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INTERVIEW

Japanese

Poet-type.M

2015年07月号掲載

Poet-type.M

Member:門田匡陽

Interviewer:石角 友香

-この歌詞はまんまですよね。自分の人生なのに行動原理が情報になってしまってる状態。

はい。Track.3「窮屈,退屈,卑屈(A-halo)」もそういうところがあるんです。で、"ダイヤモンドは傷つかない"はそれに対する僕のひとつの答えというか、今ってTwitterのリツイートもそうだし、Facebookのシェアとかもそうなんだけれども、ふと目にした情報を横に流すことで、それが自分の意見でもなんでもないのに、自分の意見だって錯覚しやすい世の中になっちゃってますよね。シェアしたことで、"何かを言った"という気になってしまう。リツイートしたことで、それは自分の意見だと思ってしまう。それは情報の誤った使い方で。つまりそういったことに対するひとつの選択肢として"言わない"っていうこと、沈黙するっていうことがあると思うんですよ。胸に秘めておくという情報の処理の仕方ですよね。僕は思ったこと、自分が感じたことをすべて言わないといけないって思わない。言わないといけないことは言うけれど、だけれども全部言ってしまったら、そこにはミステリーもファンタジーもなくなってしまうんですよね、人間って。だから、"言わない"、"胸に秘める"っていう選択肢、それを礼賛したいんです。そのことをダイヤモンドに例えてるというか。

-沈黙してるうちに自分の中でただの情報が淘汰されたり、自分の考えになったり、言葉になっていくわけで。今の時代のようなコミュニケーションのツールがなくても言う人は言ってたわけですよね。

うん。そこで初めて価値があるじゃないですか。それでも言うってことに関して。だから今、言葉がぬるいんですよ。簡単に言えちゃうし、簡単に人目につくから、温度がぬるいんですよね。ネットにはびこる言葉。でも、本当に思ってることって相手に直接言わないと、何にも感じられないじゃないですか。相手の目を見たらわかることもたくさんあるし、だから正直、それをね、僕はこれからの世代を悲観的に考えることはないんですよ。僕は楽観的なので。そうじゃなくて、僕らの世代に関して"お前らなんでそんなにかっこ悪いの?"って思います(笑)。

-沈黙すべきことの良さも知ってるはずなのにってことですか?

気持ち悪いんですよ。Twitterとかで同世代のミュージシャンとか見たくないですもん。"じゃあ音楽やんないで"って言いたくなるんですよ。総かまってちゃん時代ですよ。そういった意味では。でも孤独は自分だけの宝物ですから。

-たしかに。せっかく自分ひとりでじっくり感じられるものを熟成させていくといいのかもしれない。

うん。ほんとは存在しない二次元の話なんです。例えばいろんな音楽性があって、今若い子がやってるような音楽性ならば、ちょっとカラフルなヒップスター的なミュージシャン像、人間像っていうのがあって。そんな人、誰もいないのにみんなが自分はそうなりたいと思って、イメージの威を借りる。人のではなく、そういうイメージをまとうようにするんです。そういったことを、僕は自慰だと思ってる。せっかく親が名前をつけてくれて、世の中にひとりで生まれてきたのになんでそんな気持ち悪いもやっとしたものになろうとするんだろう?って。それが若かったらまだいいんですよ。いろんな言葉で片づけられますから。中二病でもいいです。でもそれをね20歳すぎてやってたら、ただのバカなんですよね。

-そのもやっとしたものっていうのは何なんでしょうね?

それがまぁ、「その自慰が終わったなら」の最後で歌われている"願わくば誰かじゃない素顔で"ってことなんですよね。やはり......その情報という言葉、情報という価値観に対して、今、もやっとした何かって言ったけど、僕からしてみたらそれは現代的な幽霊なんですよね。神でもなんでもないです。現代的な幽霊。その幽霊にみんな取り憑かれてるんじゃないかな?っていう気持ち悪さがありますよね。

-気持ち悪さもあるし、寂しさもありますね。

うん。僕は、昔の映画が好きで、白黒映画のころの映画を観たりするのが好きなんですけど、それ、何が好きかと言うと、そのときの社会背景とか人間がどんな温度で生きてるかがすごく気持ちいいんですよね。つまり面と向かって言うことによって、ある程度の覚悟を持ってみんな生きてる。音楽を作る、文章を書く、何かを言うってそもそもそれがあって成立するんです。これは文化ですから。インフラじゃないですからね。

-さて、具体的に曲の話に戻りたいんですけど、「瞳は野性、星はペット」のイントロは80'sニュー・ウェイヴのファンキーなイメージで軽快ですね。

そういう感じですよね。「瞳は野性、星はペット」は前作で言ったら「泥棒猫かく語りき(Nursery Rhymes ep3)」(春盤:Track.5)みたいな立ち位置。要するにこういう曲をみんなが童謡として口ずさんでる街、そういう意味合いがあります。なのであえて脳天気な音作りにして。すごく僕の中でこの夏盤は重くなってしまったので、結果的にこういうカンフル剤があってすごく良かったなと思ってます。

-重いというのは? 内容的に?

そうです。内容的には僕の中ではすごく重い1枚になってしまいました。Track.4「神の犬(Do Justice To?)」に関しても、これは"Dark & Dark"という街というか、もっと大きく考えると国ですよね。"Dark & Dark"という国があって、そこにある軍隊の軍歌というつもりで作ってるんです。