Japanese
SCOOBIE DO
2017年10月号掲載
Member:コヤマシュウ(Vo) マツキタイジロウ(Gt) ナガイケジョー(Ba) オカモト"MOBY"タクヤ(Dr)
Interviewer:岡本 貴之
-今回も中村宗一郎さんがエンジニアを務めていますが、これまでの制作方法と違ったというのは、どんなことを伝えたんですか?
マツキ:心地よく聴けるものを作りたいなと思って。バンドの音圧とかグルーヴ感とかばかりを突き詰めていっちゃうと、聴くものとして結構ヒステリックなものになりがちだっていうのが、SCOOBIE DOの傾向としてあって。どうしても最後のマスタリングの作業でグっと持ち上げてしまったりとか。ライヴのイメージでCDを作っていくと、これまでの結果として"心地よく聴けるものになっているのかな?"っていう部分もあったんです。デモも完成に近い形で作っていったので、心地よくマイルドに頭から終わりまで聴けるもの、作品としてクオリティの高いものを作ろうというのは、録る前から中村さんに伝えていました。その結果、これまでにないものになったと思ってます。
MOBY:なんとなく、"SCOOBIE DOはこういう感じ"というのを、全員が作品に対していつの間にかやりがちだったのが、『ensemble』でリーダーがデモを作って忠実にやるっていう形にシフトしてからは、マツキタイジロウのやりたいことをSCOOBIE DOでやってるっていう形にちょっと変わってきたというか。今までは何かやらなきゃいけないっていうノルマみたいなものが僕はぼんやりあったんですけど、今回それがなくて。のびのびやれている感じがありましたね。
マツキ:やっぱり、デモにすると聴いたとおりなので、今まではギター1本で"コード進行はこうでリズムはこうで"っていう感じで、お互いが想像する面白さももちろんあるんだけど、そうすると単純にそこで聴こえる音だけでアレンジしていかないといけないので。それはいい面もあればマイナスな面もあるんですけど、今回のような新しい作り方をすることで、やり方を変えればもちろんできあがるものも変わるよねっていうことですね。
ダンス・ミュージックだけどパーティー・ミュージックじゃない、"自分は絶対そこにあるままにノれる"ところがスクービーっぽいと思う
-ツアー・ファイナルとなる2018年2月11日には初のZepp Tokyo公演が控えています。どんなライヴにしたいですか。
コヤマ:もう、なんにも考えてないですよ。
一同:(笑)
マツキ:考えてないことが多いな(笑)。
コヤマ:でもね、バンドだからね、出ていってやればいいんです、出たとこ勝負でドカーンとやれば。あとは、あんまり考えているとおりにならなくていいというか、それがいいと思うので。
-4人でお客さんの前にバーンと出ていったときに、その場で何が起こるんだろうっていうのがコヤマさんの楽しみでもある?
コヤマ:うん、うん。単純に、同じライヴっていうのはないんですよね。そこがやっぱり面白くて。自分の中ではリアリティがあると思うんですよ。やってることはバンドが4人いて演奏しているっていうだけなんですけど。それを観て踊ったり騒いだりしているっていう光景は、まったく関係ない人からすると滑稽だと思うんですけど、そこもいる人にとっては真実なわけで、その感じが好きなんですよね。これはなんの役にも立っていないけど、少なくとも俺と前にいる人は興奮しているっていう感じが好きで。僕が今回のアルバムで感じてることは、ダンス・ミュージックだけどパーティー・ミュージックじゃないなっていうこと。すごくSCOOBIE DOっぽいというか、SCOOBIE DOの根っこの部分かなって。僕はライヴで"みんな楽しもうぜ"っていうやり方をするし、みんな楽しんでほしいんですけど、そんなに大勢が"ワー!"ってなることを最近はそんなに望んでないというか。いわゆる人を踊らせる音楽をやってるのに、なんかこう無邪気に騒げないんですよ、4人とも。音楽としては興奮するものをやりたいんだけど、ただ4人ともそういう人じゃないっていうか。なんかあるじゃないですか、全体で、みたいな。
-"みんなで一緒に盛り上がろう!"みたいな?
コヤマ:そうそう、大雑把に言えばEDMみたいな。あんまり詳しくないのでアレなんですけど、あの感覚とは違うんです。同じダンス・ミュージックかもしれないけど、ああいうのって"自分がなくなっていく"感じがするんですよ。結局自分が溶けて全部が1個になっちゃうというか。それで本当に楽しいのかって思うんです。僕らは踊れる音楽をやってるけど、ひとりひとりが踊ってパーティーになっているんじゃないかなって、最近思っていて。今回のアルバムはものすごく踊れるし、ノリもいいんだけど、"自分は絶対そこにあるままにノれる"ところがSCOOBIE DOっぽいと思う。だから、ライヴも最近はそういう感じがいいなって思っていて。踊れる音楽を鳴らしている方としては、その音でステップを踏ませたいという想いもあります。それによってお客さんの自意識が壊れていく瞬間は絶対にあると思うんだけど、ライヴが終わったあとは強烈に"これが自分なんだ"っていう自意識を取り戻して帰るってのがいいんじゃないかなって。だから、Zepp Tokyoもひとつひとつ、"俺たち対お前"がいっぱいある感じというか。
-発散するんだけど、そこで全部忘れてしまうということだけじゃなくて。
コヤマ:発散もするんだろうけど、強烈に残るものもあるというか。それはたぶん、"自分自身"なんじゃないかな。ソウルというか心というか、"あ、俺は俺だ"っていう。そういうアルバムだなって思う。ライヴっぽいアルバムではないけど、ライヴをやったときに、このアルバムの曲がグサグサ刺さっている奴らがいっぱい集まって踊ってたらすげぇ美しいと思うんですよね。そんなライヴにしたいです。
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