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DISC REVIEW

Japanese

2018年12月号掲載

katharsis

TK from 凛として時雨

『katharsis』

Release Date : 2018-11-21
Label : SMAR

TKのソロ作品9作目は、「unravel」以来となるTVアニメ"東京喰種トーキョーグール"シリーズでの再タッグだ。ピアノや弦楽器を加えた編成だからこそ際立つ、静謐と崩壊をギリギリのバランスで成立させるTKソロの醍醐味。アニメ・シリーズとTKの作品性の共通点であるアンビヴァレンツが高度に結晶し、歌モノとしての完成度も高い。また、c/wの「memento」で聴ける、TKにしては平易な歌詞も本質的で胸に迫る。なお初回盤のDisc 2には、Billboard Live TOKYOでの"Acoustique Electrick Session"から9曲を収録。単純にアコースティック、エレクトリックと分けられないヴィヴィッドな音の響きに、時に音源を超える臨場感に浸ることができる。(石角 友香)


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P.S. RED I

映画"スパイダーマン:スパイダーバース"日本語吹替版の主題歌として書き下ろされた「P.S. RED I」。まだスパイダーマンとしての能力をコントロールできず、異なる次元に存在する仲間とともに闘う主人公の像に歌詞で寄り添うだけでなく、メタリックなギターやローが強烈なシンセ・ベースなど、生身と無機物が軋轢を起こしながら融合するスパイダーマン自身の肉体感覚を想像させるようなエクストリームな仕上がりだ。カップリングの「moving on」はゲスト・ヴォーカルにSalyuを迎えたことで、TKの歌詞世界の普遍性がぐっと上昇した印象。映像が浮かぶような豊かな演奏も素晴らしい。初回盤にはこれまでの代表曲のスタジオ・セッションとドキュメント映像のDVDも同梱。貴重な映像だ。(石角 友香)


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Fantastic Magic

偏見や先入観の型に嵌められることは拒絶するが、自分でも測りかねない自分というものをわかってもらいたい、人間誰しも思うことではないだろうか。そういう意味でこれまでになく"人間・TK"が曝け出された作品。日向秀和、BOBOとヴァイオリン、ピアノとの五重奏は、タイトル・チューンや「kalei de scope」で破壊的までに高速回転しながらも、シンプルなアンサンブルの頂点に到達。一方、TKのピアノと歌のみの「tokio」やCharaがゲスト・ヴォーカルで参加した「Shinkiro」では、TKのジャンルや性別、年齢といった属性の希薄な声が、むしろそれこそ蜃気楼のような今、現在の不確実性を浮かび上がらせる。シンセ・ポップ的なサウンドでロックの衝動を示唆する「Spiral Parade」の発想も一歩踏み込んだ印象で痛快。(石角 友香)


unravel

TKソロ初のシングルはTVアニメ"東京喰種トーキョーグール"のオープニング・テーマとして書き下ろされた新曲。アニメとのコラボの必然、ソロのバンドでそのアンサンブルの精度を上げてきた、ピアノやヴァイオリンが存在する必然、弾き語りライヴの必然など、重層的な"必然"がこの1曲に結晶。歌が突出したオープニング、制御不能な情動をこれまでともまた違うギター・サウンドで、まさに自分の皮膚を突き破るような衝撃を与える間奏のソロ。それでいて聴感は繊細という無二の作品といえるだろう。カップリングの「Fu re te Fu re ru」の主旋律のキャッチーさにも軽く衝撃を受けるし、ピアノ主体の現代音楽風なインスト「Acoustic Installation」はソロ形式の習作的な楽曲。ソロの最も濃厚な面を堪能できる。(石角 友香)


contrast

ソロ名義初となるEPは、凛として時雨もソロも含めこれまでで最もTKの歌(声)と対峙する作品だ。元々、時雨の轟音と怒涛のアンサンブルに埋もれないメロディを突出させる手段として生まれたハイトーン・ヴォイスは、今や彼の歌の表現のスタンダードであることをこれほど表明した作品はなかった。日向秀和(Ba)、BOBO(Dr)とのセッション的なスリルに満ちたアンサンブルを基盤に、ピアノと弦楽カルテットがこれまでになく開放的なパースペクティヴを表現するタイトル・チューン「contrast」をはじめとする3曲もおのおの違う個性が屹立。しかしなんといっても今回の聴きどころは、時雨の「illusion is mine」のTKのエレピとシンセのみのミニマルなライヴテイクや初恋の嵐のアコギ弾き語りカヴァーに尽きる。 (石角 友香)