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INTERVIEW

Japanese

チャットモンチー

チャットモンチー

Member:橋本 絵莉子 福岡 晃子

Interviewer:石角 友香

武道館公演、そして地元・徳島での主催フェス"こなそんフェス"で10周年を自分たちらしく終えたチャットモンチー。1年8ヶ月ぶりとなるニュー・シングルは両A面で、しかもトリプル・タイアップという注目度の高い1枚に。スロー・テンポでこれまでにない質感の「majority blues」(首都医校、大阪医専、名古屋医専TV CMソング)、「消えない星」(映画"アズミ・ハルコは行方不明"主題歌)、そして「とまらん」(とくしまマラソン公式テーマ・ソング)の3曲は、サポート・メンバーを迎えた経験を反映した新たな2人体制を印象づけるアプローチを随所で聴くことができる。今、ふたりは何を目指し、どんな心境なのか訊いてみた。

-今回の3曲は、地元・徳島に帰っていたときの心情が大きく反映されているのかな? と思ったんですが。

福岡:地元に帰って書いたというよりは......でも「とまらん」(Track.3)はそうかな。

橋本:そうやね。「とまらん」(の歌詞)は、完全に徳島の阿波弁で、徳島レコーディングしましたから。でも、あとの2曲(Track.1「majority blues」、Track.2「消えない星」)は、東京で録りました。ただ頻繁に(徳島に)帰ってる時期ではありましたけどね。

-「majority blues」は、橋本さん作曲の曲調はもちろん、ギターの感じや歌詞の内容もすごく新しいなと思いました。

橋本:医療系専門学校のCMソングのお話をもらってから作ったんですけど、"わたし"をテーマにして作ってくださいっていうことだったので、考えました。

-すごいテーマですね。専門学校のCM曲って、"頑張れ"とかそういう背中を押すようなテーマが多いのかな? と思うんですけど。橋本さんは、その"わたし"というテーマをどう受け止めましたか?

橋本:「majority blues」は"こなそんフェス"(※2016年2月に徳島で開催されたチャットモンチー主催フェス)のちょっと前ぐらいに書き始めていて。ちょうど10周年が終わったあとのチャットモンチーについてというか、自分がどうしたいのか? をすごく考えていた時期でした。だから"わたし"というテーマも相まって、自分と向き合わざるをえない感じになりました。

-これからどうしていこうか、という?

橋本:そうですね。やっぱり10周年を迎えて今までを振り返ることも多かったし、徳島にもいっぱい帰ってたから、チャットモンチーっぽいことも含めて......それを守っていくのも自分だっていうことを書いたんです。30を超えた自分からしたら当時の感覚を忘れてしまっているので、これからお仕事に就く若い人たちに向けて書くというよりは、そのころの自分に向けて書いたという感じですかね。

-橋本さんが10代でチャットモンチーを始めたときの気持ちや、デビューのタイミングで東京に来られたときの気持ちを、これまで曲で聴いたことはなかったなと思って、率直に胸に迫るものがありました。"my majority"って歌い出しですけど、"majority"って多数派のことですよね。どういう気持ちで書いたんですか?

橋本:えっと......"マイブーム"って言葉をみうらじゅんさんが作ったという話を聞いたんです。ブームって大勢のものだけど、"マイ"をつける、それがすごい言葉だってことを何かで知って、"わ、めっちゃええな"と思ったから、ちょっと真似してる部分もあります。1サビの"みんなと同じものが欲しい だけど/みんなと違うものも欲しい"という部分も、なんかずっとそう思ってたなって。それで自分の中の多数側に対して反対してる思いを表すのに、その出だしが一番いいんじゃないかなと思って書きました。

-マイブーム的な意味での"my majority"なんですね。なるほどなぁ。

橋本:そうなんです。

-福岡さんは、最初に聴いたときどう思いました?

福岡:そうですね......今のえっちゃん(橋本)っぽいなと思いました。

-出会ったころとは違う?

福岡:もちろん、根本的には変わってないんです。歌詞にメロディがついてる状態で聴いて、新しい歌い方を模索してる時期でもあったので、"これは新しい感じできたな"って思いました。

-みんなと同じものもみんなと違うものも欲しいというのは、特にバンドを始めた10代のころに思っていたことなんですか?

橋本:みんなと違うことをしてるのもすごく楽しかったけど、10代だし、やっぱ流行りにも敏感なわけで。そういうことも気にしながら、"自分ってどっちなんだろう?"って思ってました。

-もちろん、みんなと同じじゃないと不安なところはあると思うんですけど、シーンに登場したときの橋本さんの存在感からしたら、今回の歌詞は意外というか。

橋本:あ、そうですか? 突き抜けて見られたかったというか、違うものを持ってる自分でありたかったというか。バンドを始めたころから、"私は違うことしてます"っていうふうに見せてましたね。迷いもありましたけど。