Japanese
ドラマチックアラスカ
2016年02月号掲載
Member:ヒジカタ ナオト(Vo/Gt) マルオカ ケンジ(Ba) ニシバタ アツシ(Dr)
Interviewer:麦倉 正樹
-衝動だけではないというか。
ヒジカタ:あと、絶対に仮歌詞を書くようにしたことも関係しているかもしれないですね。それまでは、レコーディング前日まで歌詞がないっていうのが常だったんですけど、それだと曲のイメージがわかりにくくて全員が作りにくいし......曲の構成にも関わってくるんですよね。なので最近はとにかくデモの段階から絶対に仮歌詞を作るように心がけています。だからこそ、そういう音楽的な仕掛けが、いろいろと作れるようになったのかもしれないですね。
-仮歌詞があれば、歌の隙間を狙って音を出すことができる、というような?
ヒジカタ:そうですね。それこそ"ロック"っていう言葉がなかったら、安田君のリフも生まれなかったと思うし。逆に言うと、仮歌詞さえあればいろんな構想が考えられるんですよね。そういうことを、4月にリリース予定のミニ・アルバムに関わってくれている亀田誠治さんに、いろいろと教わりました(笑)。
-この曲はCS放送のドラマ"よろず屋ジョニー"の主題歌として書き下ろした曲でもあるんですよね?
ヒジカタ:もともと歌詞の大枠はあったんですけど、そのあとドラマのタイアップのお話をいただいて。それで、ドラマの台本を全部読ませてもらったんですけど、そのドラマの主人公が――というかその世界観自体が僕らに通じるところがあって......。
-どんな内容のドラマだったのですか?
ヒジカタ:探偵というか、"よろず屋"をやっている主人公が他人の家に隠しカメラを仕掛けて、その人の私生活を覗き見しながらいろんな謎を暴いていくっていう話なんですけど。その主人公が結構ダメなやつなんですよね(笑)。
-ダメなやつ(笑)。
ヒジカタ:いろんなことがうまくいかなかったり......自分と重なるところもあって(笑)。ドラマの世界観が、バンドの世界観とリンクしたんです。だから、半分くらい作っていたものに、さらにドラマの世界観を乗せていって......ドラマの制作チームの人たちもすごく喜んでくれたし、タイアップのイメージがちょっと変わりましたね。
-ドラマのために曲を書き下ろすっていうことは、今回が初ですよね?
ヒジカタ:そうです。でもこの制作方法は結構いいかもって思いました。僕は、自分でテーマを設定するのがすごく苦手なタイプなので、概念みたいな抽象的なことばっかり書いちゃうんですよね。だから、今回のようににあらかじめテーマを与えられていると、すごくやりやすいかもしれないです。ドラマの制作チームの人たちに言われたのは、"もっと言葉遊びがあってもいいんじゃないか"、"冒頭に「ロック!」っていうかけ声があってもいいんじゃないか"ってぐらいで、あとはホントに自分たちのやりたいようにやれたんですよ。ドラマの制作の方たちっていうのは、僕ら以上に世間一般に向けた感覚を持っているので、その人たちのアイディアがちょっと新鮮に感じるところもあって。
-なるほど。ちなみに、今回のカップリングとなっているTrack.2「オーバーキャスト」とTrack.3「スノーメルト」に関してはいかがでしょう?
ヒジカタ:今回のカップリング曲は、すでにあったものの中から、タイミングを考えてこの2曲を選びました。-それは季節的なことですか?
ヒジカタ:そうです。さっきも言ったように、何かを狙って作るっていうのがホントに苦手なんですよね。だから、3曲目に入っている「スノーメルト」という曲も、実は一昨年の夏ぐらいに作っていて......。
ニシバタ:たしかに、最初に作ったのは夏やったな(笑)。
ヒジカタ:ただ、その時点から仮タイトルが"冬"だったので、これは夏には出せないなって言ってて......それを今回、ようやくみなさまのお手元に届けることができました(笑)。
-(笑)。「オーバーキャスト」はどんなイメージで作った曲なのですか?
ヒジカタ:"オーバーキャスト"っていうのは、パラグライダー用語で"曇り"っていう意味らしいんです。最初、グレーがぶわーって頭の中に広がるイメージが浮かんできて。ただ、色はグレーだけど、やっぱり男女がいるなあって思って。
-ただし、微妙に当事者ではないというか(笑)。
ヒジカタ:そう。だから、かすりかけのラヴ・ソングというか、そういう何かちょっと変な歌を書いてみようと思って(笑)。こういう曲はカップリングならではですよね。
-そんな3曲入りの本作を、どのようににリスナーに受け止めてもらいたいですか?
ヒジカタ:タイトル曲に関しては、ライヴでの手応えもめちゃめちゃ良くて......「オーバーキャスト」ではちょっと変なこともしているけど、「スノーメルト」はいつも通りのアラスカっていう感じで。だから、シングルなりにすごく振り幅の広い作品になっていて、ライヴの予習にもなると思いますね。3月はツアーでいろんなところを回る予定なので、このシングルをきっかけに、ぜひライヴに遊びにきてもらえたらなって思います。
ニシバタ:『人間ロック』の3曲は、すごく入りやすくて聴きやすさを打ち出しつつ、やりたいことをやりながら、アラスカらしさもある曲になりましたね。今年一発目のリリースとしては、すごくいい作品になったと思います。
マルオカ:ドラマの主題歌っていうこともあって、「人間ロック」はこれまで以上に曲の良さをわかりやすく伝えられるような1曲になったと思うんですよね。なので、コアな音楽ファン以外の人にも聴いてもらえたら嬉しいですね。
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