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INTERVIEW

Japanese

Laughing Hick

2025年07月号掲載

Laughing Hick

Member:ホリウチコウタ(Vo/Gt) たいち(Dr) あかり(Ba)

Interviewer:藤坂 綾

-あかりさんはどうですか。素の自分というところでは。

あかり:私は、曲と自分の気持ちを寄せちゃってもいいんだと、それに気付いたところから大きく動けるようになったんです。そういう意味で言うと、曲と自分のテンションと、お客さんのテンションに身を任せて届けられたのがLIQUIDROOMだったかなという感じもしていて。あの日の映像を観返しながら、自分でもいいと思えるライヴができてたなと思います。あの日はお客さんもめちゃめちゃ素直でしたよね。

ホリウチ:うんうん。

あかり:SEが鳴った瞬間のあの歓声はすごかったし、気持ちの高揚が裏まで伝わってきたから、うちらもやってやるぞ! っていう気持ちがより強くなったよね。

たいち:なったなった。入場から震えたもんね。歓声がすごくて、ビリビリしたもん。

-せっかくなので、LIQUIDROOMのワンマンを振り返りましょうか。

たいち:あの日は、マイドラムを初めて下ろした日だったんです。だから自分が目指してた音を、しっかりお客さんに届けたいなという気持ちがより強くあって。それをちゃんと実現することができた日にもなったし、気持ちが前に行きすぎちゃってて、何曲目かの途中で、マネージャーさんからカンペで"シンバル、もう少し優しく叩いて"って言われちゃって(笑)。それも初めての経験で、いい思い出だなと。めちゃめちゃ楽しかったし、自分でも過去一番を更新できたので、いい一日になりました。

あかり:LIQUIDROOMはツアーとは違って単発だったからこそ、どんな日にしようかって自分でもドキドキしてたんです。ただ、この1本でちゃんと届けようという想いはすごくあって。1年前、(渋谷)WWW Xで初めてワンマン([Laughing Hick LIVE TOUR 2024"ダンデライオン"])をやったときのことを考えたら、この1年でちゃんとここまで進んでこれたことと、平日の夜にこんなに集まってもらえるバンドになれたことがすごく嬉しかったし、お客さんも素直に感情を出してくれてたし、LIQUIDROOMはこれまでの中で一番元気が良かったんじゃないかと思っていて。



自分はライヴが好きで、どちらかというとライヴがしたくて音楽を始めたので、Laughing Hickという音楽でステージに立って、こういうフロアを作れるようになったということがもうめちゃめちゃ嬉しくて。自分が高校生のときにあのフロアの一員になってたとしても楽しかったと思うし、また来たいと思っただろうし、そんなフロアをお客さん一人一人が作ってくれて、自分等がそういうライヴを作れるようになって、とにかく嬉しかったです。

ホリウチ:LIQUIDROOMは、あまり観に行ったことがなくて。だから、LIQUIDROOMに挑むバンドが多いなか、あまりその気持ち、重要さみたいなものを分かっていなかったんです。でも、先輩のライヴに何度か遊びに行かせてもらううちに、これはめちゃめちゃライヴハウスだなと思って。そうなったとき、でも俺等はライヴハウスで終わらせたくないという想いから、どういう見せ方をしたらいいかとか、どうしたら曲が一番届くかを照明さんやスタッフとたくさん話して作り込んだ一日で。それに加えて新曲2曲を披露する日でもあったし、この後も俺たちに付いてこれそう? という意思表示のライヴでもあったんです。でも、フロアがあれだけ熱いと、そんなこと言うまでもなかったのかなと。"私たちももちろん行く準備できてますよ"って、もうあのフロアの感じですぐ分かったし、そういうお互いの意思を確認できた最高の日だったし、(Spotify)O-EASTに向かえるなと確信した日でした。

-LIQUIDROOMで披露された新曲2曲、すでにライヴに馴染んでましたけど、ツアーでもやってらっしゃるんですよね。

ホリウチ:やってます。リリース前からお客さんのノリノリ感がすごかったけど、リリースしてからもまた一段階ノリノリになっちゃってね。

たいち:ちゃんと愛して聴いてくれてるのが伝わるよね。



ホリウチ:うん。「マラカイト」は、去年の12月1日のduo(MUSIC EXCHANGE)でのワンマン("Laughing Hick ONEMAN TOUR 2024")を終えて、制作するぞってときにできた曲の1つで。3人で集まってセッションしてて、"あ、これいいかもな"って思ったのが「マラカイト」だったんです。サビメロと歌詞はほぼ今のままだよね。

あかり:弾きながら出てきた言葉がそれだったよね。

ホリウチ:そうそう。でも、あ、これやっぱちょっと違うかって取り下げようとしたら......

たいち&あかり:"いやいやいやいや"。

たいち:"そんなことない!"って。

あかり:"バカ言ってんじゃない!"って。

-あはははは、コウタさんはなんで取り下げようとしたんですか?

ホリウチ:これちょっとラフィング(Laughing Hick)色と違うかな、ちょっと明るすぎるのかなって。ちょっとダンスダンスしすぎだし。と思ったけど、作ってみたら、むしろラフィングだったという。あのとき2人が止めてくれなかったら、生まれてなかったんだよね。

-良かったです。

ホリウチ:メッセージとしては、愛ってなんだろう? という大きなものが自分の人生の中にいつもあるんです。それを探していくうちに、「カシスオレンジ」(2019年リリースの1stアルバム『DOPAMINE』収録曲)のBメロにもあるけど、"愛されたくて吠えて/愛してるなんて言って"のような、自分が愛されたいから愛してるのかなとか、自分が優しくされたいから人に優しくしてるのかなとか、そういう矛盾みたいなものがどんどん生じてきて。それと同じで、重すぎる愛というのは、時に危険なのでは? とも思うけど、"愛されなくても愛すよ、私は"っていう一途な想いとも取れるじゃないですか。見返りがなかったとしても一生愛し続けるのがほんとの愛なんじゃないかという想いと、でもそれは執着や依存なんじゃないかっていう想いと、二面性があるそんな曲を書きたくて。セルフライナーにも書いたけど、これが依存なのか、純愛なのかっていう。それは「ふたりの恋」も同じで、そういう大きなものをテーマにした曲になってます。

-"マラカイト"というのは。

ホリウチ:石です。"危険な愛情"という石言葉があって。だからどう取るのかは聴き手の皆さんに任せてるので、一途な曲と取るも良し、危険な愛と取るも良し、でもそこから考えてくれたら嬉しいですね。これがほんとの愛なのか、とか、あなたにとっての愛とは、とか。

あかり:この曲には愛の怖さもあるよね。きっと女の子同士でこの曲を聴いたら、"やめとけ"って止めちゃうような気もするけど、同意できる部分もちゃんとあるんです。自分のこと"シンデレラ"って思っちゃうときあるよねとか、"誰かに触れた手で私に触れないで"もすっごい分かるし。ちょっと狂気的ではあるんだけど、私だってそういうときあるよな、私もそう思っちゃうなっていうことをちゃんと見つけられるような歌になってる。だから純愛と言えば純愛だなと。そういう歌詞を、今までにないちょっと明るいサウンドに乗せてる矛盾感というのも面白いなって。クラップから始まる明るい曲調に、あの歌詞が乗る天邪鬼な感じが私は好きですね。なのでベースも今までで一番軽快というか、リズムを刻んで、音を散らせた感じになってて、それこそ遊び人の如く、そんな音がちらばってると思います。