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INTERVIEW

Japanese

UNCHAIN

2016年03月号掲載

UNCHAIN

メンバー:谷川 正憲(Vo/Gt) 佐藤 将文(Gt/Cho) 谷 浩彰(Ba/Cho) 吉田 昇吾(Dr)

インタビュアー:石角 友香

90年代メロコア周辺からスタートし、ソウル/ファンク寄りのサウンドを現在のトレンドよりずっと以前からバンドで表現。近年ではJ-POPカバーを独自の解釈で行うバンドとして知った人も多いであろうUNCHAIN。そんな彼らが結成20年目の今年、本領発揮の8thアルバム『with time』で提示する方向性とは何か。

-UNCHAINほど特定のシーンに属さずやってきたバンドは珍しいと思うんですが、今振り返ってどこが転機だったと思いますか?

谷川:結構紆余曲折あったんですけど、ここ2~3年ぐらいはやっと落ち着いてきて――やりたいことが固まってきて、しかも自分たちがやりたいことをやらせてもらってる。そういう時期になってると思います。

谷:まぁ、迷走は常にしてまして(笑)、今もしてるんじゃないかと思うんですけど。

谷川:迷うこと自体は悪いことじゃないと思っていて。迷って迷って、一度諦めたくらいにパッと浮かぶっていうように、迷いに迷った先にひらめきがある気がしてて。そういう意味でも大きな迷いがある中に小さな迷いがいっぱいあると思うんですけど、大きい迷いをバンドとしても経験してきたからこそ今があるんじゃないかなって感じています。

-最近はカバーを独自の解釈でやるバンドという認知が一般化してると思うんですけど、その功罪はありますか?

谷川:カバー・バンドになりたいわけではないので、そういうイメージはあんまり定着させたくなくてカバーと並行してオリジナルを毎年出してきたんですけどね。でも、カバーのおかげでね?

谷:一般的には"UNCHAIN"って文字をあまり見る機会がなかったと思うんですけど、カバー・アルバムを出したことで、ちょっと広まったのはいい影響でしたね。

-この1~2年でネオ・ソウル/ファンク志向のバンドも増えてきたので、ああやっと機が熟したかな?という気もするんですが。

谷川:ああ、"今年デビュー"ぐらいの方がよかったですかね(笑)? たしかに最近、ブラックを取り入れてるバンドが出てきてるじゃないですか。やっぱちょっと嬉しいですよね。

-UNCHAINの場合、4リズムのバンド・サウンドなのが特徴的で。

谷川:今回結構バンド以外の音も入れてるんですけど、音数をすごく少なくシンプルにしたので、誰が何やってるかはっきりわかっちゃうぐらいシンプルとは思う。ひとつひとつの音の強さみたいなのはすごく出たんじゃないかと思います。

-2015年6月リリースの前作『10fold』はセルフ・カバーでしたが、今回の『with time』に至る大きな流れとしては何があったと思いますか?

谷川:まさにセルフ・カバー集に1番大きな影響を受けていて。ロサンゼルスでレコーディングしてきたんですが、その体験がベースとなっていることは間違いないと思います。

谷:曲の作り方もそうですし、グルーヴの作り方も――『10fold』は、Sadaharu Yagiさんっていうグラミー賞を取ったエンジニアさんと制作したんですけど、"音楽は脳みそで作るんじゃないよ。身体から感覚的に出てくるのが音楽なんじゃない?"っていう考え方の人で。音楽を"踊れるか踊れないか"を直感で判断するみたいな、そういうところなんですけど。音楽を広い観点と視野で感覚的に捉えるっていうことを僕は学んだような気がして、今回のアルバムもそういう表現ができたかなと思ってます。

谷川:僕は曲を作ることが多いんですけど、ギターで作るからギターのための楽曲。そこにベースやドラムを足すっていう作り方になるんですけど、なんかそれってやっぱりギター弾きの音楽であって、発想を逆転させてベースから作ったりすると、"ギターの音数、こんなにいらないや"って気づくんですね。『10fold』に「Kiss Kiss Kiss」という曲があるんですけど、ギターの音が1小節で3つしか出てこないんですよ。でも詰め込もうと思えば16個でも、それ以上でも詰め込めるわけなんですけど、そこをあえて3つにしてグルーヴを出すってやり方で。バンド全体でひとつの音を作るという考え方になってきたので、あんまり音数はいらないんです。

-UNCHAINって昔からアンサンブルの妙というか、4人の演奏がわかるバンドだったと思うんですが。

谷川:自分たち的には弾きすぎてたなっていう自覚はすごくあって。ほんとの空間っていうか余白はあんまりなかったと思うんですね。何かしら音が鳴ってたと思うんですけど、今回はほんとの空間があって、それによってその次に音が出てきたときの立体感もやっぱり違うんですよね。その凹凸でグルーヴを作るということができるようになってきたんで。若いころはいろいろ弾きたいんですよ。弾きたいし、音数も増やしたい、でもグルーヴも出したいからって全部やっちゃってたんですけど、最近やっとそこを弾かないことで踊れるようになるっていうことがわかってきて。新しい楽しさがあります。

-面白いのがソウル/ファンク的なものをやる人のバックボーンっていろいろだと思うんですよ。20代前半のバンドとか最初からそれが音楽の出会いで、できる/できない関係なく、そういうノリが好きでやってるバンドと、いろんな音楽を通ってきて、今、やってるバンドがいると思うんですけど。

谷川:うちはたぶんできない人たちで。もともとずっとメロコア・バンドみたいなことをやってきて、その知識しかないまま急にブラック・ミュージックやりだしたっていう感じですからね。知らないだけで、もともとブラックな音楽が好きだったと思うんですけど、そういうことやったことがなくて――ロックでも偏ってるロック感と覚えたてのブラック感が混じってできた、最初はたぶんそういう感じでやっていたと思います。

-なるほど。谷川さん自身、自分たちのエンターテイメントとして成り立つようにヴォーカリストとして何か努力したことはあるんですか?

谷川:あのー......ま、見ていただいたらわかると思うんですけど、もともと結構暗い人たちなんですよ(笑)。

-こういうグルーヴのある音楽をやってる人とは思えないです(笑)。

谷川:設定じゃないですけど、ちゃんとエンタメを作ろうって意識がないと作れない部分はあると思います。暗いんですけど、ダンス・ミュージックが好きなのは事実ですし、Michael Jacksonとかも好きで、奥に秘めたものがあると思うんですね。だからほんとはそういうブラック的なエッセンスを出したいのかもしれないですね。

佐藤:昔は自分たちのすごく小さな明るい部分を大きく見せようとして、無理してるところもあったんです。でもそこはもう無理して"イェーイ!"ってやるというより、自然にそういう気持ちになるまで高めていくことができるようになってきたっていうか(笑)。

谷川:自分たちが無理してるとお客さんもすぐわかっちゃうと思うんですよね。それが透けて見えるとそこでグルーヴしないというか、ほんとの意味でのダンス・ミュージックにならないんじゃないかな?と思うので。

佐藤:かと言ってほんまの等身大だと、ただただ暗いヤツらなんで(笑)。ある程度、ゲタの高さを調節できるようになったというか、高すぎず低すぎず――ゲタっていうのは、ちゃんとステージに立つ人間として自分たちが"こう見てほしい"という姿を自分らで形作っていくことなのかなと。