Skream! | 邦楽ロック・洋楽ロック ポータルサイト

MENU

INTERVIEW

Japanese

nano.RIPE

nano.RIPE

Member:きみコ(Gt/Vo)

Interviewer:山口 智男

-ファンはどう受け止めるでしょうか(笑)?

どうなんでしょうね(笑)。それもやっぱり考えちゃうんですよ。自分の心の中をガッと吐き出した曲は、"あたしはこういう人間です!"っていう感じで、聴く方も、"あ、そうそう。きみコってこういう感じだよな"ってたぶん受け取ってくれると思うんですけど、恋愛って、聴いている方たちは知らない部分じゃないですか。だから、"あぁ、こういう感じなんだぁ"って思うのか、"こういう感じだと思ってた"って思うのか、それとも別の想像の物語として、自分に重ね合わせるのか、そのへんがちょっと怖かったりするんですよね。

-でも、ファンにしたらぐっと距離が縮まるようなところもあるんじゃないでしょうか?

そうだといいですね。「最終前」みたいな経験って、みんなしているんじゃないかな。ドラマでもあるじゃないですか。そう考えると、共感してもらえる曲になっているんじゃないかなと思います。

-「スターハンター」は、最初はこんなにシンセは入っていなかったんですか?

デモのときは、バンド・サウンドに寄せていましたね。でも、こういう感じの曲も作りたかったんですよ。"citrus"のオープニング主題歌に「アザレア」が決まったとき、それならこの曲(「スターハンター」)をそういう曲にしようって思って、そこに寄せてアレンジし直しました。

-シンセも結構入っているんですけど、あまり機械っぽくないと言うか、オーケストラルな印象もあって、nano.RIPEがやるならシンセを使ってもそういうふうになるのかなって。

そこまで考えてはいなかったですけど、シンセシンセした感じになりすぎないようにというのは、みんな、どこかで意識していたと思います。挑戦のひとつなので、こういうサウンドが主体になることは今後もないとは思うんですけど、幅が広くなっていくのはすごく面白いと思います。

-「スターハンター」は恋したときの気持ちを歌っていますが。

"citrus"の主題歌候補として提出したとき、歌詞は1番までしかなかったんですけど、そこまでは"citrus"の世界観に寄せて、初恋の衝動を書きました。そのあと、"citrus"から離れて2番を書いたとき、だんだんテーマが変わっていって、手の届かないものに恋をするっていう歌に最終的に落ち着きました。前回の『虚虚実実』ってシングルのカップリングに「ヒーロー」という空を飛びたいっていう曲があるんですけど、結局、人間なので空は飛べないし、どんなに憧れても空って手が届かないものじゃないですか。その続きの物語じゃないですけど、手の届かない歯痒さを、空に恋をする物語とも取れるように書いてみました。

-初恋の気持ちを歌っても、こういう世界観になるところがきみコさんらしいのかな?

ラヴ・ソングの中でもあたしらしいラヴ・ソングになりましたね。これは実体験ではなく、初恋ってこう、初恋のときの気持ちってこうっていう価値観を詰め込んだラヴ・ソングなので、そういう点ではあたしらしくなったと思います。

-ほんわかしないというか、甘酸っぱくならないところがらしいと思うんですよ。

初恋って、もっと甘酸っぱくてもいい気がしますけど、切羽詰まっている感じはありますよね(笑)。初恋の苦しさの方を歌っている感じですね。

-恋愛に限らず、手の届かないものを追い求めたいっていう気持ちがあるんじゃないかって。

たぶん、手に入れたいのに、届かないものが多すぎるんです。それも幼少期にできあがっちゃったものだと思うんですけど、女だからプロ野球選手になれないとか、女に生まれたからってだけで、挑戦する前から無理なものが、現実としてたくさん突きつけられてきたんですよ。それがすごく悔しかったというのが、ずっと根底にあるんだと思います。

-自分を縛る性別から自由になりたいという意味では、「アザレア」とも繋がるんじゃないかって、今、お話を聞きながら思って、やっぱり"citrus"のオープニング主題歌は、nano.RIPEで――

正解だったってことですね。むしろ、nano.RIPEがやらずして......ぐらいかもしれない(笑)。「アザレア」もきれいには書きたくなかったんですよ。障害のある恋を美化して書くより、こういうふうにしたかったんです。2番のサビの最後でも歌っているように、"望むならなんでもするよ"っていう気持ちが、いいことばかりではなく悪い方に落ちることすらできるんだよっていう、そういう残酷さも描きたかったんです。ラヴ・ソングを書いても、単純にきれいなものにならないところは、やっぱりnano.RIPEなんだと思います。

-2月の終わりには、東名阪で流田Project("nano.RIPE×流田Project 2MAN LIVE ~そろそろ確定申告だよ~")と、3月21日には東京でЯeaLとのツーマン・ライヴ("ЯeaL Яock Яevolution vol.6 ~ЯeaL vs nano.RIPE~")を行うことが決まっていますね。

去年、体制を建て直していたせいか、頻繁にライヴができなかったこともあって、ワンマンばかりになってしまったんですよ。ワンマンだけやっていると、なまるところもあるし、甘えちゃうところもあるし、それでワンマンもやりつつ、ツーマンも含め、いろいろなバンドと一緒にやりたいと考えています。今年、結成20周年になるんですよ。それもあって、いろいろなことをやっちゃおうって感じですね。ワンマンも、ツーマンも、弾き語りも、ファンクラブ・イベントも、他にも何か面白いことがあったら、1年かけてやりたいと思っています。