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INTERVIEW

Japanese

GLIM SPANKY

 

GLIM SPANKY

Member:松尾 レミ(Vo/Gt) 亀本 寛貴(Gt)

Interviewer:山口 哲生

-そしてDISC 2の後半に来る、今年発表された4曲と、新曲2曲について。タイアップやリリース時期の関係もあると思うんですけど、6曲中3曲が夏の曲なんですよね。それはたまたまそうなったんですか?

松尾:いや、今年の松尾のテーマは"夏"だったので(笑)。なぜかと言うと、プライベートでどこにも行かなさすぎたし、何もしなさすぎたんですよ。ずっと制作とライヴだったので、夏を欲していたというか。だから脳内で小説を書こうとか、映画を撮ろうみたいな感じで、最初に作ったのが「風にキスをして」で。これが初夏の曲なんですけど、次に「ひみつを君に feat.花譜」ができたんです。こっちは夏の終わりの夕暮れ時の曲だから、ということは真夏がないなと思って「Hallucination」を作りました(笑)。そういう裏テーマはありましたね。

-お話に出ていた「Hallucination」は、今作の中でも一番扉を開けているし、いい意味で尖っている感じもあって。おっしゃっていた通り、熱帯夜の茹だる感じが出ていて、エキゾチックな曲ですけども。

松尾:亀がコード進行を持ってきたんですけど、夏とかは特に何も言ってなかったよね?

亀本:全然言ってない。僕はずっと"大人の馬鹿騒ぎ"って言ってた。

松尾:そうそう(笑)。それを自分なりに解釈した感じでしたね。そうなったのは、去年ユーミンとコラボして「真夏の夜の夢」をやったんですよ。それで、あの名曲を全部アレンジし直したわけです。全部のパートをバラバラにして組み立ていくなかで、これがあの曲の幻想的な雰囲気を醸し出していたのか、というのを感じた上で年明けから制作に入っていって。だから、たぶんまだそれが抜けてなかったんですよね、あの茹だる感じが。そういうところもエキゾチックさの参考にしながら、言葉も含めて作っていった感じでしたね。なのでそういうモードだったんだと思います。

-亀本さんとしては、"大人の馬鹿騒ぎ"がテーマだったと。

亀本:大人たちがハメを外したりふざけたり、子供には出せない感じを出したいなと思って。やっぱね、子供が持っているピュアネスみたいなものには勝てないと。僕等がいくら頑張ってああいう曲を書いても絶対に勝ち目はないし、松尾さんの声の世界観としても、そういった爽やかな感じではなく、ちょっと危うい雰囲気のものをやったほうが個性は活きるし。なんかさ、よくあるじゃん。MVとかで白い文字で歌詞が出てくる感じ。

松尾:うん。分かる。

亀本:ああいうのはちょっと難しくない? 爽やかな感じっていうか。

松尾:あぁ。声も相まってスモーキーになっちゃうんですよね。そういう透き通った声でも歌いたかったなって思うんですけど、自分なりに。

亀本:青春は描けないよね。

松尾:でもたぶんね、それは高校生のときも無理だったかもしれない。

亀本:であれば大人の青春を描こうっていうね。

松尾:そうね。でも、最初に"大人の馬鹿騒ぎ"って言われたときは"なんじゃそりゃ!"と思って(笑)。

亀本:いや、大人だって青春していいじゃないですか(笑)。

松尾:もちろんそれは全然いいよ(笑)。そうじゃなくて、曲としてどうしようかなと思って。それで、さっき話したようなモードだったのもあって、幻想なのか現実なのか、みたいな。暑すぎて分からなくなって幻想を見ているのか、本当に変な世界に迷い込んでしまったのか分からない、という曲にしました。

-この曲、松尾さんの歌声にめちゃくちゃ合ってるし、ものすごくかっこ良かったですよ。

松尾:良かった! ありがとうございます。

-そして、もう1つの新曲が「愛が満ちるまで feat. LOVE PSYCHEDELICO」。かねてよりたびたび共演されている間柄なのもあって、両者のいいところが存分に出ているし、これを作っているときは楽しかったんだろうなぁというのが音源からも滲み出まくっていますね。

亀本:今回のベストでコラボレーション作品を入れたらいいんじゃないかという話が出たときに、やっぱりLOVE PSYCHEDELICOは外せないよねって。

松尾:うん。デリコ(LOVE PSYCHEDELICO)の名前がすぐに挙がったんですけど、本当にやってくれるのかな? って。NAOKI(Gt)さんプロデュースだったらOKAMOTO'SとかTHE BAWDIES、go!go!vanillasとかもやっているけど、"KUMI(Vo)さんも"となるとやっていないので、どうなんだろうね? と。そういう話をちょうどしていたときに、私がTHE BAWDIESのライヴ("20TH BIRTHDAY BASH")にゲスト・ヴォーカルで出たんですけど、NAOKIさんもゲストで出ていて、楽屋が一緒だったんです。それで雑談していたら、NAOKIさんが"そういえばグリムとなんか作りたいねってKUMIと話してたんだよね"って言ってくれて、しめしめと思って(笑)。

-間違いなくそれはしめしめです(笑)。

松尾:"本当ですか!? 頼んだらやってくれるんですか!?"って聞いたら"やろうよ"と言ってくれたので、そこからスタッフに連絡してもらって、OKしてくれたという流れでした。

-お互い同じことを思っていたんですね。楽曲は4人だけのクローズドな空間で作ったそうですけども。

亀本:ちょくちょく空いてる時間に行ってやってましたね。

松尾:デリコのスタジオで、ギター・フレーズ1つ作るのもこれどう? あれどう? みたいな感じでセッションしながら作っていて。最初はやっぱりこっちでちょっと作っていかなきゃいけないと思ったので、ワンコーラスだけ持っていったんです。それが今の形になっている冒頭部分からサビ前までなんですけど。

-前までなんですね。

松尾:はい。それをKUMIさんとNAOKIさんも気に入ってくれて。ただ、今はA'メロみたいなところ──歌詞で言う"気取ってフリーダム"からが、実はサビだったんです。そこをNAOKIさんのアイディアで、このサビをA'にしたらもっと盛り上がるんじゃないかということになって。それでもともとあったAメロはそのままで、A'にサビを持ってきて、Bメロもそのままで、"ここからもっと広がるサビを一緒に作ろう"というところから制作が始まりました。

-4人での作業はかなり刺激が多かったと思うんですが、そこでも気付きはあったりしました? LOVE PSYCHEDELICOはこういう場面ではこうしているのか、みたいなものを知ったりとか。

松尾:なんていうか、何より超楽しくて(笑)。

-(笑)最高ですね。

松尾:もう全部楽しかったんですよ。それが自分の中で驚きだったんですけど、人と曲を作ることって、自分の中でハードルがかなり高いんですよね。メロディもできれば自分1人で作りたいタイプですし、そこが今までネックだった部分もあったんですけど。でもKUMIさんもNAOKIさんも、このメロディはOKだけどこのテイストはダメだよね、っていう好き嫌いが私と似てるんです。なのでめっちゃスムーズだったし、ストレスも一切なくて。亀とは一緒に作ってるけど、他のミュージシャンと一緒に作る楽しみをめちゃめちゃ純粋に感じられたし、ここまでいろんな曲を作ってきた中で、10周年にしてまた原点に戻ったというか、大学のサークルのような感じでわちゃわちゃ作ることができたんですよね。ただただお菓子を持ち寄って喋ってるだけの日もありましたし(笑)。

-いいですね。それこそサークルっぽい(笑)。

松尾:(笑)本当にいい経験でしたね。亀はNAOKIさんからいろいろ教えてもらってたよね? "俺はマイクはこうやって立ててるよ"とか。

亀本:うん。道具もいろいろあるんで楽しかったし、ギターも50年代とか60年代のやつを弾いたりして、それも楽しかったんですけど、やっぱりメロディですよね。サビの締めのところにある"I know it's gonna be alright"はLOVE PSYCHEDELICOチームが考えたんですけど、これが地味なんだけどすごく印象的なんですよ。

松尾:めっちゃキャッチーだよね。あの部分は、NAOKIさんが"こういう感じはどう?"って出してくれたんですけど、うちらはもうめっちゃデリコじゃん! みたいな(笑)。

-まさにですよね。

亀本:音程も低いし、リズムも派手じゃなくて結構どっしりとしているところで印象的なメロディを作れるのって、やっぱりすごいなって思いましたね。サビの他のところは僕がわりと考えていて、目立たせるにはとにかく一気にピッチを上げようみたいな(笑)、そういう方法論を取っちゃうんだけど、起伏もあんまりないのに印象的にできるのがすごいなぁって。

松尾:逆にNAOKIさんは"本当にこれでいい?"ってずっと言ってたけど、うちらが"これでお願いします!"って。

-歌詞も一緒に書いたんですか?

松尾:最初に持っていったところは私が書いていて、サビは一緒に書きました。

亀本:サビ以外も結構横文字多めなんだね。

松尾:うん。3人で何時間もこもって考えたんですけど、"日本語"が来て"日本語英語"、"日本語"が来て"日本語英語"っていう感じで私が歌って、その後ろでKUMIさんが英語でがっつり歌う構成にしようってまず決めたんです。一緒に違うものを歌っているんだけど、心は1つみたいな感じにしようと。ただ、その"日本語英語"って分かりやすくなきゃダメじゃないですか。それこそA'に出てくる"フリーダム"とか"デイライト"ぐらいの簡単な言葉にしようということになって。"エモーション"、"フィーリング"......"サティスファクション"はTHE ROLLING STONESだからOKでしょとか(笑)、みんなで辞書を見ながらアイディアを出しまくって考えましたね。

-タイトルはどんなところから出てきたんですか?

松尾:これもなんとなく思い浮かんだんですよね。"I know"の"I"に掛けようと思って、"「愛が満ちるまで」ってどうですか?"って聞いたら2人とも"いいね"と言ってくれて、これに決まりました。とにかくいろいろなアイディアを出し合いながら、"いいね"とか"まだ他にないかな"みたいに話し合いながら決めていった感じでしたね。

-それも楽しいですよね。

松尾:楽しかったですね。NAOKIさんもKUMIさんも否定をしないんですよ。あと、NAOKIさんはもうとにかく恥ずかしげもなくなんでも言ってくれるんです。"こういうのはどう?"、"じゃあこっちは?"って、こっちがアイディアを出しやすくする空気を作ってくれて。

-その空気を作るためにまずは自分がアイディアを出し続けるし、それだけアイディアを出し続けられる引き出しを持っているのもすごいですね。

松尾:ね? そうなんですよ。

-本当に素敵なコラボレーションになりましたね。ちなみに、今後はフィーチャリングを増やしていこうと考えているところもあるんですか?

松尾:今のところは特に考えてないですね。

亀本:あ、ホント? 僕はめっちゃやりたいです。今回はちょっとできなかったんですけど、せっかく誰かを呼んでやるのであれば、ヴィジュアルとかもちゃんと準備してやりたいなって考えたり。そのほうが相手にとってもポジティヴだと思うし。ただ、今回やってみて感じましたけど、単純に自分たちで1曲作るよりも遥かに難しくて。海外ではいっぱい行われていて、それでヒットしてる曲もあるけど、日本って意外とフィーチャリングでヒットするパターンがそんなに多くないじゃないですか。昔はちょっとあった気がするんですけどね。青山テルマさんとか。

松尾:YUKIとChara(Chara+YUKI)とか。

亀本:m-floとかね。最近のアーティストにもやっている方はいっぱいいるけど、結局個人単体のヒットよりは行かないところもあったりするので、そこにチャレンジしたいなという気持ちはありますね。フィーチャリングすることによってすごいものができて、そのプロモーションもちゃんとやるっていう。もちろん自分たちの曲も頑張る。

松尾:うん。私は相思相愛でやれる人が見つかればなんでもやりたい(笑)。私はそこが一番大事だと思っているので。

RELEASE INFORMATION

GLIM SPANKY
BEST ALBUM
『All the Greatest Dudes』
[Virgin Music]
NOW ON SALE

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【初回限定盤】(2CD+DVD)
TYCT-69333/¥7,000(税込)
フォトブックレット48ページ/歌詞ブックレット24ページ

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【通常盤】(2CD)
ブックレット40ページ
※ブックレットの内容は初回限定盤とは異なります。
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TOUR INFORMATION

"All the Greatest Dudes Tour 2025"
[2025年]
2月28日(金)北海道 札幌 PENNY LANE 24
3月2日(日)宮城 仙台 Rensa
3月8日(土)大阪 なんばHatch
3月9日(日)愛知 名古屋 DIAMOND HALL
3月14日(金)福岡 DRUM LOGOS
3月15日(土)広島CLUB QUATTRO
3月21日(金)Zepp DiverCity(TOKYO)

"All the Greatest Dudes Tour 2025 Extra Show"
3月23日(日)長野 飯田文化会館
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