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UNCHAIN 谷川正憲 改め、茉莉乃沢ガニ太【第13回】

2014年04月号掲載

UNCHAIN 谷川正憲 改め、茉莉乃沢ガニ太【第13回】

「オイ、クソイヌ。テメエフザケンジャネエゾ。ゼンシンノケガワゼンブハギトッテ、ヤフオクデコゼニカセイダロカ、コラ」ふもとは無感情にすごくひどいことを言った。オコなのかもしれなかった。いくらふもとでも人前でいきなりキスをしろと言われたのだからしょうがない。「ちょ、ちょっと~。ヒドくな~い?イツリちゃんはお前たちのために言ってるんだっつーの!」オネエブルドッグこと"風神"巣蚊伊釣は言った。「てやんでぃ!そもそもおいらはまだテメエを"風神"と認めたわけじゃないんだぜドちくしょう!」ライオン坂汰異牙は疑惑のまなざしを向ける。「おいらが聞いた話じゃあ、ドラゴンサイクロンの最上階まで登り、さらに過酷な試練を乗り越えた者だけが"風神"に会えるという子どもの頃からの伝説だったんだぜドちくしょう!」「そうだっつって!親父から確かにそう聞いたぞっつって」汰異牙のパンツからミニミニ千異汰が顔を出す。確かに、今のところドラゴンサイクロンが消えたのとブルドッグが現れたタイミングがたまたま一緒で、このブルドッグがウソをついているという可能性も否定できない。ただブルドッグがなぜ喋るのかということは全く説明できないが。「それはアタシの"風の噂"の力だっつーの!まーぼーろーしー!」伊釣は言う。「アタシの"風の噂"は~、世の中のどんな情報も知ることができる、と同時に世の中に噂を流すこともできるってゆう、わ~ざ~あ~り~な能力なのよね。」「ウルセェヨ、テメェ。カエレヨ」ふもとはもう口が悪いというか、ガラが悪い。「じゃあ最上階に登るとか、試練を乗り越えるとか、全部ウソなのか!?」僕はふもとをフォローするように言う。「ウソだわよ~ん。いちいちつまんない用事に付き合ってらんないじゃないのさ」伊釣は仰向けになってハァハァしながら言った。「てやんでぃ!おいらはそんなもんで信じるほど甘くねえぞドちくしょう!」汰異牙はまだつっかかる。「しょうがないわねえ。ホレ!」伊釣は仰向けのままそうゆうと、汰異牙が宙に浮いた。「て、てやんでぃ!?」「なんなんだっつって!」汰異牙と汰異牙のパンツの中の千異汰がビビる。すると汰異牙の着ていた服がビリビリと音を立てて裂けた。「て、てやんでぃー!!」「つってー!!」「汰異牙ぁ!ミニミニ千異汰ぁ!」服どころか体ごとかまいたちに裂かれて死んだ!と思ったら、ライオン坂兄弟は生きていた。生きているどころか服も破けていない。「てやんでぃ?」まるで見たもの全てが幻覚だったかのようだ。「汰異牙も千異汰も大丈夫なのか?なんともないのか?」僕の問いに二人は黙ってうなずく。「これでわかったかい?"風の噂"は視覚、聴覚などの情報もコントロールできるのさ。つまり、お前たちの視覚を操作して幻覚を見せることなどたやすいんだっつーの!」伊釣はいつのまにか仰向けをやめ、ふもとの足にスリスリしていた。「てやんでぃ。じゃあほんとにあんたが、あの"風神"巣蚊伊釣なんだなドちくしょう」汰異牙もようやく信じたようだ。「じゃあ巣蚊伊釣、この縮んでしまったライオン坂千異汰を治す方法を教えてくれないか?」僕はやっとこのくだりの本題に入った。「だ~か~ら~、さっきから言ってんでしょ。お前とお前がキス!」「オイ、クソイヌ。テメエフザケンジャネエゾ。ガンメンゼンブセイケイシテ、リリシイタイプノイヌニウマレカワラセタロカ、コラ」ふもとがふりだしに戻った。というかさっきよりある意味こわかった。「うるせぇはやくしろゴルァ!!」伊釣は急に低い声になり僕をふもとのほうへ突き飛ばした。「あっ!ちょっ!」僕はそのままふもとに覆い被さるようになり、くちびるに何かが触れた。僕はファーストキスをした。
...to be continued