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INTERVIEW

Japanese

nano.RIPE

2015年04月号掲載

nano.RIPE

Member:きみコ (Gt/Vo)

Interviewer:山口 智男

今回のnano.RIPEには度肝を抜かれるぞ! メジャー・デビュー5周年を迎えたということよりも、それができるバンドに成長したということがやはり大きい。自ら殻を破って、新しいことに挑戦したいという想いが実った4thアルバム『七色眼鏡のヒミツ』。新しいという意味では、クラムボンのミトと完成させたオーケストラル・ポップなリード・トラック「こたえあわせ」他、計3人のアレンジャーを迎えた4曲が注目されがちではあるけれど、従来通りメンバーだけで作り上げた曲からもさまざまな挑戦が聴きとれる。彼らをそんな挑戦に向かわせたものとは?

-今年はメジャー・デビュー5周年ということで、年明けから攻めていますね。新作を聴いて、攻めているという印象がさらにはっきりしてきました。

はい。攻めています。ライヴでも攻め、アルバムでも攻め、スケジュールでも攻めています。攻めの1年にしたいと思っています。

-5周年ということがまずあると思うんですけど、2014年にどんな結果を残せたから、2015年は攻めの年にしようということなんでしょうか?

今のメンバーになって、やっと落ち着いたというか、試行錯誤しながらやっと"これぞnano.RIPE"というところまで辿りつけたことが大きいですね。そういうふうに思えるきっかけになったのが、去年の暮れにやった"有色透明"という各地2デイズのワンマン・ツアー。そこでnano.RIPEとして新しいことに挑戦しようと思えたんですよ。そのあたりからこの5周年の攻めに繋がっていると思います。2デイズの通し券を作ったら、両日遊びにきてくれる方がたくさんいたので、"1日目と2日目でセットリストをガラリと変えます"と宣言してツアーを始めたんですけど、ツアーの後半になるにつれ、どんどん変化が大きくなっていったにも関わらず、ちゃんと自分たちの目指すクオリティのものをしっかりと届けられたんです。そのとき、4人の結束も含め、バンドの底力がグッと上がったことを感じました。時間をかけて、そういう今のnano.RIPEになれたからこそ、新しいことにどんどん挑戦していってもnano.RIPEっていう軸からはぶれないという自信があったんです。

-新作もすごいよかったです。正直、びっくりしました。いや、びっくりしたって言うと......。

でも、びっくりしますよね(笑)。自分たちでもこういうことは本当だったら徐々にやっていくことなのかなって最初思ったぐらいなんです。1曲か2曲、そういう曲を入れて、"あ、nano.RIPEはこういうこともやるんだ"ってところから広げていくっていうのが道筋としては順調に行くのかもしれないけど、今回はもう、"あの時代、迷走してたよね"って言われてもいいぐらい振り切ったものを1回作っちゃおうって覚悟みたいなものと、そこまでやっても大丈夫なんじゃないかって自信もあったので、徐々にではなく、一気に4曲、外からアレンジャーさんを迎えました。

-曲作りはどんなふうに?

これまで通り次の作品はいつリリースするかわからないけど、それに向けてずっと曲作りを続けているっていう中から選んだ曲もあるんですけど、それ以外に"今回は、こういうアルバムにしたいよね"って話し合ってから作った曲もあるんです。これまでの3枚のアルバムは聴き終えたとき、どちらかと言えばダークな方のnano.RIPEの印象が残るような作品だったと思うんですけど、今回は聴き終えたとき、明るい方のnano.RIPEが残るような作品にしたいということがコンセプトとして挙がってきたので、そこから作った曲はやっぱり明るめの曲が多くなった気がします。ライヴをやっていると、暗い曲でも自分たちは笑いながら演奏してますし、もちろん暗いこともたくさん歌っているんですけど、お客さんもしんみりと聴いて、泣いて帰るというよりは一緒に楽しんで笑って帰るって人が多いと思う。そういうライヴ・バンドとしてのイメージと繋げたかったっていうのもありますね。

-そういうアルバムを作ろうと思ったとき、なぜアレンジャーを迎えようと考えたんでしょうか?

Track.14の「有色透明」という曲があるんですけど、その曲はもともと、昨年末のツアーのオープニングSEだったんです。それにギターのササキジュンがメロディを乗せてきたんですけど、それがすごくよくて。今まで同期を使ったり、4人以外の音を加えたりってほとんどしてこなかったんですけど、SEとして私のナレーションを乗せて、ライヴの初めに流していたものにメロと歌詞を乗せることには全然抵抗がなかったんです。そのとき、"これはこれでnano.RIPEらしい"ということに気がついて、そういうことをやっていってもいいんじゃないか。むしろこれまでが固定観念に囚われすぎていたんじゃないかって。聴いてくれるみんなの中にもそういうnano.RIPEもいると思うんですよ。「有色透明」を作ったとき、それが確信に変わって、挑戦の1枚にするなら大胆にアレンジャーさんを迎えて、自分たちの引き出しにないものを出してもらったらいいんじゃないか、そしてそれを吸収して、これから新しいものを自分たちから生み出せるようにしていきたいということからアレンジャーさんを迎えようと考えました。

-アレンジャーを迎えた4曲の中では、やはりTrack.1の「こたえあわせ」が特に印象的なんですけど、これはクラムボンのミトさんにアレンジをお願いしていますね?

出会いは"花咲くいろは"ってTVアニメでnano.RIPEがオープニング・テーマ、クラムボンがエンディング・テーマを担当したことがきっかけだったんです。もともと、nano.RIPEって4人とも好きな音楽や聴いてきた音楽がバラバラなんですけど、クラムボンだけは共通してみんな大好きで。"花咲くいろは"をきっかけにお付き合いさせていただくようになって、"いつか一緒に何かやりたいですね"ってことをなんとなく話していたんですけど、"僕らは本気でやりたい、やりたい"とずっと思ってて。だから今回、アレンジャーさんを迎えるって話が出たとき、当然のように全員が"ミトさん! ミトさん!"って(笑)。それで、お願いしてみたら、相当忙しかったにもかかわらず引き受けていただけました。