Japanese
Laughing Hick
2023年07月号掲載
Member:ホリウチコウタ(Vo/Gt) たいち(Dr) あかり(Ba)
Interviewer:藤坂 綾
山梨発の3ピース・ロック・バンド、Laughing Hick。今年1月、あかりを正式メンバーとして迎えた彼らが、アルバム『DOPAMINE』(2019年リリース)から3年半ぶりとなるシングル『女だから』をリリースする。この3年半がバンドにとって、メンバーにとってどんな時間だったのか――それはこの3曲を聴けばきっとすぐにわかることだろう。濃密且つ充実のこのシングルについて、そしてLaughing Hickというバンドについて、メンバー3人にたっぷりと話してもらった。
人間臭い部分、汚らわしさといったところに寄り添える曲を、Laughing Hickは歌うべきだと思ってる
-3年半ぶりのリリースとなりますね。
あかり:私は正式に加入してから初めての音源となるので、特別な想いがあります。自分が加入したタイミングでリリースする音源のタイトルが"女だから"っていうのも、私としてはよし! みたいな感じで(笑)。3年半リリースを待っててくれた方たちにこれからこの3曲をいろんな形で届けていきたいです。
たいち:あかりが正式に加入したりと環境の変化もあったなかで、前作のアルバム『DOPAMINE』よりもレベルが1段階も2段階も3段階も上がったと言えるような作品ができたなという自信があります。なので、あとはライヴでこの3曲を一緒に楽しむことができたら嬉しいなという気持ちですね。
ホリウチ:3年半の間にコロナ禍があって、音楽の聴かれ方も変わっていってると思うんです。そんな状況のなか僕ら自身メンバーチェンジがあったり、周りの環境が変わったりといろんなことがあり、たいちも言ったように、前作の『DOPAMINE』よりも1段階も2段階も3段階もパワーアップできたような気がしていて。より伝えたいことが明確になり、人間としてもバンドとしても成長した作品になったんじゃないかと思います。
-それぞれ変化や成長されたところって具体的にどんなところだと感じてらっしゃいますか。
あかり:正式加入が決まったのが今年の1月で、それまで2年間くらいはサポートだったんですけど、サポートのときはもともとの楽曲に沿ったベースを弾くという感じだったのが、加入してからは自分でアレンジをどんどん考えるようになりました。歌声とメロディがこのバンドのいいところだと私は思ってるので、そこをどういうベースラインでどう引き立てるかっていうことにストイックに取り組んでいけるようになったかなって。今回はそういう気持ちで臨んだ作品でもあるので、自分でもその変化は大きいと感じてます。
-バンドや音楽に向き合う姿勢って、サポートのときとは違いますか。
あかり:サポートのときは、他のふたりとは環境が違うのかなっていう気持ちがちょっとだけありました。メンバーになりたいという気持ちでずっとやってきてたので、メンバーとして作品や活動に臨めるというのは嬉しいですね。
-たいちさんはいかがですか。
たいち:僕は、今まではみんなでせーので合わせて、ここはこうしたほうがいいんじゃない? ってやってたものを、ヴォーカルをもっと引き立たせるにはどういうドラミングやフレーズがいいかっていうことを考えて演奏するようになりました。曲を聴いて僕がインスピレーションを受けたものをどうやって自分の中に落とし込むか、どうやって音の中に落とし込むかと、結構細かいところまでみんなで話し合いながら考えるようになりましたね。
-ホリウチさんは?
ホリウチ:僕はコロナ禍があったことによって、今までのようにライヴを楽しめなくなってしまったんです。なので、どうやったらもっとお客さんと一緒に楽しめるのか、もっと伝えられるのかっていうことをすごく考えるようになりました。それはパフォーマンスの面でもそうだし、自分のプレイや曲のアレンジやなんかもそうで、とにかくどうしたらっていうことを今まで以上に細かく考えるようになりました。『DOPAMINE』のときまでは、曲に対して出たとこ勝負というか、感覚的にやってたところがあったんですよ。でも今の事務所に出会ったり、先輩のライヴを観たりして、楽曲に対して感覚的に作る部分と頭を使って作り込んでいく部分が必要だなと思って。それこそライヴにかけての身体作りやそういうことを考えるようになって、そういう意味では心の部分の成長が大きかったと思います。感覚100パーセントだったのが、50パーセントくらいでできるようになったというか。
-ご自身で変えなくちゃという意識があったんですか?
ホリウチ:このままじゃいけない、みたいなところはありました。
-というのは?
ホリウチ:今までは自分が曲を書いて、それをメンバーに渡して、スタジオに集まってせーので1~2回やって、"いいじゃん、じゃあこれでいこう"みたいな、ただ単純に自分たちがいいと思ったものを作るっていう、それこそ感覚的なところでやってたけど、コロナでメンバーが集まれなくなって、パソコン上でドラムをつけて、ベースをつけてってやっていくことになったらそういう感覚的なことができなくて、それがもう大変で。そういうこともあり、今回はこんなにたくさん曲書いたことがないってくらい書いたんですよ。とにかく思い立ったら書く、みたいな感じで。
-どれくらい書かれたんです?
ホリウチ:2年くらいの間で、50~60曲くらいかな。
-その50~60曲の中から今回この3曲を選んだんですか。
ホリウチ:そうです。
-その中から「女だから」を表題曲にしたのは?
あかり:コウタさんがスタジオにこの曲を持ってきて弾いてくれたときに"めっちゃいいじゃん!"って。一緒に出てきた言葉もまとまってる印象があって、歌詞がストレートというか、Laughing Hickのクズっぽい部分、リアルな部分がしっかり出てて、だから聴いたときに"お!"って思いました。これまでの曲で言うと「カシスオレンジ」や「愛してるって」(『DOPAMINE』収録曲)でフィーチャーされてると思うんですけど、この曲は「愛してるって」の属性かなと私は感じていて。男女のリアルな恋愛、しかもちょっと人には言えないような恋愛だけど、でも誰かに言いたい、誰かにわかってほしい。「女だから」はそういう人たちにとって、良き理解者の立ち位置になってくれると思うんですよ。聴いたら前を向けるというか、立ち直れるというか。うちのバンドのお客さんは10~20代が多くて、もしかしたらそういう誰にも言えない恋愛をしている人がいるかもしれない。この曲がその子の味方になれたらいいなって、そういう想いもあってこの曲を選びました。
たいち:僕らは「カシスオレンジ」、「愛してるって」のようなクズさというか、きれいじゃないリアルをフィーチャーして歌うバンドなので、この「女だから」のリアルさというのが今の自分たちやお客さんにとってもそうだし、音楽シーンに新しい風を吹かせられるんじゃないかという想いもありました。
ホリウチ:ママに言えない恋愛、友達に自慢できないようなこと、そういう人間臭い部分、汚らわしさといったところに寄り添える曲をLaughing Hickは歌うべきだと思ってるんです。それが今一番如実に出てるのがこの曲だなということで、今回はこれでいこうとタイトルに持ってきました。
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