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INTERVIEW

Japanese

愛はズボーン

2021年06月号掲載

愛はズボーン

Member:白井 達也(Ba/Cho)GIMA☆KENTA(Vo/Gt) 金城 昌秀(Gt/Vo)富永 遼右(Dr/Cho)

Interviewer:稲垣 遥

-また、今回のアルバムは配信では"side A"、"side B"と2分割してリリースされますが、改めてその意図を聞かせていただけますか?

金城:もうサブスクで音楽聴くのが主流じゃないですか。僕らはCDで聴いてた世代なんですが、7曲目あたりまではタイトルも曲も歌詞も頭に入ってきてるんですけど、僕の主観で言うと8、9曲目くらいからあの曲って何曲目やったっけ? みたいになってくる。めっちゃ好きなアルバムほどそれはなくなっていくんですけどね。で、僕は高校生~専門学校生のときにタワレコさんとかで1、2曲目試聴して、飛ばして6、7曲目にええ曲入ってたら買うとかしてたんですよ。あとあと考えたらそれって理にかなってたんやと思うのが、昔のレコード盤って、A面とB面で6曲ずつとか入ってるじゃないですか。そしたらB面の1曲目がCDの7曲目なんです。だから、THE BEATLESとかを聴いて7曲目にいい曲があるなってなんとなく感じてたのには、意味があったんやと感動したんですね。そういう経験を今の若い子にもしてほしいって感じて。"なんでこのアルバム2個に分けてるんやろう? ......あ、なるほど!"とか。自分で音楽を聴くのもいっぱい冒険があるので。こういうインタビューを見つけて、制作者の意図を知るとかも嬉しいし。そんなふうに変わっていけば、サブスクも昔の音楽の楽しみ方を損なわないんじゃないかと考えました。

-それで"side B"のオープニングが「ぼくらのために part 2」なんですね。

金城:そうそう(笑)。そこはめっちゃわかりやすくしてますけどね。ここでもう1回アルバムが始まり直すというのを考えたうえでです。

-すごく納得しました。そして、2曲目「FLASH BEATS & JUMP」は'80sダンス・チューン的なリズムと、空を飛んでいるようなシンセが印象的な曲ですね。この曲は4人全員の名前が作詞者としてクレジットされています。

GIMA:去年の夏ぐらいになるんかな。仲間のバンドが結構やめていったタイミングで、僕らも30歳くらいで、結構それに引っ張られてたというか、仲悪かったりもしたんですよ。コミュニケーションがあんまりなかったので、「FLASH BEATS & JUMP」をきっかけに、みんなで歌詞書いてみようやとなったんですけど、書いたことが、愛はズボーンが前向きに変わるきっかけのひとつになったような気が僕的にはしてて。これからの愛はズボーンにとっても大きなことなんかなって思います。幸せについてみんなで話しながら書いたんです。何が幸せなんやろって、そのタイミングでみんなそれぞれの幸せについて話しながら書いていったのが、愛はズボーンを前に進める大きな原因になりましたね。

-白井さんは作詞に参加してみていかがでしたか?

白井:スタジオのロビーで、みんなで書いて、そこで全部完成したんやっけ?

金城:したかな? スタジオをレンタルして料金発生してんのに、音鳴らさずに、ロビーでずっと書いてたもんな。

GIMA:2番だけガラ空きで俺が持って帰ってんな。

白井:そっか。そんな感じで1番はみんなで喋りながら作ったから、自分がアイディア出したって感覚あんまないかもしれないですね。

-書いた量というより、みんなで集まって幸せってなんだっていうひとつのテーマに関して、お互いの意見を共有したのが、バンドの空気を変えるには大きかったんですね。

GIMA:それをやったから、2:2に分かれてやるのも素直にできたんかなって思いますね。

-富永さんはどんな感覚でした?

富永:僕はねぇ、最後の最後に"ここちょろちょろっと変えたほうがいいんちゃう?"くらいの感じで。

一同:はははは!

白井:覚えてるわそれ~(笑)。

GIMA:俺も覚えてるわ~。たぶんほんまにひと言なんですよね(笑)。

富永:そう。もう白井君以上に実感はないと思います(笑)。

GIMA:いや、それが効いてるんですよ。

金城:まぁその場にいるってめっちゃ大事やなと思うんで。誰がどこの行を書いたとかを覚えてないとかはわかるんですよ。GIMAちゃんが2番を持ち帰ったのを覚えてる感覚もわかるし。たぶん(GIMAは)、僕ら3人が抱えなかった部分の苦労を持って帰ったっていう自負があると思うんですね。それに対して今、なるほどって思うし。ソングライターが曲を書いてきてみんなでただ合わせるだけじゃなく、なんでこうなったかを最初の段階から共有できてるバンドっていうのは、強いんじゃないかとは感じますね。

-そして、「BEAUTIFUL LIE」は金城さんと富永さんで初めて制作した曲。愛はズにしてはシンプルな展開な曲ですね。

金城:これは結構富ちゃんのアイディアも入ってますよね?

富永:そうやな。初めのベース・ラインとか、展開もここでサビ入れようとか初めて自分で結構考えて。

金城:ビートや、シーケンスの音像も富ちゃんがハマってる音源のトラックを流して、こんな感じでやっていこうというのが多かったですね。

-じゃあどっちかというと富永さんが主体になってたんですね。

金城:で、サビとかで僕が邪魔するじゃないけど、壊すというか、"ここで「ネバーエンディング・ストーリー」持ってこよう"とか(笑)、富ちゃんが考えてるヒップホップ・トラック的なものに、めちゃくちゃなアイディアをわざと放り投げて。

-たしかに"ネバーエンディング・ストーリー"なところありましたね(笑)。

富永:(笑)びっくりしたもん。"ネバーエンディング・ストーリー"!? えっ!? って。ひとりやったら絶対思いつかへんかったし、めちゃくちゃ真剣な気持ちで取り組みました。

-歌詞も掴めるようで掴めないような。

金城:僕はこの歌詞と「えねるげいあ」が今自分で一番好きですね。僕の詩集出すならこの2曲絶対入れます(笑)。

-ところどころでインパクトもあるし、うわって響いたり、わかるところもあったりするけど、全貌は掴みきれない感じは昔から変わらないかもですね。

金城:何言ってるかわからんみたいなね。でも、僕はこれが一番ちょうどいいところって思ってます。僕の中ではこういう意味だよってあるんですけど、わからんかったらしゃあないですよね。って思えるようになってきました。

-それぞれの解釈でいいとも思いますしね。私は、「えねるげいあ」でいうと"地獄の淵で鏡に映ったおれの顔はおれでしかなかった"という歌詞が、すごく正直な言葉なのかなと感じてドキッとしました。

金城:なるほど。そうですよね。急にドキッとさすんですよねぇ(笑)。あと「BEAUTIFUL LIE」はラジオの収録かなんかで3時間くらい早よ着いて、なんばグランド花月の周りを8週くらい歩きながら書いた記憶があります。