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LIVE REPORT

Japanese

Laughing Hick

Skream! マガジン 2025年01月号掲載

2024.12.01 @渋谷duo MUSIC EXCHANGE

Writer : 藤坂 綾 Photographer:タカギユウスケ

仙台、名古屋、大阪と回り全会場ソールド・アウトと、バンドの今の勢いを間違いなく知らしめることとなった初のワンマン・ツアーのファイナル公演が、12月1日、渋谷duo MUSIC EXCHANGEにて行われた。

客電が落ち、いつものようにG. LOVE & SPECIAL SAUCEの「Astronaut」が流れると、まずはたいち(Dr)がタオルを掲げ登場。そしてあかり(Ba)、ホリウチコウタ(Vo/Gt)と続く。3人とも溢れんばかりの笑顔で、この日をどれだけ心待ちにしていたかが窺える。そんな3人を拍手と大歓声で迎え入れるフロア。準備は万端だ。ホリウチがギターを爪弾き、歌い出すと同時にあかりが右手を高く上げ、「ランプ」。これまで私が観たライヴでは比較的最後のほうでやっていたと思われるこの曲が、この大切な日の始まりであることに、"ここから未来を始めよう"という意思や意図があるのかどうかは全く分からないが、勝手にそんなドラマチックなことを想像して、1曲目から思わずグッと来てしまう。続く「Local Hero」では、"届けたいから手を伸ばすだけ"の部分を"届けたいから今歌ってんだよ"と歌ったり、「ホンネ」での"会いたかったぜ!"はいつもより力強かったり、まだ3曲だというのにとにかく想いが溢れまくりでエネルギーがすごいのなんの。フロアも一気に巻き込まれてしまう。

"のっけからめちゃめちゃ楽しませてもらってます"と言いつつも、"まだまだ足りないんじゃない? まだまだ上がっていこうぜ、東京!"と煽り「中指を立てて」。みんなの手拍子と歌声が気持ちいい「今更になる前に」、「Cuz」とあかりとたいちが向き合って笑い合ったり、時折3人でトライアングルを描いたりしながらライヴはスピードを上げていく。ライヴ中にステージ上で描くこのトライアングルが私は大好きだ。あの背中に、あの姿に、バンドの歩いてきた道のり、3人の歩いてきた道のりが全て描かれているような気がするからで、改めてライヴというのは嘘のつけない場所であり、ほんとの自分でしかいられない場所なのだなと思ったりもして。それはフロアも然りで、だから私たちはこうやって凝りもせず、何度も何度もライヴに足を運ぶのだろう。「モノクロセカイ」で広げた手を一生懸命上げる姿、「恋にしがみついて」でステージをただまっすぐ見つめる姿、「さよなら恋人、おかえり恋心」で胸の前で両手を組み口ずさむ姿、どの姿もほんとの姿だからこそ愛おしくてたまらなかった。

ミディアムな曲を立て続けに披露した後は、"クズな男のラヴ・ソングを"と「愛してるって」から怒濤の後半戦がスタート。"過去一番熱い空間を作りたいんだけど、付いて来れるやつ、どんくらいいるの?"の声には"任せとけ!"と言わんばかりの歓声が上がり、"エロくて踊れるナンバーを"と「休憩と宿泊」、"毎日楽しいことばっかじゃないからライヴハウスに来たんだろ? だったらバカ騒ぎしようぜ"と「愛なんて嘘は置いといて」、"最低で最高なラヴ・ソングを"と「女だから」が続く。途中、なんて曲でみんな盛り上がってんだよとふと我に返ったり、新曲がすでにこのツアーで育っていっていることに驚いたりしつつ、ホリウチの"こういう気持ちになりたいからライヴしてるんだよな"の言葉通り、その気持ちが最もピークになった瞬間、まんまとやられてしまった。もちろんフロアも過去最高のかっこ良さで、バンドが最高なら、お客さんも最高なんだ。

"これからもずっと俺はあなたと夢を見続けたい。いつまでも君の隣を一緒に走りたい。そんな願いを込めて書いた、今一番大切にしている曲を"と「オリオン」。それぞれの物語を生きるなか、決して交わることのない想いや分かり合えない感情が、ラフィング(Laughing Hick)のライヴを通して1つになる。1つになんてなれないと分かっていても、なれるんだよ、こうやって。最後に言った"いつまでもLaughing Hickの隣にあなたがいますように"という言葉はあまりにもまっすぐすぎて、忘れることができない。

ホリウチは"俺がもし総理大臣になったら、今日を祝日にするだろうなっていうくらい楽しかった"と言うと、3年前のduo(duo MUSIC EXCHANGE)でのライヴを振り返り、"いつまでもこのチームで、このメンバーで、そしてあなたともっともっと夢見たいなと今日すげぇ思いました。たくさんお揃いの思い出を作ってほしいなと切実に思います。出会ってくれてありがとう、という気持ちを込めて、たくさんの出会いをくれた大切な曲を"とラストは「カシスオレンジ」。"今日があなたでほんとに良かった。未来でお会いしましょう。山梨県Laughing Hickでした"と幕を閉じる。

次のワンマンのステージは恵比寿LIQUIDROOM。少しずつ規模を広げ、想いを深め、ここまで来たLaughing Hick。あまり多くを語らない分、内に秘めた想いや覚悟は凄まじく、それがとてつもないエネルギーとなり、多くの人との出会いに繋がってるんじゃないだろうかなんて勝手に思ってる。伝わるんだよ、ほんとの想いって、絶対に。終わりであり始まりにもなった初のワンマン・ツアー・ファイナル。また新しい景色が観られることを楽しみに、これからもっともっと大切な日を増やして、どうせなら毎日を祝日にしてやろう。

[Setlist]
1. ランプ
2. Local Hero
3. ホンネ
4. 中指を立てて
5. 今更になる前に
6. Cuz
7. モノクロセカイ
8. 恋にしがみついて
9. ラストネーム
10. カフェオレ
11. さよなら恋人、おかえり恋心
12. 愛してるって
13. Bye-Hi
14. 休憩と宿泊
15. 愛なんて嘘は置いといて
16. 女だから
17. オリオン
18. カシスオレンジ

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