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INTERVIEW

Japanese

THEラブ人間

2013年04月号掲載

THEラブ人間

Member:金田康平(歌手)

Interviewer:伊藤 啓太


-アルバムの中で1番最初にできた曲は?

「体は冷たく、心臓は燃えている」がけっこう早い段階、1月3日、4日くらいにはできていて、そこから「アンカーソング」を手直しし始めてっていう感じかな。だから「体は冷たく、心臓は燃えている」始まりで、アルバムのテーマは全部決まった感じ。

-テーマっていうキーワードが出たけど、今回のアルバムはどんなテーマを元に作ったんだろう。

今回は“死を目の前にしたときに光る生の輝き”だから“生と死”ではない。死を目の前にした時の生だから、“生”だね、“死”よりも“生”。2011年の12月の終わりに爺ちゃんの癌が再発して、そこから徐々に作られていった感じなんだよね、きっかけとしては。“死を目の前にしたときに光る生の輝き”っていう。最初はね“死”だった、完全に“死”のみだったんだけど、徐々に楽曲を作るっていうのが、自分で道標立ててるって感じだったね。“こっちこっち、そっちじゃないそっちじゃない”って。ずっと最初“死”を向いていたんだけど、自分の楽曲が、作っていたら“おーい、こっちだよこっちこっち”みたいに自分の楽曲に方向性を引っ張られていく感じになって。

-“死”というものを身近に体感したのは初めて?

うん、初めて。

-今作と前作は明らかに違う方向を向いているのは、前作『恋に似ている』で歌われていたのは、僕と君と“俺たち”の歌だったと思うんだよね、刹那的な青春というか。ただ今作は、“僕と君”という部分は一緒かもしれないけど、“俺たち”の歌ではないよね。

多分歌っている事柄なんだけど、よりあんまりロック・バンドの人として書いていないというか、アルバム自体を贈っている相手が3人しかいないの今作は。3人に向けてアルバムを作ってて、それが爺ちゃんと恋人と自分。だから“俺たち”には絶対ならないし、ようはこれは俺の歌だから、君の歌じゃないよっていうところはある。

-確かに『恋に似ている』と比べると同じベクトルで共感できる人ってすごく少ないとは思う。言葉を切り取ると凄くパーソナルというか金田康平という個人の歌だよね。

そうだね……やっぱり、凄く私生活なんだよね、パーソナルっていうことは。そこの中に……具体的な話なんだけど、ライヴやって、お客さん観てくれて、ライヴ終わった後にお客さんと話す。っていうのが『恋に似ている』が出たときくらいの自分たちだったんだけど。それがなくなって、お客さんと話さなくなったっていうか。

-それは意図的にやめた?

意図的にではないかな。物販とかに立たなくなったし、楽屋から出ないし……話す言葉が見当たらないんだよね、ライヴ以外で。ライヴのときに自分の話している言葉以上が出なくなってきて。アルバムの中に対しての“俺たち”“俺”っていうのは、この中に入っていないんだよね、オーディエンスは。オーディエンスっていうのは、楽曲制作の中には含まれていなくて、それはレコーディングも一緒で。『恋に似ている』は作るまでの結成3年間、ライヴでやってきた曲をやっている。そうするとレコーディングのときにやっぱりオーディエンスの顔が浮かぶわけよ。でもやっぱり今回ってほぼ新曲だから、レコーディングする際にその楽曲のみと向き合う。オーディエンスの顔は全く浮かばないわけよ。もうほんとにその時の自分の記憶とまた対峙するのみ。そうやって作られたからよりパーソナルにどんどんなっていくっていう方向になっていったね、そうじゃないと良いものもできないし。