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INTERVIEW

Japanese

植田真梨恵

2016年07月号掲載

植田真梨恵

Interviewer:石角 友香

-そして"8月がやってきた!"みたいな感じになるのがTrack.2「ルーキー」かなと。この曲はさらにラウドだしエモっぽいですね。

そうですね。曲を書いているときもレコーディングしてるときも楽しかったです。アイディア自体は結構昔からあって、2年前にメジャー・デビューしたころから最初の2行はできあがってたんですけど、これをどうしようかなと思って、そのまま続きを作らずに置いていたんです。でも"甲子園の曲を書いてみませんか"とお話をいただいて、なんとなくこの曲も野球の曲だから続きを作ってみようかなと思って完成させました。

-何の番組に起用されるんですか?

KAB熊本朝日放送の"めざせ!甲子園"さんなので、熊本県で放送されるものですね。地震の前にお話をいただいていて、2曲送ったんですけど。野球をしている中でたぶんみんな――私、あんまりスポーツは詳しくないのですが、"このあとどうなる?"って固唾を呑む瞬間が野球の面白いところでは? と思っているので、その一瞬が出せるといいなと思って。結局、最初から最後まで"一瞬のこと"しか歌ってないですね(笑)。何も展開しないんですけど。

-"ノーマークのルーキー"って、やってくれるかどうかを期待する象徴ですね。

曲を書いたのはデビュー直前ぐらいの時期だったので、いろんな曲を書いて"どんなふうにしようかな?"と思ってたんですね。その中でもこの曲はマイナー調のちょっと和メロっぽい曲で、そのときはなにか違うと思って止めてたんですけど、今回タイミングが合って完成しました。作っていて面白かった曲です。

-当時はなぜ違うと思ったんでしょう。

ボーカロイドがすごく流行ったじゃないですか? その余波みたいなものがまだあるときに、この曲の最初のアイディアができたんですけど、これで今出したら"すごくボカロっぽいね"って言われそうだなと気にしてしまって(笑)。それもあってメジャー・デビュー以降、なるべく転調しないようにと。私、それまでは拍子が変わることもよくあったんですけど、なんとなく流行に乗ってる感じがしてしまって、しばらくそれらを封印してたんですね。で、「ルーキー」に手をつけたときに転調を解禁しました。解禁してみたら、結局、作っていてすごく楽しかったです(笑)。

-ボカロも定着してブームはちょっと去った感じがあるので、この曲にそういう印象はなかったです。

そうですね。今なら大丈夫だなと思って。特に日本語の歌詞を乗せて目まぐるしく展開すると情報量が多くなるので、難しいなと思ってたのが今はまったく問題なく書けました。

-どっちかといえばバンド曲的な感じがします。

たぶんアレンジャーのBonnさん的に――この曲もインディーズ時代に一緒にやっていたアレンジャーさんに頼んだんですけど、私が10代だったころの"もっとドカドカ、もっとバンドで!"みたいな要求を聞いてくださっていた方なので、最初にあがってきたアレンジがもっと激しかったんですよ。2ビートみたいなのが届いて(笑)。"めっちゃバスドラ鳴ってるねー"って、単純に歌詞が入ってこなかったので変更してもらったんですけど(笑)。アレンジャーさんの挑戦もありながら、作り上げた感じでしたね。

-勢いのいい曲が揃いましたね、「ふれたら消えてしまう」も「ルーキー」も。

そうですね。どちらの曲もレコーディングが面白かったですね。いつもとちょっと違う環境で、ライヴハウスのフロアでコンクリート打ちっぱなしの壁が反響しまくるところで録ったので。

-音の質感も違って面白いのでまたやってほしいです。そしてTrack.3「まわりくるもの」ですが、これは弾き語りですか?

完全弾き語りで、クリックも聴いてないですね。作り込んだ2曲が収録されたシングルだし、より身近に感じる曲が1曲入るといいなといつも思うので、毎回こういう曲が入るんです。

-最近の曲ですか?

めちゃめちゃ最近の曲ですね。

-この曲の歌詞"ゆめをゆめのままで ずっとずっとずっと紡ぎたい"っていうのも、わりと「ふれたら消えてしまう」に近い印象を持ちました。

そうなんですか(笑)? ずっと長く思い描いてきた夢を私は久留米の街で見始めて、それが大阪に移り住んでからも変わらず夢としてあって。それで一応、メジャー・デビューすることになって"夢が叶いましたね"と言ってもらうこともたまにあるんですけど、私にとってはまだ変わらず夢だし。最近、活動を始めて10年が経って"いつまでこれをやるのかな"ってほんの一瞬思ったりしたんですけど、単純に夢を追いかけてることが私にとって意味があることだし、たぶんまだまだ叶わないなというのもあって。

-"どこがゴールか?"なんて歌うことはないだろうし。

そうですね。夢が夢じゃなくなって、終わっちゃうのが一番寂しいなぁと思っていて。キラキラしてトキメキがあるから、しんどくてもちゃんとそこに向かっていきたいと思えるのがいいなと思っています。

-ところで"まわりくるもの"とは、どういうイメージですか?

その時々で回っていくので。ずーっと続いていくものでもあるし、季節が変わっていく感じもそうですし。故郷のように、"思い出して訪れて、また忘れて"という感じ? それがたぶん"まわりくるもの"というタイトルに繋がっていると思います。

-『スペクタクル』のときも話しましたが、今年25歳ということでひとりで活動を始めて10年になるわけで。同じ歳の友達と話をしていて何か感じることは?

みんな悩みがあって、私より全然大変だよなと思う友達もいるし。私はその点、超好きなことして生きてるよなと思ったりするんですけど(笑)。でも、"私が大人になんなきゃいけない"という場面にぶつかるタイミングがどんどん増えていますね。みんなも同じなんだろうなと思いますけど。

-そして7月23日には赤坂BLITZでワンマン・ライヴが開催されますね。今回はバンド編成ですか?

バンドです。それは決まってます。特に今回はいろんな場面があるライヴになるといいなと思ってます。(ライヴのタイトルから)"UTAUTAU"は削ぎ落としてるんですけど、今回はそんなにシンプルじゃなくて、もうちょっとワクワクする要素や夢っぽい要素があるイメージに近いと思います。高揚感というか、みんなにフワフワしてほしいなと思っています。