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DISC REVIEW

T

Whose Blue

TK from 凛として時雨

Whose Blue

約5年ぶりのオリジナル・アルバムは、稲葉浩志(B'z/Vo)とのコラボ曲「Scratch」をはじめ、注目を集めてきたアニメのテーマ・ソング等、TK節と言える攻撃性とクールさと儚さを兼ね備えた楽曲が満載だが、新曲もかなり豪華。中でも一見対極にいるようなイメージもあるsuis(ヨルシカ/Vo)を迎えた「Synchrome」では、その歌唱で歌詞世界が際立つのに加え、「クジャクジャノマアムアイア」同様ブラスも入り、ヴィヴィッドでありつつポピュラリティも獲得するような化学反応が。プログラミングで参加したケンモチヒデフミ(水曜日のカンパネラ)色の濃い電子音がスリリングな「Microwaver」は、ダンサブルな展開も面白い。TKの個性に負けじとゲストも思い切りぶつかることで、強みが最大限表れている。(稲垣 遥)

誰我為

TK from 凛として時雨

誰我為

日本のロック・バンドやアーティストが数多く手掛けてきたTVアニメ"僕のヒーローアカデミア"という努力や友情の物語のオープニングに、TKというある種エキセントリックな才能が書き下ろす意外性。すでに現在の代表曲になった印象すらあるが、やはりこれまでより格段に明快な歌詞とそれが乗るサビメロや歌唱には新鮮な驚きが。自分の限界を超えていく切実な想いと闘いを擬似体験させるエクストリームなアンサンブル、空間を切り裂くギターと滑空するストリングスなどすべてがTKらしさで溢れていると同時に、異形のひと言で括れないレベルに達したメルクマールだ。なお通常盤CDにはNHK「みんなのうた」に初提供した「クジャクジャノマアムアイア -TV edit-」も。言葉遊びとブラス・アレンジに驚きの新境地を見る。(石角 友香)

P.S. RED I

TK from 凛として時雨

P.S. RED I

映画"スパイダーマン:スパイダーバース"日本語吹替版の主題歌として書き下ろされた「P.S. RED I」。まだスパイダーマンとしての能力をコントロールできず、異なる次元に存在する仲間とともに闘う主人公の像に歌詞で寄り添うだけでなく、メタリックなギターやローが強烈なシンセ・ベースなど、生身と無機物が軋轢を起こしながら融合するスパイダーマン自身の肉体感覚を想像させるようなエクストリームな仕上がりだ。カップリングの「moving on」はゲスト・ヴォーカルにSalyuを迎えたことで、TKの歌詞世界の普遍性がぐっと上昇した印象。映像が浮かぶような豊かな演奏も素晴らしい。初回盤にはこれまでの代表曲のスタジオ・セッションとドキュメント映像のDVDも同梱。貴重な映像だ。(石角 友香)

katharsis

TK from 凛として時雨

katharsis

TKのソロ作品9作目は、「unravel」以来となるTVアニメ"東京喰種トーキョーグール"シリーズでの再タッグだ。ピアノや弦楽器を加えた編成だからこそ際立つ、静謐と崩壊をギリギリのバランスで成立させるTKソロの醍醐味。アニメ・シリーズとTKの作品性の共通点であるアンビヴァレンツが高度に結晶し、歌モノとしての完成度も高い。また、c/wの「memento」で聴ける、TKにしては平易な歌詞も本質的で胸に迫る。なお初回盤のDisc 2には、Billboard Live TOKYOでの"Acoustique Electrick Session"から9曲を収録。単純にアコースティック、エレクトリックと分けられないヴィヴィッドな音の響きに、時に音源を超える臨場感に浸ることができる。(石角 友香)

Fantastic Magic

TK from 凛として時雨

Fantastic Magic

偏見や先入観の型に嵌められることは拒絶するが、自分でも測りかねない自分というものをわかってもらいたい、人間誰しも思うことではないだろうか。そういう意味でこれまでになく"人間・TK"が曝け出された作品。日向秀和、BOBOとヴァイオリン、ピアノとの五重奏は、タイトル・チューンや「kalei de scope」で破壊的までに高速回転しながらも、シンプルなアンサンブルの頂点に到達。一方、TKのピアノと歌のみの「tokio」やCharaがゲスト・ヴォーカルで参加した「Shinkiro」では、TKのジャンルや性別、年齢といった属性の希薄な声が、むしろそれこそ蜃気楼のような今、現在の不確実性を浮かび上がらせる。シンセ・ポップ的なサウンドでロックの衝動を示唆する「Spiral Parade」の発想も一歩踏み込んだ印象で痛快。(石角 友香)

unravel

TK from 凛として時雨

unravel

TKソロ初のシングルはTVアニメ"東京喰種トーキョーグール"のオープニング・テーマとして書き下ろされた新曲。アニメとのコラボの必然、ソロのバンドでそのアンサンブルの精度を上げてきた、ピアノやヴァイオリンが存在する必然、弾き語りライヴの必然など、重層的な"必然"がこの1曲に結晶。歌が突出したオープニング、制御不能な情動をこれまでともまた違うギター・サウンドで、まさに自分の皮膚を突き破るような衝撃を与える間奏のソロ。それでいて聴感は繊細という無二の作品といえるだろう。カップリングの「Fu re te Fu re ru」の主旋律のキャッチーさにも軽く衝撃を受けるし、ピアノ主体の現代音楽風なインスト「Acoustic Installation」はソロ形式の習作的な楽曲。ソロの最も濃厚な面を堪能できる。(石角 友香)

contrast

TK from 凛として時雨

contrast

ソロ名義初となるEPは、凛として時雨もソロも含めこれまでで最もTKの歌(声)と対峙する作品だ。元々、時雨の轟音と怒涛のアンサンブルに埋もれないメロディを突出させる手段として生まれたハイトーン・ヴォイスは、今や彼の歌の表現のスタンダードであることをこれほど表明した作品はなかった。日向秀和(Ba)、BOBO(Dr)とのセッション的なスリルに満ちたアンサンブルを基盤に、ピアノと弦楽カルテットがこれまでになく開放的なパースペクティヴを表現するタイトル・チューン「contrast」をはじめとする3曲もおのおの違う個性が屹立。しかしなんといっても今回の聴きどころは、時雨の「illusion is mine」のTKのエレピとシンセのみのミニマルなライヴテイクや初恋の嵐のアコギ弾き語りカヴァーに尽きる。 (石角 友香)

未来へ/I Don't Care

T.N.T

未来へ/I Don't Care

手越祐也(Vo)、Furutatsu(Ba)、kyohey(Dr)の3人がシーンの新たな起爆剤となることを目指し2025年2月に結成したT.N.T。これまでのリリースではエネルギー溢れるロック・サウンドが目立っていたが、始動年を締めくくる本作は手越の卓越した歌唱力を際立たせるシングルに。しかし、ミディアムな楽曲の中でもパワフルなバンド演奏がスケールを広げていて、ロック・バンドとしての自負が滲んでいる。手越作詞の「未来へ」は"第104回全国高校サッカー選手権大会"の応援歌に。自身の経験を重ねた言葉には、背中を押す推進力はもちろん、これまでの歩みと続いていく未来の全てを受け止める包容力もあって、応援ソングの新たな在り方を定義している。(サイトウ マサヒロ)

ニホンバシ

toitoitoi

ニホンバシ

1曲目こそ華やかだが、それ以降、曲数を重ねるごとにどんどん柔らかく、優しいものになっていく。"ちっぽけな僕らの魔法だ セイハロー"という投げかけに始まり、"貫くだけが強いわけじゃない"で閉じる本作では、"私は私であなたはあなた"という事実と、そんななかで自分よりも大切な存在ができたときにどうやって自分の人生を歩んでいくべきなのかを考えるためのヒントが詰まっている。ふたりだからできることにこだわってきた彼らだからこそ相手の生き方も肯定できるし、それこそが自分たちの表現なのだとわかったからこそ今回このような作品を生んだのだろう。日常をワントーン明るくしてくれる音楽に抱きしめられたとき、私たちはもう一度上を向いて歩き始めることができる。(蜂須賀 ちなみ)

××

toitoitoi

××

アコースティックやバンドという概念も、ロックやポップをも覆す、千葉からハミ出した2人組がTOWER RECORDS限定で2作目をリリース。前作から地続きで"メンバーがふたりである強み"を最大限に生かして制作された今作は、バンドを求めて10年以上活動していたふたりの"ふたりで音楽を作る"という覚悟がもたらした、toitoitoiの完成形第1弾と言っていい。生楽器とコーラス・ワークを主役に、サンプリングや打ち込みなどを取り入れ、既存の楽器の使い方にとらわれない様々なアプローチで魅せる。強いメッセージをアート性のある言葉に溶かして発する岸川の歌と、ピアノ線のように鋭く美しい村越真史のギター。互いを認め合い、高め合うその音は、身を委ねたくなるほど優しくあたたかく、包容力に溢れる。(沖 さやこ)

J.U.M.P.

THE TOKYO

J.U.M.P.

"懐かしいのに、なんか新しい。"を掲げる、ロック・バンド THE TOKYOの1stフル・アルバムが到着した。その看板に偽りなく、ロックとフォークと歌謡曲の融合を思わせる彼らの音楽からは、メロディや音の質感に懐かしさを感じるのだが、それでいて新鮮で刺激的なところが魅力。既発曲5曲の再録に、ライヴ人気曲の初音源化、配信曲のリマスタリング・バージョンと、ファンにとってたまらない作品であるとともに、まだ彼らの音楽に触れたことのない読者にもお勧めしたい現在のベスト的な1枚でもある。今回、完全新曲として収録されたのは「恋(エレジー)」。"恋"と書いて"エレジー"と読む、なんとも切なすぎる歌詞を歌い上げるコダマアツシの歌謡曲然とした歌唱は、老若男女の心に染み入るのではないだろうか。(宮﨑 大樹)

what happened in yesterday

tokyo blue weeps

what happened in yesterday

小木戸 利光、小木戸 寛の兄弟によるポスト・ロック・バンドのtokyo blue weepsは昨年、震災後にアルバム『incarnations』をリリースし、その繊細で優しくも美しい旋律が震災後の悲惨な状況と対照的で疲れた心を癒してくれた。そして、あの震災から1年が過ぎ、世の中もみんなの意識も少しだけでも変わった気がする。彼らが感じた2011年が詰まった今作。“hello”と何度も呼びかける「You」が特に印象的に響く。心の隙間、あるいは天と地と満たし命を繋いでいく羊水のような音。もう戻らない昨日をしっかり受け止めて彼らは希望を見出した。今年産み落とされたこのアルバムは世にも美しい現在の世界の音記録。昨日とは違う世界が広がっていて、それはとても輝かしいのだ。(高橋 香奈)

FLYASDUST

TOKYOてふてふ

FLYASDUST

リリースとしては昨年夏のソロ・ワークスEP『IIIIly』以来であり、楪おうひ、めありらすと、ちむら詩文、神狩こはく世會の4人体制となったグループの今、5年目を迎えた決意表明を歌ったニュー・シングル「FLYASDUST」。エレクトロや歪みの効いたバンド・サウンドと、儚さ、脆さを湛えたヴォーカルとで、孤独にたゆたう寂しさや痛み、または恍惚感をも表現していたその歌は今回、その孤独からすっと手を伸ばすように誰かを求め、誰かと繋がる意志を持った。激しさも温かさも宿した4人の歌が心強い。2025年末にZepp Shinjuku (TOKYO)ワンマンが決定し、大きなステージに向かって駆け上がっていく、その躍動がストレートに響く1曲だ。(吉羽 さおり)

LYCORisALIVE

TOKYOてふてふ

LYCORisALIVE

前シングル『ash.』から約1年ぶりのニュー・シングル。レーベルメイト、かわぐちじゅんた(じゅんちゃい/Made in Me./Cho/Gt/Syn)作曲によるエネルギッシュなバンド・サウンドは勢いがあって、キャッチーなメロディとポエトリー、ラップなどドラマチックに歌い紡がれていく構成は時にカオティックな心模様を覗かせつつも、これまでにも増して感情を露にした5人のヴォーカルは透徹した意志の強さを感じさせる。メランコリーを帯びた儚さ、美しさが繊細に表現されていたTOKYOてふてふ作品だったが、今回は現実世界に1歩踏み出て、能動的に歩んでいく確かさが声に、歌に乗っている。2021年1月にデビューし、コロナ禍を暗中模索で進んできた約2年。その軌跡と、先に見据える未来が繋がっていることを感じる1曲になっている。(吉羽 さおり)

impure

TOKYOてふてふ

impure

今年1月、1st配信シングル「innocence soar」をリリースし、事務所の先輩KAQRIYOTERRORのツアーに同行して、ステージ・デビューも果たしたTOKYOてふてふ。ぜんぶ君のせいだ。などレーベルメイト同様に、キュートなポップスからラウドに暴れ回る音まで内包したオルタナティヴなサウンドで、心情を露わにする歌を歌う6人組だ。そのメロディは時に苦しい胸の痛みに泣き叫ぶようにハイトーンで、不安定さを醸し出す。焦燥感に満ちた「effect pain spiral」や、感情を爆発させる「double」があるかと思うと、「rainy milk」では低体温気味の日々をもドリーミーに歌い上げる。素直になれず、自分の心すらも掴み損ねてしまう不器用さに自分を重ねられる人も多いのでは。(吉羽 さおり)

KIERTOTIE

told

KIERTOTIE

arko lemmingのインタビューでベースの有島コレスケは、このアルバムになかなか着手できなかった苛立ちを語っているが、前作『Early Morning』から1年半ぶり。それぐらい録って出したい空気がバンドにあったということなのだろう。ジャンル名になる前の"オルタナティヴ"ロックを平熱と諦観と焦燥の間で鳴らすようなtoldのロックはかけがえがない。今回は山梨にあるというピラミッド型のスタジオでの臨場感溢れるサウンドそのものがアルバムのカラーになった印象だ。ギター・サウンドの洪水が押し寄せる、その名も「Early Morning Ⅱ」、重いが乾いた音像が彼ららしい「Target」、コード展開によってセンチメントとドライさという感情の揺れを誘発する「Distress of Casual boy」など答えのない日常を鮮やかに映す全10曲。(石角 友香)

Early Morning

told

Early Morning

3年前、彼らの「POOL」という曲のMVを見る機会があった。明でもなく暗でもない、エモーショナルなのにどこか淡々としている音と、素朴なメロディに乗る凛とした日本語の佇まいが妙に耳に残り続けた。前身バンドからメンバー・チェンジをせず10年間活動している彼らが、1stフル・アルバムをリリース。2012年のシングル『FLAG』、『TAG』の流れを汲み進化した、ひとつの集大成とも言える作品だ。前半はオルタナティヴでエモなサウンドを短尺で畳みかけ、豊満なメロディも華やぐ。中盤から音像はディープに。思考をも奪う抒情性、憂い、無邪気さ、切実さ――多彩な表情を全て清廉な激情で描いてゆく。その景色のなんと眩しいことか。強く結びついた4人の鋭利な意思の成せる業だ。(沖 さやこ)

Tommy Sparks

TOMMY SPARKS

Tommy Sparks

ipod touchの最新CM に「She's Got Me Dancing」が起用され、LADY GAGAやWHITE LIESのシングルのリミックスも手がける、スウェーデン出身のTOMMY SPARKSによるデビュー・アルバム。一見するとエレ・ポップ・アルバムなのかな?だとしたら、もうそろそろ飽きちゃった・・・と思っていたのだが、これがいい意味で予想を裏切られた。TOMMY SPARKSの音楽の根底にあるのは、ロックであり、ポップだ。バラエティーに富んだ1曲1曲はとても丁寧に緻密に作られており、聴いているといい塩梅になってしまうキャッチーなメロディーが詰まっている。正に捨て曲なし!派手さには欠けるかもしれないが、MGMTやFRANZ FERDINANDが好きな人に是非オススメしたい。いいアルバムです。(杉浦 薫)

BEST3

TOMOVSKY

BEST3

今年12月には50歳になるTOMOVSKY。1993年の初ソロ作品はカセット・テープだった。そこから20年以上、短編小説家みたく――星新一とかに近い感覚で、しかし飽くまでノンフィクションで"日々の精神と気持ちの健康に役立つ"曲を量産してきたわけだ。それで今回は2007~2012年の作品からベストな14曲をチョイス。しかも13曲は新たに録音。いい曲認定決定!なピアノ・ロック「我に返るスキマを埋めろ」は実は自分でいるために無駄な情報を入れるなと歌ってるようだし、明るい曲調で、下手に動いてもダメそうな日は寝てろと、甘美な誘惑とともに勇気さえ沸く「ねる日」、夜が明ける直前の空がくれるなんとも名状しがたいパワーを思わせる「いい星じゃんか」など。直感と本心、そして継続が生む表現は強くて無駄がない。(石角 友香)

Leisure Seizure

Tom Vek

Leisure Seizure

ロンドン出身の奇才Tom Vekより、デビュー・アルバム『We Have Sound』から実に6年ぶりとなるニュー・アルバムが到着!当時はBeckがツアーのSEで使用したり、The RaptureやLCD Soundsystemと比較されるなど、業界内での注目度が高かった彼。当時の映像を見直してみたのだが、全て独学で学んだマルチ・プレイヤーというだけあり、引きこもって一人遊びばかりしていた少年が、成長し青年となり、そのまま世間に出てきてしまったような、ちぐはぐな世界観は今尚新鮮であった。そこらへんも、デビュー時はローファイを通り越してへっぽこだったBeckとかぶるのだが、最新作は、その完全独自主義を貫いた一人遊びの延長戦上のような世界はそのままに、きちんと2011年版に整理されスタイリッシュになっていることに驚くばかり。ちゃんと時代にフィットしてます。(島根 希実)

Welcome To The Madhouse

TONES AND I

Welcome To The Madhouse

2019年発表の「Dance Monkey」が70億回再生を突破するバイラル・ヒットを記録し、オーストラリアの路上ライヴから世界を舞台に活躍するようになったTONES AND I。そんな彼女の1stアルバムは、活動当初のバンで寝泊まりしていた日々や、ロックダウン中の生活、そして親友"T"の死など、自身にまつわる様々な事柄を題材にした楽曲を収録。ピアノの旋律が耳を惹くポップ・サウンドを軸に、一度聴いたら虜になる持ち前の歌声を深化させ、より幅広い表現を聴かせている。脱力したビートで"成功"後の変化を皮肉るTrack.4、コーラスを従え伸びやかに歌い上げるTrack.5、心躍るサウンドで前向きなメッセージを伝えるTrack.11など、彼女の世界観をまるごと詰め込んだような1枚。(菅谷 透)

The Kids Are Coming

TONES AND I

The Kids Are Coming

シンプルだが印象的なピアノ・イントロに、一度聴いたら耳から離れない強烈な歌声――「Dance Monkey」が30ヶ国以上のシングル・チャートで1位を獲得し、YouTubeではMVが7億回再生を超えるなど大ヒットを記録している、シンガー・ソングライター Toni Watsonのソロ・プロジェクト TONES AND I。彼女のデビューEPは、その歌声を存分に堪能できる内容に仕上がっている。しっとりと歌い上げるTrack.3、5や、軽快なリズムが心地よいTrack.4など、楽曲ごとに多彩な表情を見せるヴォーカルは、オーストラリアの路上から1年で世界的なスターへと上り詰めた実力を証明している。日本盤には「Dance Monkey」のピアノ弾き語りバージョンも収録。(菅谷 透)

Whatever happens happens

THE TON-UP MOTORS

Whatever happens happens

上杉周大(Vo)、井上仁志(Gt)がそれぞれソロ・アルバムをリリースし、ツアーを行うなど、個々の活動が目立っていたTHE TON-UP MOTORSの約1年半ぶりとなる今作は、全6曲を収録。これまでのアルバムでも冒頭の曲でバンドの意気込みを表現してきた彼らだが、今作の1曲目「TONight!」ではハードなブギに乗せて"難しいのいらない 細かいの必要ない"と宣言。その言葉のとおり、余計なものを削ぎ落としたぶっとくて黒いサウンドが印象的な作品となっている。それは4人が持っている個々の音楽性を素直に残らず出し合った結果なのかもしれない。セカンド・ラインからこみ上げるメロディがサビへと導く「青い季節」や最高にキャッチーな「スロウモーション」など、一緒に口ずさみたくなる良い曲が揃った傑作。(岡本 貴之)

KEEP ON STANDING!!

THE TON-UP MOTORS

KEEP ON STANDING!!

2013年にメジャー・デビューを果たしたソウル・ロック・バンド、THE TON-UP MOTORSの約1年ぶりのリリースとなる2ndアルバム。威勢良くオープニングを飾る「不死身のこころ」、TON-UP流にEDMへ接近したかのような「DANCE DANCE DANCE」のキレのいいサウンドも聴きどころだが、2014年を通して行われた前代未聞のライヴ・ツアー"北海道179市町村ツアー"で北海道全土を周り地域に密着した活動をしてきたことが色濃く反映されたような「働く男」「俺の生活」「さらば!怠け者」など生活感のあるリアルな言葉で綴られた楽曲が目立つ。R&Bやブルースをルーツに持つ日本のバンドにとって"何を歌うか"はとても大事だと思うし、現実的な心情や景色を描くことで個人の心に訴えかける距離感こそが彼らの魅力だと思う。(岡本 貴之)

Tender Opposites

TOPS

Tender Opposites

GRIMESを輩出したトロントのレーベルARBUTUS RECORDSから、再び癖のあるガールズ・ヴォーカル・バンドがデビュー。同レーベルに所属していたSILLY KISSERSから派生したTOPSは、以前のようなファンタジック・シンセ・ポップから正統派ポップへと変化を遂げた。しばし、ARIEL PINK’SやTWIN SISTERと比べられることが多い彼らであるが、紅一点Jane Pennyの気だるくセンチメンタルな歌声と、80年代のラジオから流れてきそうなレトロ・ポップなサウンド、さらに乾いた打楽器の音や時より現れるオルガンの音色など、センスの良さはずば抜けている。彼らがトロントの代表バンドとなる将来も、そう遠くない。(水上 歩美)

Outer Peace

TORO Y MOI

Outer Peace

2010年のデビュー時には、チルウェーヴ、エレクトロ・シーンのパイオニアとして注目を集めたTORO Y MOI。これまでにサイケやアンビエント、R&Bやファンク、ソウルなどを取り入れながらその音楽性を深く、広いものへと更新してきた。今作は約1年半ぶり6枚目のアルバムとなるが、ダンス/ディスコ・ミュージックを基調とした別名義、LES SINSでの活動の影響が色濃く反映されており、また先述した多岐に渡るジャンルを回遊しながらも、ダンサブルなシンセ・ポップでまとめ上げられた作品となっている。その中でも異彩を放っているのは、ダーク・アンビエントでアジアン・テイストな「Miss Me (Feat. ABRA)」。アルバムのアクセントとして機能し緊張感を与える楽曲だ。いい意味でらしくない今作の白眉。(滝田 優樹)

Michael

LES SINS

Michael

ロック~クラブ・ファンまで絶大な人気を誇り、単独での来日公演はもちろん、FUJI ROCK FESTIVALやTAICOCLUBなどへの出演も果たしているTORO Y MOIことChaz Bundickが新名義、"LES SINS"として始動させたダンス・プロジェクト。"Carpark"傘下に立ち上げた自身主宰のレーベル"Company Records"からリリースされる1stアルバムでは、ムーディなクラシック・ハウスからUKベース・ミュージック、グルーヴィ且つスモーキーなビートまで、ポップ・ミュージックのルーツを辿るかのように多彩な音楽性を繰り出している。TORO Y MOIの持つダンサブルな要素を突き詰め、彼の様々なモードを楽しむことができる作品。(奥村 小雪)

Underneath The Pine

TORO Y MOI

Underneath The Pine

コロンビア出身のChaz Bundickによるソロ・プロジェクト、TORO Y MOI。彼の描く音はチル・アウトでありながらもアンビエントという枠では収まりきらない。極めて純度が高いにも関わらず、光が水面を通過した瞬間に屈折して見えるように、TOROY MOIの音像を正確につかむことは難しい。交わることのない音像を重ね合わせ、それぞれに意識が分断されてしまう居心地の悪さを生み出しているのだ。しかし、ふわふわとした浮遊感の空気の中、伸縮し破裂する音が誘発剤となり、不思議と中毒性の高い音楽に引き込まれていく。まるで、夢を体験している自分を観察する自分自身として認識しているあの奇妙な感覚のように、音楽の中に飲み込まれている自分を見ることになるだろう。THE MORNING BENDERSやVAMPIRE WEEKENDが快活な"昼"の音楽であるのに対し、TORO Y MOIのそれは夢に落ちる瞬間の無秩序で混沌とした"夜"の音楽だ。(山田 美央)

Trademarks01

V.A.

Trademarks01

最新で最旬の新世代インディ・アーティストを詰め込んだ好企画盤。NEON INDIAN、WASHED OUT、YES GIANTESS、DUCKTAILS、TORO Y MOIなど、これからが楽しみなアーティストばかり。エレクトロ、インディ・ロック、ポップまで実験的なメロディとリズムを満喫できる1枚。個人的には、NY出身4人組THE AMPLIFETESの「It's My Life」のベースとエレクトロの挑戦的なリズムサウンドがクセになりそう。そしてスペインはマドリードを拠点とする4人組DELOREANの爽快感溢れるポップ・ナンバー「Deli」はなんとも清々しい。全体的に様々な音が沢山詰まっていて、おもちゃ箱をひっくり返したような感じだ。(成田 早那)

nil

touch my secret

nil

フロントに女性2人、ドラムが男性1人という最近ではあまり馴染みのない形態の3ピース・ロック・バンドtouch my secretの1stアルバム。サウンド・プロデューサーにBiSHなどを手掛けている松隈ケンタを迎えた今作は、闘争本能をむき出しにした歌詞と圧倒的な攻撃力を持つサウンドが魅力的な1枚。Anne(Vo/Gt)が放つ芯の通った男前な歌声や、優しく包み込んでくれるような声色も素晴らしいが、骨太なロックからエモーショナルなミディアム・バラード、疾走感溢れる楽曲までバンドそのものが変幻自在。ラストに「start」をもってきているのもニクい。昨年3月に活動をスタートさせたばかりとは思えないほどの仕上がりに、ただただ驚くばかり。(白崎 未穂)

Toy

TOY

Toy

元JOE LEAN & THE JING JANG JONGのメンバーを中心に構成されたUKの5人組TOYのデビュー・アルバム。今年のSUMMER SONICに出演していたので一足早く彼らのパフォーマンスを生で観られた方も多いのではないだろうか。ダークでサイケデリックだが柔らかさや温かみのある音なのでとても聴きやすく、心地が良い。アルバム全編を通してまとまりがあり、中盤に置かれたインスト曲もずっと聴いていたいほどクセになる仕上がり。ヘヴィーなギターに珠玉のメロディが乗り、壮大なドリーム・ポップから疾走感のあるヘヴィ・ロックまで見事に独自の世界観を作り上げている。よく引き合いに出されるTHE HORRORS、S.C.U.M等のメロディックなサイケデリック・ロック好きなリスナーには自信を持ってオススメできる一枚。(石塚 麻美)

Tinsel & Lights

Tracey Thorn

Tinsel & Lights

90年代オルタナティヴ・ポップ・シーンを中心に活躍したEVERYTHING BUT THE GIRLのフロントマンTRACEY THORNの2年ぶりとなるフル・アルバム。今作は本人が制作を切望していたというクリスマスの名曲をカヴァーしたコンセプト・アルバムとなっており、その優しくも甘い歌声を存分に楽しめる内容に仕上がっている。加えて待望のオリジナル曲「Tincel&Lights」「Joy」も収録。またクラシックなナンバーだけではなくTHE WHITE STRIPESなどのロック・アーティストをセレクトするところにも心憎いセンスを感じさせる。クリスマスという神聖なテーマと、彼の癒しともいえる魅力と世界観が見事に合わさった至高の一作。(平野 スミオ)

A Girl A Bottle A Boat

TRAIN

A Girl A Bottle A Boat

グラミー賞を三度受賞するなど、20年以上の活動を誇るアメリカのバンド TRAINによる8thアルバム。昨年は敬愛するLED ZEPPELINのカバー・アルバムをリリースし、紆余曲折のあった長い活動歴の原点に立ち返った。今作には、そんな歴史と原点回帰をフレッシュなサウンドで総括した楽曲が満載。1938年にLarry Clintonがヒットさせた「Heart And Soul」のメロディを引用したTrack.2「Play That Song」など、音楽史をサイクルさせていくスタイルも今の彼らにはピッタリ。ブラスやパーカッションも含めたレゲエ色の濃いTrack.10「Lost And Found」もバンドの柔軟な一面を表している。海でも山でも街中でも、場所を問わずに聴ける楽曲たち。この夏、プレイリストに入れておくことをオススメします。(小田 淳治)

One of the Timeless

TRASH AUDIO

One of the Timeless

北の大地で熱っぽい音楽を鳴らす4ピース・ロック・バンドTRASH AUDIOが、いよいよその熱をミニ・アルバムに封じ込め全国へ放つ。今作には、"あなたがいるから僕は歌える"という気持ちを軸に、自身の葛藤や気づきを絵に喩えた「ONE」、涙する"君"に飾らないまっすぐな言葉でエールを送る「解き放って」など、渾身のメッセージ・ソング6曲を収録。彼らの何よりの武器は、"伝えること"を最優先に考えているがゆえのキャッチーなメロディ、耳馴染みの良い言葉。さらに、ギター・ヒーロー然としたアグレッシヴなギター・サウンドを筆頭に、各パートが鮮明な色を見せるタイトな演奏が、より楽曲に説得力を持たせている。きっと何年経っても色褪せないであろう、普遍のポップネスがここに。(松井 恵梨菜)

L.A. Times

TRAVIS

L.A. Times

2022年には名盤『The Invisible Band』の再現ライヴで来日し、変わらぬ人気ぶりを示したTRAVIS。10作目のアルバムは、フロントマンのFran Healy(Vo/Gt)が生活の拠点を置くロサンゼルスをタイトルに掲げた作品となった。彼が通ったNYのバーを騒々しく偲ぶTrack.2「Raze The Bar」、別れた妻に捧げるTrack.3「Live It All Again」、友人との死別を反映し生きる意味を改めて見つめ直すTrack.5「Alive」などパーソナルな内容だが、彼ららしい美しいメロディと優しくも切ないアンサンブルに昇華されたメッセージは、リスナーの心にも染み入ることだろう。ラップ調のVoを取り入れたTrack.10「L.A. Times」や、DX版のアコースティック音源も妙味がある。(菅谷 透)

ドラゴンタトゥーの女 オリジナル・サウンドトラック

TRENT REZNOR & ATTICUS ROSS

ドラゴンタトゥーの女 オリジナル・サウンドトラック

世界的ベスト・セラーを誇るスウェーデン発のミステリー小説 “ドラゴンタトゥーの女”。それを、「SEVEN」や「FIGHT CLUB」、最近だと「THE SOCIAL NETWORK」を手掛けたヒット・メイカーDavid Fincherが映画化。その「THE SOCIAL NETWORK」でもコンビを組んだTrent ReznorとAtticus Rossが今回も音楽を担当することに。前作でアカデミー作曲賞を受賞したコンビだけに、独特の世界感とサウンドには聴き入ってしまう。特に話題なのはYEAH YEAH YEAHSのKaren Oをヴォーカルに迎えた「移民の歌」のカヴァー。NINE INCH NAILSを彷彿とさせるノイジーで凶暴な仕上がりになっている。TrentはNINE INCH NAILSとしてのアルバム制作に取りかかっているとのことで、そちらも楽しみだ。(遠藤 孝行)

jack-in-the-box

TRI4TH

jack-in-the-box

結成14年目のアカデミックなジャズのバックボーンを持つバンドが、メンタリティでも実際の曲調でもロックやパンク、スカを消化する新鮮さが溢れ出た1枚。どの曲もほぼ3分以内で美味しいフレーズやリフを凝縮し、ホーンやピアノのメロディも覚えやすいうえ、アジテーター 伊藤隆郎(Dr)は歌も歌う。アルバム全体の流れも時間を感じさせるもので、1曲目の「Wake up」で文字通り目覚め、RANCIDのカバー「Time Bomb」でスカのビートに乗り、ロカビリー調の「Go Your Way」、夕暮れに向かうようなメロウな「Landscape」、高速ホーン・リフが盛り上がる「Hasty Rag」、そしてアイリッシュ・テイストな「Sing Along Tonight」の大団円。生身の人間の気迫や笑顔がジャンルを超越する。 (石角 友香)

Wish To Scream

TRIBES

Wish To Scream

代表曲「We Were Children」が同郷のMYSTERY JETSにカヴァーされるなど、登場時に何かと話題を呼んだロンドン、カムデン出身のインディー・ロック・バンド。そのシンプルでメロディ・オリエンテッドな音楽性がむしろイマドキのバンドにはない王道感を漂わせてはいるものの、本人たちは純粋にグッド・ルーツ・ミュージックが好きで演奏したいのではなかろうか。この2ndもピアノとアコギがトラディショナルな印象のナンバーや、古くはTHE ROLLING STONES、90年代にブルースやソウルに傾倒した頃のPRIMAL SCREAM、そしてTHE BEATLESからOASISまで綿々と続くザ・英国な美メロを想起させる曲が並ぶ。時代性を強調するようなトピックはない。でも懐古趣味でもない。今の人間の体温と血の通った太文字のロックだ。(石角 友香)

Baby

TRIBES

Baby

2011年のUK音楽シーンの顔はJames BlakeやAdele に代表される様に、インディ・ロックは元気が無かったように感じる。そんな中、THE VACCINESやARCTIC MONKEYSといったバンドが気を吐いたが、勢いは続かず、下半期にはロンドン暴動での喪失と虚しさが残った。そんなシーンを救う者としてイギリスで大きく話題にあがっているのがこのTRIBESだ。THE LIBERTINES、THE KOOKS、THE VIEWといったブリティッシュ・ロック直系の遺伝子を感じるメロディ・センスに、「Sappho」「We Were Children」で聴けるシンガロングなフック……UKロックの復権はTRIBESが担うことだろう。(中里 友)

Adrian Thaws

Tricky

Adrian Thaws

MASSIVE ATTACKとともにトリップホップ/ブリストル・サウンドの立役者と謳われるTrickyがロンドンで完成させた11作目のアルバム。多くの女性シンガーを迎えたヒップホップとポスト・パンク、そしてレゲエ/ダブのミクスチャーという基本路線は変わらないものの、ラヴァーズ・ロックの代名詞とも言えるJanet Kayによる1979年のヒット・ナンバー「Silly Games」の意表を突いたカヴァーが、息が詰まるような緊張感に終始しがちなTrickyの作風に風通しの良さを加えている。その一方ではイスラエルによるガザ地区空爆に対する抗議とも言える「My Palestine Girl」のようなプロテスト・ソングも歌い、あいかわらずの硬派ぶりも印象づける。現代のブルース・シンガーを名乗るTrickyの面目躍如と言える1枚だ。(山口 智男)