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DISC REVIEW

話せてなかったこと

マイアミパーティ

話せてなかったこと

新メンバーを迎え、2017年7月より現在の編成で活動している札幌発の4人組にとって、初めての全国流通盤となる1stミニ・アルバム。タイトルでも謳っているとおり、話せてなかった心の内を吐露しているという意味では、今風のナイーヴなロックには違いないが、常に前のめり気味のしゃがれ声のヴォーカルとフォーク・パンクなんて言ってみたい目の粗いバンド・サウンドで、その他大勢に差をつける。6曲中5曲が5分超え。作詞を担当するさくらいたかよし(Vo/Gt)には歌いたいことがたくさんあるらしい。バンド名と演奏している音楽のギャップにも意表を突かれる。勢いだけに頼らず、ミドル・テンポの演奏を淡々と聴かせるフォーキーな「あいまい」のような曲にも挑戦する心意気も好感が持てる。(山口 智男)

physical mind

マカロニえんぴつ

physical mind

スタジアム公演で2日間約5万5,000人を沸かせた一方、キャパ250人の初ワンマンの地でもライヴを開催する等、これまでの歩みを噛みしめるようにデビュー10周年イヤーを駆け抜けてきたマカえん。そんな2025年を締めくくる今作もタイアップ曲満載で、"大衆的"という意味ではポップスとも言えるが、やはり彼等は生身のロック・バンドであるということを再提示している。"フィジカル"と"マインド"をもって人と人、熱と熱がぶつかり合うことで生まれる、活き活きとしたバンド・サウンドを鮮度高く収録。自由で多彩な音色に加え、楽器陣がそれぞれメロディ・メイカーとしての才も発揮し、成熟したバンドのさらなる可能性を見せてくれる。原点と現在地が共鳴し、未来への期待が高鳴るような充実作。(中尾 佳奈)

たましいの居場所

マカロニえんぴつ

たましいの居場所

結成から10年、今やメジャー・シーンを賑わすバンドとなったマカロニえんぴつの最新作は、原点回帰とも言えるシンプルでストレートなロックを鳴らしている。前作の多彩且つ重厚なアレンジから一変、音数を絞り肩の力が抜けたサウンドに。インディーズ時代を彷彿とさせる懐かしさを感じる一方、歌詞には"今"の彼らが詰め込まれている。歌を届け続ける自身を鼓舞する「たましいの居場所」、花火用語を用いたタイトルが美しい「星が泳ぐ」に続き、曲名からして癖の強そうな「街中華☆超愛」で振り切った遊び心を見せると、最後はメンバーそれぞれが今の思いを素直に歌う「僕らは夢の中」でグッと心を掴み締めくくる。"夢を魅せる"側に立った今、彼らが伝えたいのは"ロックバンドは最高だ"というロマン溢れるまっすぐなひと言だった。(中尾 佳奈)

ハッピーエンドへの期待は

マカロニえんぴつ

ハッピーエンドへの期待は

10作のタイアップ曲に提供曲のセルフ・カバーと、その豪華さがメジャー・シーンでの活躍を物語るメジャー1stフル・アルバム。アカペラの多重唱で幕を開ける表題曲、レゲエやジャズなどの要素を盛り込み急展開を見せる「トマソン」など、様々なジャンルをロックに落とし込みマカロニえんぴつ色に染め上げた楽曲が並ぶ。中でもインパクトを残すのは「TONTTU」。重いロック・サウンドにハード・ロック・バンドのヴォーカリストを彷彿させる歌声、オルガンをバックに繰り広げる寸劇......とやりたい放題だ。そんな癖のある遊び心満載な楽曲のほか、待望の音源化となった弾き語り曲「キスをしよう」や温かいラヴ・ソング「なんでもないよ、」などストレートな楽曲も。求められていることに応えつつ、やりたいことを詰め込んだ渾身の1枚。(中尾 佳奈)

「はしりがき」EP

マカロニえんぴつ

「はしりがき」EP

マカロニえんぴつによる、全曲にタイアップがついた話題性抜群の作品。表題曲「はしりがき」は"青春"をテーマに描いた1曲だ。青春と聞くと過去だけを思い出しがちだが、今この瞬間も未来も青春になり得ることを気づかせてくれる。また、後半の大胆なアレンジも要チェックだ。さらに、「listen to the radio」ではキャッチーなメロディの中に描かれる"夜を縫い合わして"、"「クズね、でも居た方がいいクズ」"など、どこか切ないけど愛のある歌詞に惹かれるリスナーは多いはず。全曲を通じて、はっとり(Vo/Gt)の持ち味でもあるワード・センスを存分に発揮している。タイアップをこなすごとに新しい表情を見せてくれる彼らが、次はどんな一面を見せてくれるのか、期待が高まる。(伊藤 美咲)

愛を知らずに魔法は使えない

マカロニえんぴつ

愛を知らずに魔法は使えない

結成9年目のメジャー・デビュー作。メロディの普遍性、怯まず芯を食う歌詞の誠実さを前提としながらも、時には1曲の中で曲調、テンポや拍子まで変えながらバンドの変態性、遊び心を炸裂させている。スタジオに集まって音を鳴らすときの"これぞバンド!"な温度感のまま、広いフィールドへ飛び出す。彼らが挑もうとしているのはおそらくそれだが、このEPを聴けば"きっとやってのけるだろう"と自然に思わせられる。長いことネクスト・ブレイク候補と言われ、その状況も自虐的に歌詞にしてきたが、内的充実と外的契機が噛み合い、いよいよ時は満ちた。"もう迷わず探せるから 繋ぎ留めることも追い過ぎもしない"(「ルート16」)という言葉からも、バンドの今が透けて見える。(蜂須賀 ちなみ)

hope

マカロニえんぴつ

hope

マカロニえんぴつにとって約2年半ぶりとなる待望のフル・アルバム。「レモンパイ」や「ブルーベリー・ナイツ」といった人気曲や、私立恵比寿中学に書き下ろした「愛のレンタル」のセルフ・カバー、TVドラマやCMなどのタイアップ・ソングも多数含む全14曲が収録され、ここ数年での飛躍的な活動の集大成とも言えるような作品に仕上がっている。また、日常で感じる幸せとため息を混ぜるように描いた「hope」や、"少年だった僕たちは/カネを知ってヒトになった"と、大人になって忘れてしまいそうな感情をハッと思い出させてくれる「ボーイズ・ミーツ・ワールド」などの新曲でももちろん、バンドの多様な音楽性と、とにかく魅了されてしまうそのグッド・メロディを存分に発揮。毎日聴きたい"マカロック"が詰まった1枚。(三木 あゆみ)

season

マカロニえんぴつ

season

各メンバーの作曲楽曲1曲ずつ+先行配信されていた「青春と一瞬」を収録。直球ミドル・バラード「ヤングアダルト」、軽快なリズムでザクザク進む「恋のマジカルミステリー」、ロマンチックなメロにおちゃめなリフを重ねる「二人ぼっちの夜」、3拍子と2拍子を行き来しながら紡ぐロック・オペラ「TREND」――と、曲元来の個性を増幅させるアレンジにはバンドの充実っぷりが表れている。全曲の歌詞を書くはっとり(Vo/Gt)のワード・センスも抜群で、膝を打たされまくりだ。アルバム・タイトルは"旬のうちに食べないと腐ってしまう音楽? どうなんだろう、それ"という疑問から。替えの効かない存在としてこのバンドを求める人は着実に増えているし、その結びつきはますます強くなることだろう。(蜂須賀 ちなみ)

エイチビー

マカロニえんぴつ

エイチビー

はっとり(Vo/Gt)の儚くエモーショナルな歌声はそのままに、キーボードの多彩な音色が織り込まれた彼らならではのサウンドがさらに色濃く表現された今作。ちょっとしたことで一喜一憂してしまう片想いや、言い訳ばかりしていたら愛想を尽かされてしまったりとなかなかうまくいかない恋愛が描かれているが、軽快なリズムとその上に乗っかるキャッチーなメロディと、はっとり独特の言葉選びには思わず心が踊る。そんな恋愛がテーマである曲が多い中、特筆すべきはギリギリで戦う人に向けたという「ハートロッカー」。少し女々しい印象のある彼だが、"あなたの逃げ場になるなら歌うよ"と音楽への強い決意とともに差し伸べられた手はなんとも力強かった。キラキラした七色のサウンドを武器に次はどんな新たな一面を見せてくれるのかと、早くも次作が楽しみになる、そんな1枚。(増田 思織)

アルデンテ

マカロニえんぴつ

アルデンテ

メンバー全員が現役音大生という5人組、マカロニえんぴつ。音大といえば"のだめカンタービレ"のように、さぞかし華やかな大学生活を謳歌していると思いがちだが、実はその逆で、資料によればコンプレックスにまみれ、負けっぱなしの人生を送ってきたという5人。そんな彼らが輝ける場所を見つけたのがこのバンドだったのだろう。負けっぱなしでも叫び続ける勇気をくれる「鳴らせ」や、独特の比喩表現で男女の関係を描いた「ワンドリンク別」、鬱々とした感情をダンサブルなビートで歌い上げる「零色」など、バラエティに富んだ楽曲で自分たちの存在意義を刻む。しっかりとしたバンド・サウンドに色を付けるように鳴るキーボードの音が印象的だ。(齋藤 日穂)

不完全ルーティン

マコトコンドウ

不完全ルーティン

作詞、作曲、編曲、演奏はもちろんアートワークやMVでのアニメーション等も手掛けるアーティスト、マコトコンドウ。前作『いききる』から約1年半ぶりとなる2ndフル・アルバム『不完全ルーティン』は、変わり映えしない(と思っている)日々や景色にも愛着が湧いてくるような曲が並ぶ。モータウン的でキャッチーなソウル・ミュージックやポップス、またモダンなR&Bからラテン・ミュージック等が、彼のフィルターを通すことでより柔らかに丸みを帯びて、誰かの日常や、ちょっとした浮き沈みのあるときにも溶け込んでいく。体温に近い、そんなサウンドやビート感が心地いい。ハッピーにしてくれるだけじゃない、その時々の心の形と呼応してくれるアルバムだ。(吉羽 さおり)

GOODDEST

真心ブラザーズ

GOODDEST

数年前によく一緒に酔っ払っていた友人が真心ブラザーズを大好きだったので、その友人から真心のベスト的CDRを作って貰い、よく聴いていた時期があった。今でも、真心ブラザーズを聴くと、その頃のことを思い出す。ただ酔っ払っていただけの、今と特に変わらない日々だけど。自分達のスタンスで飄々と活動を続ける真心ブラザーズ20周年の集大成となるベスト・アルバム。僕が貰ったCDRにも、この2枚組ベスト・アルバムに入っている曲が結構あった。「ひこうきぐも」が入ってないのは残念だが、それを言い出せばきりがない。過去の代表曲、名曲から、最新アルバム『俺たちは真心だ!』収録曲までを網羅した充実の内容。真心ブラザーズは、どうしようもない日常の風景を豊かにしてくれる。そんな音楽を探しているなら、まずは聴いてもらいたい。 (佐々木 健治)

つらなってODORIVA

ましのみ

つらなってODORIVA

約1年ぶりのフィジカル作品となるミニ・アルバム。本作では、「エスパーとスケルトン」の編曲を手掛けたsasakure.UKとの出会いによって引き起こされた、彼女自身の内面の変化や、180°変わった制作への美意識が作品に反映されていることを感じ取れた。ましのみ本人がトータル・プロデュースを行ったことによる、サウンド、歌詞、歌声、あらゆる面においての過去作品との違いは、本人が"「ましのみ」という名前が変わったくらいの変化がある"と語るほどだ。聴き手にとっての"踊り場"(≒気の休まる場所)になることができるようにと願いを込めて制作された本作。日々の暮らしの中で晒される様々なストレスからいったん離れて、ほっと一息つける、優しく寄り添ってくれるチルな1枚に仕上がった。(宮﨑 大樹)

ぺっとぼとレセプション

ましのみ

ぺっとぼとレセプション

"奇才溢れるひねくれPOP"を奏でるシンガー・ソングライター、ましのみの2ndアルバム。1stアルバムではエレクトロ・サウンドをベースにしたポップでキャッチーな楽曲が多かったが、今作はそれに加えてストレートで共感を得そうな歌詞や、温かみのある生音で構成された曲もあり、聴き手に寄り添い"ましのみワールド"に誘うことをテーマとした作品に。「フリーズドライplease」、「錯覚」のように徹底的とも言える寄り添う楽曲があるなか、その反動で生まれたという「コピペライター」、「AKA=CHAN」などから感じる彼女の毒や棘もギャップがあり面白い。寄り添うことも、毒や棘も、すべてが彼女の世界観なのだろう。彼女の音楽が未体験ならば、ぜひ1stアルバムとセットで聴いてもらいたい。(宮﨑 大樹)

オーバーヘッドキック

マジカルチョコミントクラブ

オーバーヘッドキック

東京 下北沢を拠点に活動する3ピース・バンド マジカルチョコミントクラブ。2023年に結成し、着々とシングル曲を発表してきた彼等がこのたび1stフル・アルバムをリリース。「メロウ経路」や「ブルーライトソング」を筆頭に、爽やかなメロディと中毒性の高いフレーズが耳に残るキャッチーな音楽性が軸にありながら、退廃的なヴォーカルによるダブリング的な独特のうねりが存在する「焦燥パイロット」や、現実と虚構のあわいを漂うような詞世界が広がる「新倒れて光沢」等、馴染みのポップ・ソングとはどこか一線を画すような儚さを覗かせる楽曲も多数。多彩なポップネスがちりばめられた、今後の活躍に期待が膨らむ初アルバムは必聴だ。(山本 剛久之)

キラハピ☆THE WORLD

マジカル・パンチライン

キラハピ☆THE WORLD

昨年2021年2月に新メンバー3名が加入し、新体制になったことを契機に"世界中の毎日をキラキラハッピーにする!!"というコンセプトを掲げて活動をスタートした5人組アイドル・グループ、"マジパン"ことマジカル・パンチライン。そのコンセプトを体現したのが、2ndアルバム『キラハピ☆THE WORLD』だ。アイドルとしての経験が長い、リーダー兼プロデューサーの沖口優奈の想いや狙いが詰め込まれたアイドルの王道を往く楽曲の数々は、聴き手を1年中"キラハピ"な世界に連れていってくれるはず。マジパンのイメージと離れたクールでモダンなポップ・ソング「やみー」のように振れ幅を広げているあたりも好印象だ。"いや、そもそも「キラハピ」って何?"と思ったあなたへ、入門編としてお勧めしたい1枚。(宮﨑 大樹)

MAGiCAL SUPERMARKET

マジカル・パンチライン

MAGiCAL SUPERMARKET

6人組アイドルグループ、マジカル・パンチラインのメジャー1stフル・アルバム。佐藤純一(fhána)、クボナオキ、山崎あおい、ONIGAWARA、ナノウといった、幅広いソングライターが手掛けた楽曲を、堂々と歌いきった全12曲が収録されている。かわいらしさや元気をメンバー全員が一体となって健気に届けるアイドルらしさはもちろん、ひとりひとりが違った声質や表現力を持つグループらしく、それぞれの意志や顔もしっかりと見えるような聴きごたえを誇っている。特に「今日がまだ蒼くても」は、彼女たちだからこそ表現できた楽曲だと思う。アコギ1本だけでも、バンドを背負ってでも、パフォーマンスすることができると感じさせる彼女たちのポテンシャルを証明する1枚だ。(高橋 美穂)

だれかの日々に。

マチカドラマ

だれかの日々に。

結成以来"3ピース"編成にこだわり続けてきた新潟発のギター・ロック・バンド、マチカドラマが、心機一転、新ギタリスト 三宮広大(ex-午前四時、朝焼けにツキ)を迎えた4人編成でリリースする2ndミニ・アルバム『だれかの日々に。』。手数の多いリード・ギターの存在感を全面に打ち出した、疾走感溢れる「スタートライン」に始まり、臆病な片思いのバラード「ワンシーン」など、より厚みの増したサウンドが全7曲を表情豊かに彩る。等身大の視点はすべて恋愛の曲。"君が描いてる 理想の人にはなれてないけれど"(「口約束」)と、常に自分自身に対する見積もりは低めだが、掴めそうで掴めないもの、簡単に手からすり抜けてゆくものを守ろうとする、健気な想いをパッケージした1枚だ。(秦 理絵)

この日々を愛おしく

マチカドラマ

この日々を愛おしく

2017年5月にサポート・ベース タクオの正式加入に伴い、バンド名を"マチカドラマ"へ改名後、1作目となる、初の全国流通盤ミニ・アルバム。今作は、疾走感と程よい荒削り具合がエモーショナルなサウンドと相まって、何度も繰り返し聴きたくなるようなクセになる1枚に仕上がった。シンプルな言葉選びが彼らのメッセージ性をより引き立て、まるで目の前で歌われているかのように聴き手の心に力強く響いてくる歌声にはとても説得力がある。楽曲ひとつひとつから溢れ出るがむしゃらな気持ちは、音楽シーンに足跡をしっかり残していきたいという決意表明とも言えるだろう。タイトルどおり、過ぎていく日々が愛おしくなるような躍動感のある音楽が、これからの彼らの基盤となっていくだろう。(諏佐 美友)

Tensegrity

Nornis

Tensegrity

豪華クリエイター陣が楽曲を提供し、VTuberという枠を飛び越えて広がっていきそうなクオリティとなった。壮大なストリングスをバックに戌亥とこ、町田ちまそれぞれの実力と個性が光る表題曲の1曲目から、強烈なインパクトを発揮。亀田誠治が作詞作曲、さらに演奏にも参加しているポップなメッセージ・ソング「Deep Forest」、言葉遊びのような呪文のような歌詞と曲調の中で、"ジョハリの窓"――自己分析が行われる「ジョハリ」、和楽器バンドの山葵(Dr)が作詞作曲した、Nornis史上最高に明るい「innocent flowers」、そして、戌亥と町田が作詞を手掛けた「Min-night」。幅広い音楽性に挑戦しながら、豊かな表現力を手に入れたふたりの軌跡が感じられる。(高橋 美穂)

The Pages

町田ちま

The Pages

"にじさんじ"所属のVTuberユニット Nornisとして戌亥とことタッグを組んでいる町田ちまが、このたびソロで1stミニ・アルバムを完成させた。錚々たるクリエイターが紡いだ5つの"物語"を、しなやかにハイトーン・ヴォイスを使いこなしながら歌い上げている。なきそ作詞作曲の「背後に注意」は、"背後に注意"、"吐いたらご自由に"という小気味良くもドキドキするリフレインが、町田がピュアに歌うことによって、より印象的な仕上がりになっている。かと思えば、ひろき(リリィ、さよなら。)作詞作曲の「つぎはぎどうし」は、シンプルなバラードで、疲弊した心身にじんわり染みわたるような温かさがある。まるで短編小説を読んでいるような曲ごとの鮮やかな変化に、町田の表現力が感じられる佳作。(高橋 美穂)

ウェイティングフォーユー

まちぶせ

ウェイティングフォーユー

"反抗するなら自立しろ"をスローガンに掲げるギター・ロック・バンド、まちぶせの2ndフル・アルバムは、ノリのいいオープニング・チューン「マジごめん」からリード曲となるラヴ・ソング「深夜徘徊デート」、涙を誘うメロディでラストを飾るに相応しい「FOREVER 2X」に至るまで、全編を通してキャッチーな楽曲が揃った。日常の一場面を切り取ったような彼らの詞世界は、身近な人が思い浮かぶか、もしくは聴き手自身が歌われているかのような不思議な感覚を与えてくれる。自然と生まれる親近感がこのバンドの魅力のひとつかもしれない。スタジオの空気をそのまま音源に閉じ込めるようなミックスが施された、生々しく臨場感たっぷりのサウンドも本作の特筆すべき点と言えるだろう。(宮﨑 大樹)

羊の飼い方

マッシュとアネモネ

羊の飼い方

10代アーティスト限定フェス"未確認フェスティバル2018"グランプリ獲得のマッシュとアネモネによる初全国流通ミニ・アルバム。リード曲「ユートピア」や「アフターオール」に代表される、もちこ(Vo/Gt)の朗々とした歌声が、キャッチーだが少し違和感のある切ないメロディに乗る、クセになるロック・サウンドが彼女たちの持ち味。そこに、初めてもちこが作詞作曲したという、トロピカルでかわいらしい一面を見せる「フィッシュレディ」や、弾き語りで女の子の不安な想いを素直に吐露した「マフラー」、哀感漂うローテンポな「シープマン」と、持ち曲の中から特に強力なナンバーを選出した渾身作だ。もちこが独特なセンスで紡いだ歌詞中のフレーズを散りばめた、こだわりのジャケ写も楽しい。(稲垣 遥)

ドラマチック

松尾昭彦

ドラマチック

GENERAL HEAD MOUNTAIN、JELLYFiSH FLOWER'Sを経て、ソロ名義で再スタートした宮崎在住のミュージシャン 松尾昭彦が、ircleの仲道 良(Gt/Cho)プロデュースにより完成させたアルバム。これまでの活動を集大成したうえで、新たなキャリアを始めるというテーマのもと、メロコア風だったり、フォーキーだったり、ダンサブルだったりという多彩な全7曲が収録されており、その真ん中を、創作活動と生きることが直結していると思わせるぶっとい歌が貫いている。それこそが松尾昭彦その人だと思うが、1曲目の「始まりの唄」で再出発を表明しながらも、終わりを意識しているようなところが興味深い。本作の完成後、松尾昭彦バンドが誕生。ライヴで楽曲がどう生まれ変わるのかにも注目したい。(山口 智男)

THE BIBLE 1

松尾昭彦

THE BIBLE 1

宮崎県在住のミュージシャン、松尾昭彦によるベスト・アルバム。2016年6月に活動休止したJELLYFiSH FLOWER'Sと、それ以前にやっていたGENERAL HEAD MOUNTAINの曲に新曲「エンター」を加えた全13曲を収録。叙情的とも言える歌心と根っからのバンドマンならではの激情を併せ持つ松尾の魅力を、圧倒的な存在感とともにアピールしているが、今、歌いたい曲を並べたと松尾自身が言っているように「エンター」はもちろん、前掲2バンド時代の曲もすべてircleのギタリスト 仲道 良のプロデュースのもと、再レコーディング。その意味では、懐古および回顧と言うよりもむしろ、今後の活動に繋げる意味合いの強いものになっているよう。来春には新録のアルバムをリリースするそうだ。(山口 智男)

うたうたい

松尾太陽

うたうたい

ソロ・ライヴでははっぴいえんどやシュガー・ベイブもカバーしてきた"超特急のタカシ"が本名でソロ・デビュー。本作もシティ・ポップをテーマにしているが、作家ごとにその解釈が違う点が音楽的なレンジを拡張。大塚 愛はドリーム・ポップ~EDM寄り、She Her Her Hersはエレクトロなインディ・ポップと現代のサウンドやアレンジ。対してリード曲であるVaundyや堂島孝平の提供曲は80年代ニュー・ミュージックとJ-POP黎明期の間あたりを感じさせる、キラキラした音像が特徴的だ。松尾自身のペンによる「掌」は王道のピアノ・ポップ。時空を超えて日本のポップスが消化してきた洋楽のエッセンスを並列しているニュアンスも面白い。自然で飾らない歌唱スタイルが一貫していて、多彩な6曲にもまとまりが。(石角 友香)

まなつのこれからのこと。

まなつ

まなつのこれからのこと。

ポップ・パンクがもはや日本人にとってエバーグリーンな人間讃歌として定着したことを若きまなつに思い知らされる。それぐらいこの1stフル・アルバムで彼らはピュアにいい曲を詰め込んだ。奇しくもコロナ禍でいつもの季節が止まってしまったような無為な時間と再会を願う「僕たちの答え」、逆説的にロックンロールは死んでいないことを歌う「ヒーロー」、カオティックなガレージ・パンクの「月に叢雲、花に風」、照れもありつつ未来も変わらないツレでいようと歌う「20XX」、失ってしまった大きな存在を思わせる「拝啓」など、ジャンルも世代も超えた普遍性を獲得した楽曲が並ぶ。すでに配信リリースした「光芒」が、アルバム全体を引き締め、いろんなことを諦めざるを得なかった2020年のその先へ向かう勇気をもたらす。(石角 友香)

あたたかくなった頃には / 夜のこと。/  光芒

まなつ

あたたかくなった頃には / 夜のこと。/ 光芒

3ヶ月連続配信リリースの3曲は各々異なるカラーがまなつの音楽的なレンジを体現。「あたたかくなった頃には」はミディアムのシャッフル・ナンバー。ふたりだけの世界を走っていくような映像が浮かび、表現がスウィート且つ切ない。「夜のこと。」は曲構成が主人公の心情と光景とシンクロした、失恋を描いた曲。静かなAメロから"君を連れ去っていった"電車が走り出すようなテンポ・アップや、アウトロも続いていくドラムがさらに映像を立体化する。新機軸を聴かせた2曲に続く4月リリースの「光芒」は、ザクザク刻まれるギター・カッティング、速いBPMがまなつらしい1曲だ。愛しい人やその人がいた街の景色と、移り変わる季節。その早さを受け入れて前進するようなニュアンスを、曲の体感に昇華するセンスが光っている。(石角 友香)

あるわけないの

まねきケチャ

あるわけないの

まねきケチャにとって2枚目、新メンバー 篠原 葵が加入してからは初となるフル・アルバム。TVアニメ"ゲゲゲの鬼太郎"のエンディング・テーマである2曲「鏡の中から」、「あるわけないのその奥に」のスリリングな世界観から、大人のテーマに挑戦した「愛と狂気とカタルシス」で得られる、まさに"カタルシス"な流れなど、曲と作品全体が持つドラマ性を見事に体現するパフォーマンス力は、まさにまねきケチャが新たなフェーズに入ったことを示している。またライヴでも定番の既発曲や、それぞれのソロ曲なども、再度録り直したことでアップデート。この先のライヴがますます楽しみになる1枚だ。(TAISHI IWAMI)

POPCONE

魔法少女になり隊

POPCONE

シリアスなロック・アルバムとなった『∀』から一転、魔法少女になり隊通算3枚目のミニ・アルバムは、"遊園地"がテーマ。"ここではないどこか"へと聴き手を導くファンタジックなコンセプトを掲げるバンドらしい、ワクワク感が詰まった1枚になった。そんななか、火寺バジル(Vo)のポップな歌とgari(VJ/Vo)のシャウトが入り混じるツイン・ヴォーカルの楽曲を減らし、バジルの歌のみの楽曲を増やした路線は、大きなチャレンジ。ジェットコースター、メリーゴーランド、お化け屋敷、パレードといった、遊園地の様々なアトラクションをわかりやすく連想させる幅広いアレンジには、これまでジャンルの垣根を自由に越えるましょ隊の楽曲を一手に引き受けてきた、ウイ・ビトン(Gt)の進化が光る。(秦 理絵)

∀

魔法少女になり隊

前作シングル『▶START』で新たなスタートを切った魔法少女になり隊。続くミニ・アルバム『∀』は、バンドが確実に次のフェーズへ進んでいることを示す1枚になった。テーマに"喪失感"を掲げたというアルバムのムードは、これまでの元気でキャッチーなましょ隊から一転して、ダークでシリアス、そして切ない。暗闇で光を手繰り寄せようとするメッセージ性も今まで以上に強くなった。注目は作曲を手掛けるウイ・ビトン(Gt)以外のメンバー3人全員が作詞に関わっていること。それぞれに滲み出る個性は何度聴いても楽しいが、中でも「アーバン∀タネモノガタリ」が秀逸。"聞いてあげる 泣き虫の詩"という火寺バジル(Vo)っぽさ全開の歌をgari(VJ/Vo)が書いていたことに驚いた。(秦 理絵)

魔法少女になり隊~まだ知らぬ勇者たちへ~

魔法少女になり隊

魔法少女になり隊~まだ知らぬ勇者たちへ~

"エンカウント強敵"、"コンテニューできない人生"など、ゲーム用語をふんだんに散りばめながら、次の一歩を踏み出そうと歌うリード曲「完全無敵のぶっとバスターX」から始まる、魔法少女になり隊の初のフル・アルバム。ヘヴィ・ロックをポップに消化した垣根なしの音楽性とRPG的要素を融合した、ましょ隊のギミックと遊び心が詰まった1枚になった。ギターの明治が初めて作詞作曲、ヴォーカルを担当した「ヒトリ サク ラジオ」やgari(VJ/Vo)のシャウトのみで完結する「Call me From Hell」など、メンバーの個性が浮き彫りになる新たな試みも取り入れつつ、それをひとつのましょ隊のサウンドとして統括していく、バンドの音楽的中心人物ウイ・ビトン(Gt)の辣腕が光る。(秦 理絵)

ヒメサマスピリッツ

魔法少女になり隊

ヒメサマスピリッツ

前作『革命のマスク』の冒険の地がアメリケで、それがポップ・パンクだったところから、今作で辿り着くのが"ジパング"と聞けば、どんな曲か想像はつきやすいかもしれない。すでにライヴでは披露されている表題曲「ヒメサマスピリッツ」は、三味線や歌舞伎をフィーチャーした和のテイストを、ハイテンションなましょ隊サウンドと融合させた。その歌詞にも"戦国最強"や"将軍様"、"恋文"という和のワードを散りばめながら、"祇園精舎の鐘の音は鳴らせない"と、栄えるものがやがては滅びる考え方をきっぱりと否定してみせるのが、彼女たちらしい。カップリングには、恒例のアニソン・カバー"うる星やつら"の主題歌「ラムのラブソング」と、J-POP直伝のセンチメンタルなポップ・ソング「sayonara fantasy」を収録。初めて全曲をラヴ・ソングで統一したところも聴きどころ。(秦 理絵)

革命のマスク

魔法少女になり隊

革命のマスク

新世代RPG系ミクスチャー・ロック・バンドとして、昨年メジャー・デビューを果たした魔法少女になり隊が4ヶ月ぶりにリリースする2ndシングル。テーマに"仲間"を掲げた今作は、より多くのリスナーへと波及しそうな解放感のあるポップ・パンクな表題曲で、初のストリングス・アレンジにも挑戦した。"わたしは革命起こすの"という歌詞には、バンドが掴んだ確かな手応えに裏打ちされた、揺るぎない決意が込められている。カップリングはMETALLICAをもとにした「テッペン伝説」、ユーロビートというバンドのルーツに触れるFolder5のアニメ"ONE PIECE"オープニング曲カバー「Believe」を収録。キャッチーでありながら、マニアックな音楽ファンを唸らせる粋な音楽センスにさらに磨きをかけてきた。(秦 理絵)

KI-RA-RI

魔法少女になり隊

KI-RA-RI

ラウドでポップな新世代ロック・バンド、魔法少女になり隊のメジャー・デビュー・シングル。新たな冒険の幕開けに相応しく、夢へ向かうまっすぐな想いを綴った「KI-RA-RI」はヴォーカルの火寺バジルが初めて歌詞を手掛けたナンバー。"「夢を見るだけ無駄。」って/友達はバカにして笑ってるけど"。RPGの世界観を取り入れたバンドのコンセプトはイロモノに思われがちだが、夢に向かう過程で挫けそうになる瞬間をリアルに歌うフレーズには、このバンドのひたむきな姿勢が垣間見られる。カップリングにはアニメ"涼宮ハルヒの憂鬱"のエンディング・テーマ「ハレ晴レユカイ」のカバーと、へヴィ・メタル・ナンバー「MEGA DASH」を収録。ジャンルの垣根を自在に越える、これぞ新世代のミクスチャー・ロック。(秦 理絵)

タイポグリセミア

間々田 優

タイポグリセミア

かつて"感情突き刺し系シンガー・ソングライター"を自称していた彼女は、"ギター1本で世界を変えるくらいの気持ちで音楽を始めた"と言う。が、紆余曲折ありつつデビューから17年のキャリアを経た今"単に誰かを突き刺すだけでなく、自分自身や他者の弱さや優しさを見つめるようになった"そうで、今作では"突き刺すだけでなく、もっと奥の世界に行きたいという思いから「脱ぐ」要素を加えた"とのこと。つまり、例の肩書きは返上した模様だ。しかも、その脱ぎっぷりは大胆で、「エロエロエッサイム」や「帯状疱疹オン・マイ・マン」での赤裸々ぶりは、カッコ悪すぎて逆にとてもカッコいい。いい意味での空元気が窺える「ナルシスト」も素敵。(杉江 由紀)

豆んJOY / 間違いだらけのヒーロー

豆柴の大群

豆んJOY / 間違いだらけのヒーロー

"ドンドンパンッ ドンドンパンッ"――足踏み2回にクラップ1回、ロック好きならきっと一度はやったことがあるアレで始まるのは、両A面シングル1曲目の「豆んJOY」。温度感はあるが、燃え上がるような熱さではなく、足湯やホットアイマスクのようにポカポカと心と身体をほぐしてくれる不思議な魅力のある1曲だ。ミドル・テンポ且つシンプルな楽器と楽曲構成だからこそ、豆柴の大群メンバーの個性溢れる声質が堪能できる点もポイント。もう一方の表題曲「間違いだらけのヒーロー」は、クロちゃん(安田大サーカス)の作詞によるアッパーな夏ソング。癖強めなメロディで翻弄してからキャッチーなサビに展開し、中毒性◎。"両A面"の言葉に偽りなし。今夏のフェスやイベントはこの2曲で大いに盛り上がりそうだ。(宮﨑 大樹)

劇団オギャリズム

眉村ちあき

劇団オギャリズム

昨年2019年5月にメジャー・デビューを果たし、6月には目標に掲げていた新木場STUDIO COASTでのワンマンを開催するなど、大きな飛躍を遂げた眉村ちあき。彼女がメジャー2ndアルバムをリリースする。本作も独特のワード・センスが炸裂しており、収録曲のタイトルを見ただけでワクワクさせられる。彼女と言えば変わった歌詞が特徴のひとつだが、今回はそれだけでなく、大切な人への想いを歌った「顔面ファラウェイ」や、日常の切ない出来事を綴った「DEKI☆NAI」など、歌詞がまっすぐで多くの人が共感するであろう楽曲も多く、聴き手に今まで以上に寄り添っているような印象を受ける。メジャー・デビューを経て、彼女の音楽に対する姿勢の変化が感じ取れ、さらにファン層が広がりそうな1枚だ。(新地 駿平)

めじゃめじゃもんじゃ

眉村ちあき

めじゃめじゃもんじゃ

ソフトバンクのCM出演などテレビ露出も増え、活躍の幅を広げている"弾き語りトラックメイカーアイドル"眉村ちあきが、前作から4ヶ月という異例の早さで念願のメジャー1stアルバムを完成させた。本作には、眉村が"やりたいサウンドを詰め込んだ"という、曲展開が読めない「書き下ろし主題歌」、想いを寄せる親戚のおじさんに"女性"として意識されていないもどかしさを歌った「おじさん」、彼女の存在がお茶の間に知れ渡るきっかけとなった「ゲロ」、POLYSICSや映画"ボヘミアン・ラプソディ"に影響を受け作った楽曲など、全16曲を収録。ファンはもちろん、眉村ちあき作品を初めて聴く人にとっても中毒性の高い楽曲が揃っており、彼女の独特な世界観の虜になること間違いなし。(新地 駿平)

ぎっしり歯ぐき

眉村ちあき

ぎっしり歯ぐき

知る人ぞ知る存在から急激に知名度を上げてきている"弾き語りトラックメイカーアイドル"眉村ちあき、初の全国流通アルバム。これまでのほぼすべての楽曲を再レコーディングした全30曲という大ボリュームの本作は、昭和歌謡風の曲や、ヒップホップ、ロック、ポップスといった多様なジャンルの曲があったり、遊び心いっぱいのサンプリングや突然のデス・ヴォイスが入ったりと、天真爛漫な彼女の人間性がそのまま表れたよう。ユニークなワード・センスで綴られたクスッと笑わせる歌詞を、高い技術と天性の声質で歌うそのアンバランスさが彼女の楽曲の魅力であるに違いないが、純真な心で綴られた言葉を美しく歌い上げた曲も心にじわりと沁み渡る。2019年も要注目のニューカマーだ。(宮﨑 大樹)