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INTERVIEW

Japanese

KOZUMI × それでも世界が続くなら

2017年01月号掲載

KOZUMI × それでも世界が続くなら

KOZUMI:ニシハラシュ伊東 潤(Vo/Gt) きたはらさき(Vo/Dr) 北原 康平(Gt) 岡 涼太郎(Ba)
それでも世界が続くなら:篠塚 将行(Vo/Gt)
インタビュアー:吉羽 さおり Photo by 川村 隼也

-今回、サウンド・プロデュースを手掛けた篠塚さんとはどういう出会いだったんですか。

康平:battaというバンドと2015年の夏にツーマンをしたんです。その場に篠塚さんはいなかったんですけど、battaとそれでも世界が続くならは仲が良くて、battaから"KOZUMIっていうバンドがいるよ"っていう話を聞いていたようで。その直後、吉祥寺Planet Kでライヴをしたときにたまたま篠塚さんが僕らのライヴを観ていたんです。それで、"お前ら面白いね"って。"俺らの企画に出てよ"って言ってくれたのが始まりでした。

篠塚:battaが、KOZUMIのことを好きだって言っていたんですよ。もともと、僕らがbattaからツーマンに誘われたんですけど、スケジュールが合わなくて断ったんです。そのときは、"しの君が出ないならワンマンでいいや"と言っていたんですけど、そのあと"すげぇ面白いバンドと出会っちゃったからそのバンドとツーマンやるわ"って言っていたのがKOZUMIだったんです。それから偶然、自分がバイトしていたライヴハウスでKOZUMIがライヴをやっていて、観てみたらかっこよかったから誘ったという感じだったんですよね。要は、たまたまなんですよ(笑)。

-作品をプロデュースするまでにはどういった経緯があったんですか?

岡:実は、そのイベントのちょっとあとくらいに"音源出してみない?"っていう話をもらったんです。でもその時点では、僕らが特に楽曲面で方向性が定まっていなくて、"今はまだ、全国盤として出すには早すぎます"と言ったんです。そしたら、"逆にそういうことを聞けて嬉しい"ということで、"じゃあ協力するから、今はやれることをひたすらやっていこう"と言ってくれて、リリースの話自体はいったんなしになったんです。そこからはひとりの人間として、ただただ僕らの音楽を良くするために力を貸してくださって。

伊東:それでそのころ、オムニバス用に1曲録ることになったときに、篠塚さんにエンジニアを頼もうという話から、気づいたらプロデューサーになっていた感じですね(笑)。

岡:その1曲はアレンジ面でもお手伝いしてもらったんですけど、ヤベぇのができたなっていうか。"これ、いけんじゃね?"っていう、いい自信がついたんです。でも篠塚さんからは、"アルバムは、全曲このクオリティじゃないと出さないから"って(笑)。

-篠塚さんは、曲作りの段階からスタジオでも付きっきりで?

岡:こっちが行き詰まったら呼ぶという感じでしたね。

伊東:まず固定観念をぶっ飛ばさないといけなかったんですよ。僕らはこの感じで3年間やってきて、その根本としてできた"KOZUMIはこういうものだ"っていう部分は残してくれたんですけど、うわべを全部ぶっ壊してくれる人が必要だったんです。そしたら、トンカチを持った篠塚さんが、ばーんって壊してくれて。

岡:下手したら重機みたいなものとか。

伊東:ダイナマイトでぶち壊してくれて。

-プロデューサーとして、篠塚さんはKOZUMIをどう見ていたんですか。

篠塚:職業ディレクターや職業プロデューサーという仕事はわからないから、なんとも言えないんですけど。僕の場合は同じバンドマンで、対等だと思っているから、普通にそれは違うと思ったら"違うんじゃない?"という話をして、かっこいいなと思ったら"すごくかっこいいね"という話をしているだけのつもりなんですよ。だから感覚的には、変わった感じはなくて、もともとこんなんじゃなかったっけ? というくらいなんですよね(笑)。でも、さっき言ったbattaのホシノ(タツ/Vo/Gt)から、"KOZUMIの音源聴いたよ、しの君がKOZUMIと付き合ってくれて良かったわ"って連絡が来て。battaはKOZUMIを見つけてきた奴らで、俺に紹介してくれた奴らでもあるので、嬉しかったですね。僕の感覚では、友達が大事にしていた友達だから、大事にしなきゃなっていうものなんです。

-とはいえ、ツイン・ヴォーカルにもなって、バンド・サウンドとしてはかなりの大手術だと思うんですよ。

篠塚:今のKOZUMIは、1曲の中で、自分の歌う部分は自分がメロディと歌詞を考えるっていう形なので、1曲に2曲入っていますから、変化は大きいですよね。でももともと、さきちゃんが歌うこと自体は、バンド内でも話が出ていたようなので、俺は自然なことだと思っているんですよね。たぶん一番不安だったのは、さきちゃん本人だと思うんです。さきちゃんは"いやいや、自分が歌うなんて"っていう感じだった。でも、他の3人は"歌ったら面白い"とずっと思っていたし、4人が世話になっていたライヴハウスの人からも、"歌ってみたら?"という意見は出ていたんですよ。さきちゃんの気持ちの面が支えられたらなと思うんですよね。実際、さきちゃんはどう思っていたの?

さき:......(気持ち的に)"大変"ですね(笑)。

一同:はははは(笑)。

篠塚:歌うことはどうなの? 例えば、楽しかったり、まだ不安だったりする?

さき:うーん、これから楽しくなっていくのかもしれないです。でも曲を作ることに関しては、すごく楽しいんですよね。"めっちゃわがままじゃん自分"っていう発見もあって。

篠塚:でも、潤がやってるバンドじゃなかったら、さきちゃんは歌ってなかったんじゃないですかね。潤の曲をさきちゃんが歌うこともあるから、潤からの"歌ってよ"ってひと言が大きかったんじゃないかな。作った奴に歌ってくれと言われるのが、一番嬉しいというか。歌っていいかなという気持ちにもなると思うんです。

-そこが最初に大きく変えるポイントだったんですね。

篠塚:そうですね、気持ちの面だと思います。バンドって、変わろうと思っても変われないじゃないですか。人間もそうですよね。例えば学校でも、夏休みが明けて、髪の毛の色を変えてみたいけどとか、服装を違う感じにしてみたいけど、自分は"こういうキャラクターだ"と思ってるから変えられない、周りの目が気になって変えられないというのはあると思うんです。それって、バンドにも言えることだと思うんですよ。この曲が好きって言われたから、逆にその曲をやらなきゃいけなくて、新しい曲が作れないというジレンマもきっとあるし。昨日に縛られて生きていくことって、たくさんあると思うんです。KOZUMIはそういうのが、変われる4人だったのかなと思うんです。でもどうなの、不安はない?

伊東:変わっていくことですか? 僕は、この3年間でいろんな人に会って、いろんな考えの人に会って、いろんな話をして。上京した当時の考えは、今そんなに持ってないんです。自分の考えというのはとてもちっぽけなもので。育ってきた環境やバックグラウンドはひとりひとり違うわけで、頭ごなしに"俺はこういう考えだから違う"って切り捨てるのは、自分の中に取り込むうえでとてももったいないことだという考えになっていったんです。

篠塚:難しいことだよね。いろんな考え方があっていいっていうのって、実際はなかなか取り込めないものだと思うから。

伊東:それを踏まえたうえで、じゃあ自分はどうなの? っていうところまでは、僕はちゃんと持っていたいなと思っているんですよね。なので、人に言われたことを一旦聞いて、そのうえで消化してみて、違えば違うし。