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INTERVIEW

Japanese

Laughing Hick

2025年07月号掲載

Laughing Hick

Member:ホリウチコウタ(Vo/Gt) たいち(Dr) あかり(Ba)

Interviewer:藤坂 綾

現在"RACCOON DOG TOUR"と称し、全国6ヶ所のツアーを回っているLaughing Hickが、デジタル・シングル『マラカイト / ふたりの恋』をリリースした。LIQUIDROOMでのワンマン・ライヴ"Laughing Hick ONEMAN LIVE 2025"を経て、ほぼ間髪入れずに始まったツアーとこのリリース。バンドが今どういう状態なのかということが、これだけでもう分かってしまうだろう。そのLIQUIDROOMの話から、今作2曲について、そして過去最大キャパとなる今回のツアー・ファイナル Spotify O-EAST公演に懸ける意気込みまでを、メンバー3人にたっぷり話してもらった。

-ツアー中に結成8周年を迎えられましたが、8年振り返っていかかですか。

ホリウチ:8年前に想像していた場所とは全然違うけど、メンバーも変わり、もうあかりと演奏してるほうが長いんだよね。

たいち:そうだね。早いようで遅いようで、長いようで短いようで、とにかくいろんなことがあったなって、改めて振り返るとそんな気がします。その上で今こういう状況になってるってことは嬉しいことだし、ワンマン・ツアーを回れてるというのは、感慨深いですね。

-あかりさんはいかがです?

あかり:私がサポートを始めたのが2020年か。だから8年で言うと真ん中くらいのときで、コロナ禍もあって、そこのタームってすごく大事だったんですけど、その時期にちゃんと楽曲が頑張ってくれて、たくさんの人に届いて乗り越えられたっていうことはすごいことだなと。

-いろんな道があったわけですからね。

あかり:今の景色は見られなかったかもしれないし、そう考えるとやっぱりすごいことだなと改めて思いますね。

ホリウチ:楽曲とお客さんに感謝だね。

あかり:助けられてるね。

ホリウチ:支えられております。ありがとうございます。

-そのツアーも仙台、岡山、福岡の3ヶ所が終わりましたけど(※取材は6月25日)、手応えはいかがでしょうか。

ホリウチ:もう半分終わったかっていう気持ちもありつつ、初日の仙台から、過去一番熱いライヴが続いていて。"RACCOON DOG"っていうツアー・タイトルを付けたのが、"他(た)"を抜くぞという"たぬき"のダジャレみたいなものだったんですけど、まるでそのタイトルを汲んでくれたかのようなフロアで、初日からバチバチに熱い空間で楽しくやらせてもらってます。

たいち:もう3公演終わったかっていう気持ちもたしかにあるけど、仙台、岡山、福岡と毎回どんどん更新できてる感じが自分の中でちゃんとあるので、このまま名古屋、大阪とみんなからパワーを貰って、ファイナルで爆発させたいなという気持ちでいます。

あかり:今回、ツアーに初めて福岡と岡山を入れたんですけど、去年行く機会をいただいたからというのが大きいんです。もちろん名古屋も大阪もどこも変わらないんですけど、"他"を抜こうっていうこのワンマン・ツアーを決めたとき、力を貸してくれる仲間が集まってくれたということがすごく嬉しかったし、これまで30分とかのライヴで投げてきた想いや、撒いてきた種がちゃんと育ってるんだっていうことを改めて実感することができました。この後の名古屋、大阪も、今までに培ってきた絆が見られるライヴができるんじゃないかと感じているので、すごく楽しみです。

-ファンとの絆や信頼関係は、ライヴを観ててすごく感じます。それも含めて、ライヴがどんどん良くなっていってると思っていて。もちろんワンマンやツアーを経て、経験から来る成長もたくさんあるとは思うんですが、ご本人たちは自分たちのライヴについて、変化とか感じてるのかなと。

ホリウチ:たしかに、結構変わりましたね。3人が一人一人ではなくて、バンドで1として闘えるようになって、それは感じてます。だから1つの塊として、バンドとして今Laughing Hickは強いんじゃないかって、そこはすごく変わったところかなと。

あかり:機動力があるというかね、個々ではなく、みんなでどう見せようかって考えてるというか。例えば、あいつが今すごい熱量だから、それについていこうぜっていうところとか、そういう部分が強くなってきたみたいな。個々ではなく、ちゃんと1つになって届けられてるんじゃないかとは私も感じます。

-バンドとして、しっかり1つになったなと思います。あと私は、自由度が増したというか、すごく素に近い状態でライヴができてるのかなと感じました。自分を曝け出せるようになったというか。

ホリウチ:昔よりラフというか、そういう感じにはなったかもしれない。前は、このセトリをミスなく終えるぞっていう気持ちでやってたけど、そういえば最近は楽しめるようになったな。

たいち:それこそ自由だよね。

ホリウチ:逆に楽しみすぎて、壊れないようにってね。

たいち:いい塩梅でね。

あかり:自分の中で、どこまでハメを外していいかが分かるようになってきたんじゃないかな。

ホリウチ&たいち:あぁー!

あかり:前は"あ、あいつ今日やりすぎじゃない?"みたいなときもあったけど(笑)、逆にそれが表面張力ギリギリまで行けていいんだろうなって思ったら、私たちももっと行けるというか、思い切っちゃっても大丈夫だわって。そこがどんどん広がってきたから、自由に見えるようになったのかもしれない。どこまでハメを外していいかって。私はそう感じてるんだけど。

ホリウチ:あ、俺が?

あかり:うん。あ、こいつ今日行くわって(笑)。だから200点が出るんだって、ハメを外すことで平均点よりも上に行けるよねって。

ホリウチ:ありがとうございます。

あかり:私はそう思いながら付いていっております。

-ふふふ。たいちさんは?

たいち:昔より気負わなくなった感じはしますね。楽しいんだけど、そのなかでやっぱり届けられるものをしっかり届けたいっていう気持ちと、みんなで一緒に行くぞ、"他"を抜くぞっていう気持ちがあって。前まではちゃんとやろうという意識がすごく強かったんですけど、今はそこがいいバランスでできてる感じはします。

-それはどこのタイミングからとかあります?

たいち:LIQUIDROOMを終えてから、今のツアーを回ってるときに、各地で待ってくれてる人たちがこんなにもいるんだと改めて気付いたというか、考えたときに、自分の中のキャパシティみたいなものが広がった感覚はありました。もっと行っていいんだ、自分を出していいんだって、それが自分を曝け出せる理由になったのかなと。

-今まで素を出すことに抵抗があったとかではなくて?

たいち:余裕がなかったんでしょうね。だから無意識のうちにセーブしちゃって、やるべきことだけをしっかりやろうって。今はそういうことよりも、自分とバンド一同、なんならチームも一丸となってガーッと行く感覚になれたんじゃないかと思います。

-コウタさんはいかがですか。

ホリウチ:リリースをしていくなかで、それがどんどん自信になっていったというのはありますね。リリースをして、ライヴをしての繰り返しのなかの成功体験から、ありのままの自分がこんなに認められるんだっていう気持ちがだんだん強くなっていって。それがライヴに影響してるのかもしれないです。最初はそれこそ自分を作ってたというか、どうやったら好かれるだろう、みたいなことを考えるときがあって。あと、どうやったらこの曲が通るだろうかとか。そういうことを考えるよりも、自分の気持ちいいが正解なのかなって、そういう感覚を信じられるようになってきたのが大きいかもしれないです。

-素の自分を出しちゃっても大丈夫だなって。

ホリウチ:そう、受け入れてくれる人たちもいるし、応援してくれる場所もあるし。ありがたいです、ほんとに。