうあれ、決定的になにかが違うんだよなぁ。『恋に似ている』のときはある種1つの劇を見に来ているような顔をしていたかな。どんな展開が起きて、私はどんな言葉で感動するんだろうみたいな。ずっと思っているんだけど、手拍子が起きたり拍手が起きたり、歓声があがったり涙を流している人がいたりっていうのは、別になんの評価にもなんないのね。それよりも次の日にその人がどんなことをするのかっていうことが、自分だけがわかる評価っていうか。こないだSEBASTIAN Xの永原真夏(Vo)とメシ食ってるときに言われたんだよね。“THEラブ人間って無理やりお客さん盛り上げたりもしないし、手拍子誘ったりもしないし、こちらからさぁ楽しもうって雰囲気を出さないのに、なんであんなに満足するの?”って。で、それはそれに価値がないからだよって話をして。まぁ価値がないって言うと語弊があるけど、THEラブ人間にとってはそれ以上の価値があると思うんだよね、俺がそうだったから。簡単なことを言ったら次の日頑張ろうっていう、明日から俺やるわっていう。それがあれば良くて、それができる数少ないバンドだと思っている。それが『恋に似ている』と違うところかな。今は凄い“ジワーッ”って、後ろのほうに。こないだ45分ステージだったんだけど。4曲目終わったくらいから徐々に後ろのほうまで波が“ズズズズズッ”っていっているような感覚がして。QUATTRO中がこう水浸しになるようなイメージがあって。あぁ、こんだけ浸かったら明日重いわっていう。

-このアルバムはTHEラブ人間の金田康平として持って帰ってもらいたいものを全てこめることができたアルバムだよね。後は聴いてくれたあなたたちにお任せしますっていう。

こっちは最早問いかけなんだけど。問いかけることよりもその問いかけに対して俺たちに対して返答しなくてもいいけど、それを自分で咀嚼して、誰に何を返答するか、大体の人たちが自分に向けて返答するんだろうけど、その返答の方がよっぽど重要というか。こっちはもういくらでも問いかけ続けていたし、それは熱いメッセージを伝えるとは全然違うから。問いかけてるの、どうなの?それでいいの?って。それはメッセージでもなんでもないから。それの問いかけに対しての返答っていうのが正当な評価だと思う。

-THEラブ人間としてのYESとNOは凄い明確に提示するけど、それこそリスナーの選ぶYESもNOも一切求めないじゃない。でもそこには曖昧なものって一切ないよね。

中途半端には言わないからね、なにも。特に今作は全部言い切っているから。

-今作で1番苦労した部分は?

えー、全部だな正直。もうめちゃくちゃ頭使ったね今回は。ようは『恋に似ている』との決定的な違いは覚悟だから、全部に対して。主人公の金田康平が生活と人生とどう向き合うかっていうところからスタートですね。今この場でその人に言っておこうと思ったことを言わないと、もう明日には言えない、っていうことになっているかもしれない。そういうところからのスタートだから、“死を目の前にした時の生”っていうのは。それこそ「アンカーソング」の夢中で走っていくっていうのはそういうことなんだけど。だから歌詞も『恋に似ている』の時までは、書いた歌詞は絶対書き直さないっていうルールがあったのね。それはその時にしか出ない言葉っていうのが存在するっていうのがあったから。でも正直それで満足いかなくなったわけ。言葉を結局追加してその雰囲気の調和を乱すっていう……MCとかね。そういうことになっているんだったら、俺はこの楽曲に全部詰めなきゃいけないと思って。そうじゃないとまた溢れちゃうから、言葉がね。だから自分が全行納得いくか、合点がいくか、それはアレンジも。自分がほんとのほんとに最後まで“OK!これでいける”っていうとこまで書き直した。