Japanese
チャットモンチー
2014.11.21 @Zepp DiverCity
Writer 石角 友香
"えっちゃん(橋本絵莉子)は宇宙人みたいだし、あっこちゃん(福岡晃子)は男らしいし。でもふたりとも女性のブルースの部分を持ってる"。the chef cooks meのシモリョーこと下村亮介が自分たちのライヴのMCで話した言葉だ。可愛いのにかっこいいとか、自由に音楽をクリエイトしてるとか、チャットモンチーが唯一無二な理由はたくさんあるけれど、シモリョーのこの一言に大きく頷いてしまった。そう。だからこそチャットモンチーのライヴには、ロック・バンドのライヴに行くことが必ずしも日常じゃない人も、新しいバンド好きの人も足を運ぶんじゃないだろうか。
デビュー9周年を祝う今回のライヴ・イベント。出演者は発表されているものの出演順は分からない中、多数のファンが今夜ここで起こることの一部始終を見ようと開演を待つ中、暗転するとステージ上の樅の木(?おそらく季節柄そうではないか?)が9年の歳月を述懐しながら1番手の"あさ・ひる・ばん"を紹介する(ちなみに木の声は福岡)。広いステージに登場したのは橋本絵莉子の弾き語りスタイルによる"あさ・ひる・ばん"なのだが、設定は別人ということになっている。ウルフルズの「サムライソウル」を彼女らしい丁寧に言葉を伝える表現で届けると大きな拍手が起こる。続いてチャットの「キャラメルプリン」をカバー。"チャットモンチーの活動の隙間を埋める"役割であることを説明すると歓迎を込めた笑いが各所で起こった。この日でまだ2回目という"あさ・ひる・ばん"だが、アコギ弾き語りで堂々と仁王立ちする姿も繊細な表現ももっと見てみたい。そう思わせる橋本の地力があった。
続いては福岡晃子とおおはた雄一による"くもゆき"が登場。カントリーやラグタイム・テイストの「I see you, You see me~足湯のうた~」や「I ♡ パクチー~パクチーなしじゃ生きられない!~」を披露したふたりは、ステージ上とは思えない雑談風MCも交えながらライヴを進めていく。元々、親子で見楽しんでもらえるようなユニットと音楽を目指しているというだけに、レパートリーは食べ物や言葉の繰り返しが多く、すぐ覚えられるものばかり。ドラムを一部、マネージャーが叩くなど、まさに"超エコなバンド"(福岡)。"日曜日の朝ご飯をお父さんが作る、そんな曲"と紹介した「フライパパン」などなど、うまくいかないことも笑いながら楽しむような、普通の暮らしの中にある宝物のような曲に気持ちを温めてもらった。
さて、ステージ上の膨大な機材は彼らのものだったのか!と登場とともに腑に落ちたのは、シモリョー率いるthe chef cooks me。この日は7人編成の大所帯。キーボードだけでも3人、加えてパーカッションも躍動感を加えていく。アーバンなムードと牧歌的なムードが混じりあい、そして情景のもとに聴き手がおのおのの感情を託す楽曲が演奏されていく。1曲目の「環状線は僕らをのせて」がフィニッシュすると満員の会場から想像以上に大きな拍手が起こる。"チャットモンチーでサポートをさせてもらってるシモッチーです"と自己紹介しつつ、自分たちがバンドを続けてこられたのは2008年の"若若男女ツアー"で唯一、チャットが話しかけてくれたことが大きいと力説。半分、本当だと思われるそんな話や冒頭のふたりの印象を話すことで、オーディエンスの気持ちも巻き込んでいくのが分かる。ブルースと言えば、曲調じゃなく軽妙に"人生ってそういうものかもなぁ"と思わせる「適当な闇」、"チャットモンチーに捧げます"と披露された「song of sick」まで、どこかやるせない、でもソウルを感じるこのバンドならではの後味を残してメンバーはステージを後にした。チャット・ファンの前で自身のバンドの音楽を披露するシモリョーのいい意味での気負いと気合い。でもそこに垣根はほとんどなかったように思う。
続いてこの日唯一のトラックメーカー系であるgroup_inou。チャットの最新シングルに「変身」のリミックスで参加していることでファンの反応も上々だ。EDM的な快楽を作りながらどこか演歌っぽいメロディが出現したり、音で思わずにやにやさせてしまうふたりのステージは、オーディエンスにもいろいろな反応が伺えて面白い。お待ちかねの「変身」には"新進気鋭の女性ラッパー"として、チャットのふたりがテンプレなラッパーのノリで登場し、その徹底ぶりに会場もgroup_inouも大受け。チャットモンチー自身が1番楽しんでいたかもしれないその様子を見ると、歳月を経てタフになった彼女たちを頼もしく感じたのも確かだ。
自身も出演し、縁のバンド、グループとともに一夜限りのお祭りを盛り上げてきたこの日のトリはもちろんチャットモンチー。4人体制になって初めてライヴを見るファンも少なくない中、いい緊張感と待望感がピークに達したところにメンバーが登場。いきなりソリッドな橋本のリフと恒岡章の五臓六腑に響くリズムが、どこかふんわりしていた空気を切り裂く。最新シングルから「こころとあたま」で強力な挨拶といったところか。続く「ハテナ」でも、既にこの4人のアンサンブルの屈強さを叩き出す。特に橋本が4ピース・バンドのセンターで堂々とプレイし歌う姿は、ますますしなやかで図太いものになった印象だ。下村亮介の加入が曲に新しい色彩を加えた「シャングリラ」で、フロアも存分に弾け始める。それにしても当然と言えば当然だが恒岡のビートがシュアで素晴らしい。"9周年を仲のいいバンドとお客さんに祝ってもらえてありがたい"と感謝を述べる福岡を一瞬遮るように"あ! あの話、いつするの?"と焦った口調の橋本に笑いが起こる。なんでも10周年を迎える2015年元旦にオフィシャルHPで重大発表があるとのこと! 告知を終えると、再び現メンバーのアレンジ、特にオルタナとR&Bのニュアンスが混ざった印象の「Yes or No or Love」が新鮮だったし、お母さんになった橋本が歌う「親知らず」に、今までと同じものとちょっと違うものが同時にこみ上げるのを感じつつ、音源よりさらに自由な「いたちごっこ」のユーモアとシニカルさににやつき、下村もギターを持っての「恋愛スピリッツ」では、彼が言っていた女性のブルースの部分、チャットモンチーという狭義のロック・バンドを越えた表現者としての奥の深さを体現。感動なんて言葉は生ぬるい。改めてチャットモンチーが揺さぶる感情の大きさや普遍性を痛いほど知ったというべきかもしれない。
あっと言う間に終わった本編。もちろんやまないアンコール。再登場したメンバー、今度は福岡がギター、下村がベースにスイッチしてなんとHi-STANDARDの「NEW LIFE」のカバー! 橋本は自身のルーツをオリジナルの張本人とともに演奏するという緊張と嬉しさを目一杯ギターをかき鳴らすことで昇華したように見えた。アンコール2曲目はgroup_inouの「JUDGE」をカバーでお返し。橋本ヴォーカルとバンドの演奏でチャットのオリジナルか?と思しきアレンジに変身させていた。こんなアプローチも音楽家としてタフになった今のチャットモンチーならではだろう。大団円は出演者一同に会しての「満月に吠えろ」。ゆるキャラたちも登場して和気あいあいのエンディングとなり"文化祭やー"と叫んだ福岡の気持ちもしごく当然だけれど、楽しいだけじゃない、彼女たちの音楽を求め続ける気持ちの中にひとつまみのブルース、これが大きなモチベーションなのを思い知った。10年目、さらに無二のバンドとして再会できる日が待ち遠しい。
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