Japanese
チャットモンチー
Skream! マガジン 2017年08月号掲載
2017.07.09 @EX THEATER ROPPONGI
Writer 石角 友香
橋本絵莉子の喉の不調により約1ヶ月延期となったこの日だが、日曜日ということもあってか待ち望んだ公演を見ることができたファンが多かったようで、それがまず嬉しかった。東京でのワンマンは一昨年の10周年の日本武道館公演以来というのは意外だが、チャットモンチーの軸が、編成やアプローチの変化によってむしろ不変であることを知るライヴになった。
ステージ上には向かい合わせの2台のシンセ、ドラム・セット、ギター・アンプなどの楽器に加え、小さなバイクやプランツ類、消火栓、大きな脚立、洋服がぶら下げられたポールetc......が、まさに"秘密基地"の様相を呈している。そして"cm"のネオンチューブ。これから始まるライヴへの期待と同時に、自分もそこに行ってみたい、何をどうしたら何の音が出るんだろう? そんなワクワク感が自然に湧き上がる。
暗転したステージは"基地"を彩るライトが点滅し、演劇の舞台のようなイメージのなか、登場したふたりはヘッドフォンを装着しシンセに向かう。打ち込みのビートと鍵盤で表現された「レディナビゲーション」は、ふたりいわく"メカットモンチー"のアプローチを明確に示唆。思えば5thアルバム『変身』時の2人体制、6thアルバム『共鳴』時の男陣、乙女団でのアレンジ以上に、橋本の歌が始まらなければ、なんの曲かわからないほどのドラスティックな変化を見せるのが今回のツアーである。福岡晃子がフロアを見て"ポカーンとすると思うんですけど、それでいいと思います"と、ファンを安堵させるのも頼もしい。それでもブリープ・テクノも真っ青な低音でガラッとアレンジが更新された「恋の煙」まで、驚きと面白みをどう表現していいのかわからないフロアのリアクションが続いたが、「バースデーケーキの上を歩いて帰った」をこの日が誕生日の人に贈るという主旨で誕生日の人を挙手させると、存外多くの人の手が上がり、一気にあたたかいムードと笑いに包まれていく。"曲名言った方が安心するよね"という福岡の正直な言葉は、暗にそれだけファンが何が起こるかわからない表情をしていたことも示しているわけだ。つまりそれだけ、ファンが非バンド・サウンドへの果敢なアプローチを真剣に見守っているという意味でもある。
ふたりがそれぞれの部屋を行き来する設定で、橋本が"福岡の部屋"(福岡の定位置)に行って「とまらん」を演奏する場面で、橋本が"車で行くわ"と、F1さながらのSEを出したときは声を出して笑ってしまった。アッパーなこの曲のバスドラを踏みながら鍵盤を弾く福岡、すぐ横で同じドラムのバスドラ以外を叩きながら歌う橋本。地元・徳島のマラソン大会のために書いた曲だが、友達の部屋で一緒に演奏するというシチュエーションがハマりすぎだ。続いて橋本&福岡のふたりが"橋本の部屋"(橋本の定位置)に移動して、アコギと福岡のエレピ・サウンドで披露した「染まるよ」では、会場全体がこの曲が持つ――というか、チャットモンチーが持つ女性の切なさ、ブルージーな部分にため息をつきながら浸っているように感じた。転調後の橋本の声の力強さも素晴らしく、ここで復調を実感した人も多かったんじゃないだろうか。
中盤の「変身」以降の何曲かでは橋本がエレキ・ギターに持ち替え、腰のある太いサウンドを鳴らす一方、福岡はコーラスとエレピで"変身がまた変身した"アレンジを印象づけ、福岡がドラムに移動した「消えない星」では、ふたりが離れていながら横一列の状態になり、計り知れないロック・スター感を醸す。派手に動くふたりじゃないが、出す音、ファンへのまっすぐな態度が誰より今、ロックを感じさせるのだ。また、ギター・サウンドやフレージングのひとつひとつにいい重みのある「majority blues」も、ギター&ヴォーカル 橋本絵莉子の進化形を見せてくれたし、人のじゃなくて"私のマジョリティ"=チャットモンチーだよな、と、ふたりの覚悟が迫ってくる。そのたくましいアンサンブルで、Perfumeの「TOKYO GIRL」のカバーをオリジナルに消化した力量にも圧倒された。もはや、何が起こるんだろう? と構えるようなファンはほぼいなかったんじゃないだろうか。ちなみに、今回のツアーでは様々なカバーを披露したようで、GO!GO!7188のカバーではユウの声の高さに驚いたことなども含め、勉強になった、とふたりは言う。また、橋本が体調を崩したとき、福岡に"徳島の雑炊(おみいさん)を食べたい"と懇願し作ってもらったことなど、3月から続いたロング・ツアーを振り返った。さらっとだが、"いろいろ乗り越えた気がする"と言葉にした橋本の気持ちには、確かな手応えがあったのではないだろうか。
"ほんまにみんな、観に来てくれてありがとう"という橋本の感謝の言葉に続いて、"(テツandトモさんの踊りで)歌が全然入ってこないと言われてる「Magical Fiction」のPVなんですが(笑)、テツandトモさんご本人は(出演依頼を最初)不思議がってて"(福岡)、"最後まで「なんでだろう?」って言ってたな"(橋本)と見事なオチ。"彼ら(テツandトモ)を凌駕しましたね(笑)"という福岡の受けを経て最新曲「Magical Fiction」を披露。シャッフルのビートの心地よさはもちろん、失敗を笑いに変え、絶望を愛に変える魔法の呪文"さよなら"。福岡が深刻な悩みのなか、お笑いを見ている最中だけそのことをすっかり忘れていたことが作詞のきっかけになったという歌詞だが、まるでチャットモンチーというバンドの姿勢そのものじゃないかと、チャレンジングなライヴを観ながらその思いを強くした。およそふたりとは思えない音圧を「風吹けば恋」で叩き出し、ラストは「シャングリラ」の四つ打ちイントロに歓声が随所で上がる。途中からビートを打ち込みに委ねて、福岡がベースを持つとさらに歓声が大きくなり、ギター&ヴォーカル 橋本と、ベース 福岡のアップデートされた姿がそこにはあったのだ。バンドの最初期から変遷を遂げながらも、すべての経験を武器に変えてきたふたりが、変化と不変を一番わかりやすい形で見せたエンディングは見事と言うほかない。
アンコールでは、スチャダラパーと共作した「M4EVER」をふたりで披露。"母と息子"設定で母パートを橋本が歌い、ANIとBoseパートのラップを福岡が見事にこなす。しかも小さいキーボードを担いで交互に弾きながらラップもするという、実は相当練習が必要なのでは? という場面も貴重だった。そして最後の最後は"この歌をとめるな"というあのフレーズが、さらなる決意をそこにいる全員に頷かせた「満月に吠えろ」。最後の1音まで演奏しきったふたりの表情が痛快そのものだったのは言うまでもない。誰にも似てないロック・バンド、チャットモンチーのこれからの旅も見続けたい。
[Setlist]
1. レディナビゲーション
2. 隣の女
3. 恋の煙
4. バースデーケーキの上を歩いて帰った
5. とまらん
6. いたちごっこ
7. 染まるよ
8. 変身
9. 消えない星
10. majority blues
11. TOKYO GIRL
12. Magical Fiction
13. こころとあたま~湯気
14. 風吹けば恋
15. シャングリラ
en1. M4EVER
en2. 満月に吠えろ
- 1
LIVE INFO
- 2024.04.20
-
ZAZEN BOYS
tacica
People In The Box
Novelbright
にしな
ReN
崎山蒼志
Base Ball Bear
KANA-BOON ※開催中止
ズーカラデル
MYTH & ROID
小山田壮平
愛はズボーン
挫・人間
ポップしなないで
ヒトリエ
フィロソフィーのダンス
神はサイコロを振らない ※中止または延期
ORCALAND
ドミコ
AJICO
セックスマシーン!!
バンドじゃないもん!MAXX NAKAYOSHI
ねぐせ。
Mr.ふぉるて
SEKAI NO OWARI
いきものがかり
ぜんぶ君のせいだ。/ TOKYOてふてふ / 星歴13夜 ほか
Aqilla
レイラ
綾野ましろ
サカナクション
私立恵比寿中学
SILENT SIREN
MAGIC OF LiFE
ザ・クロマニヨンズ
獅子志司
女王蜂
LiSA
片平里菜
sumika
odol
- 2024.04.21
-
indigo la End
People In The Box
BIGMAMA
原因は自分にある。
KANA-BOON ※開催中止
ReN
ハンブレッダーズ
ズーカラデル
Base Ball Bear
挫・人間
SCANDAL
TK from 凛として時雨
moon drop
LONGMAN
岡崎体育
THE BOYS&GIRLS
ASP
AIRFLIP
神はサイコロを振らない ※中止または延期
ゆいにしお
ドミコ
ドラマチックアラスカ / 夜の本気ダンス / 超能力戦士ドリアン / ヤバイTシャツ屋さん
ROF-MAO
東京初期衝動
マカロニえんぴつ
AJICO
SEKAI NO OWARI
吉澤嘉代子
サカナクション
愛はズボーン
私立恵比寿中学
Lucky Kilimanjaro
Organic Call
ザ・クロマニヨンズ
羊文学
This is LAST
sumika
- 2024.04.22
-
礼賛
THE BAWDIES
- 2024.04.23
-
BIGMAMA
フラワーカンパニーズ
神はサイコロを振らない
白昼堂々踊レ人類
- 2024.04.24
-
ReN
FINLANDS
UNISON SQUARE GARDEN
AJICO
BUMP OF CHICKEN
- 2024.04.25
-
フレンズ
a flood of circle
FINLANDS
SHIFT_CONTROL
UNISON SQUARE GARDEN
Bubble Baby
挫・人間
BUMP OF CHICKEN
神はサイコロを振らない
the shes gone
KANA-BOON ※開催中止
- 2024.04.26
-
四星球
ReN
The Ravens
フレンズ
a flood of circle
BREIMEN
ズーカラデル
愛はズボーン
Base Ball Bear
原因は自分にある。
Mr.ふぉるて
ザ・クロマニヨンズ
Maki
いきものがかり
Alstroemeria
Aqilla
超能力戦士ドリアン
yama
THE BOYS&GIRLS
LONGMAN
MOROHA
Rhythmic Toy World
Homecomings
ORCALAND
POPPiNG EMO
ヤングスキニー
SANDAL TELEPHONE
- 2024.04.27
-
ぜんぶ君のせいだ。/ 星歴13夜 / TOKYOてふてふ
ReN
TK from 凛として時雨
TRIANGLE 2024
People In The Box
ポップしなないで
"ARABAKI ROCK FEST.24"
BIGMAMA
SEKAI NO OWARI
ズーカラデル
KEYTALK / キュウソネコカミ / ポルカドットスティングレイ ほか
セックスマシーン!!
SAKANAMON
原因は自分にある。
BACK LIFT
リュックと添い寝ごはん
Base Ball Bear
SCANDAL
岡崎体育
the engy
豆柴の大群都内某所 a.k.a. MONSTERIDOL
Johnnivan
スカイピース
バンドじゃないもん!MAXX NAKAYOSHI
Novelbright
Amber's
THE YELLOW MONKEY
Ado
SPENSR
- 2024.04.28
-
ASP
眉村ちあき
ASH DA HERO
ポップしなないで
TRIANGLE 2024
SAKANAMON
ザ・クロマニヨンズ
People In The Box
"ARABAKI ROCK FEST.24"
SEKAI NO OWARI
ぜんぶ君のせいだ。/ 星歴13夜 / TOKYOてふてふ
The Ravens
Omoinotake
THE BOYS&GIRLS
MAIZURU PLAYBACK FES.2024
いきものがかり
MYTH & ROID
愛はズボーン
SCANDAL
超能力戦士ドリアン
忘れらんねえよ
"JAPAN JAM 2024"
ハシリコミーズ
礼賛
にしな
Ado
Laughing Hick
- 2024.04.29
-
ReN
fox capture plan
岡崎体育
TRIANGLE 2024
小山田壮平
ザ・クロマニヨンズ
シノダ(ヒトリエ)
リュックと添い寝ごはん
私立恵比寿中学
ゆいにしお
Creepy Nuts
眉村ちあき
ASIAN KUNG-FU GENERATION / THE ORAL CIGARETTES / Vaundy ほか
moon drop
MAIZURU PLAYBACK FES.2024
Age Factory
the shes gone / Ivy to Fraudulent Game / ドミコ / パスピエ ほか
ぜんぶ君のせいだ。/ TOKYOてふてふ / Not Secured,Loose Ends ほか
The Ravens
愛はズボーン
"JAPAN JAM 2024"
Novelbright
超能力戦士ドリアン
ヤユヨ
Poppin'Party × MyGO!!!!!
- 2024.04.30
-
I Don't Like Mondays.
シノダ(ヒトリエ)
藤巻亮太
君島大空
山内総一郎(フジファブリック)×斎藤宏介(UNISON SQUARE GARDEN/XIIX)
フラワーカンパニーズ
- 2024.05.01
-
I Don't Like Mondays.
神はサイコロを振らない
ハンブレッダーズ
忘れらんねえよ
Rhythmic Toy World
アカシック
GRAPEVINE × Hedigan's
- 2024.05.02
-
サカナクション
君島大空
Novelbright
神はサイコロを振らない
ゆいにしお
Maki
- 2024.05.03
-
I Don't Like Mondays.
サカナクション
古墳シスターズ
フレデリック / 04LimitedSazabys / キュウソネコカミ / BLUEENCOUNT ほか
ぜんぶ君のせいだ。/ TOKYOてふてふ / 弐ノ名 ほか
忘れらんねえよ
"JAPAN JAM 2024"
清 竜人
ザ・クロマニヨンズ
VIVA LA ROCK
RAY
いきものがかり
RELEASE INFO
- 2024.04.20
- 2024.04.21
- 2024.04.22
- 2024.04.24
- 2024.04.25
- 2024.04.26
- 2024.04.27
- 2024.05.01
- 2024.05.02
- 2024.05.03
- 2024.05.04
- 2024.05.05
- 2024.05.06
- 2024.05.07
- 2024.05.08
- 2024.05.09
FREE MAGAZINE
-
Cover Artists
BREIMEN
Skream! 2024年04月号