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INTERVIEW

Japanese

コレサワ

2020年01月号掲載

コレサワ

Interviewer:稲垣 遥

-でも、こういう作品を出すことでその"女子の味方"だったり、"失恋ソング"だったりっていう"コレサワ像"みたいなイメージに縛られてしまうということも考えたりしますか?

今回は逆に"像"を作りたかったというか。変な意味じゃなくて、縛られるのが嫌いじゃないから(笑)、コレサワと言ったら失恋って思われてもいいし、私はたぶんこれからも愛とか恋とかしか歌わないと思うから、コレサワはそういうものって考えてもらっていい。むしろ"恋愛についての曲を聴きたいときはコレサワだよね"ってくらい、みんなにとってそういう存在でいれるようにって意味で、広がりを作りたいっていうのもあるので、(そういうイメージを)植えつけたいです。

-なるほど。そうして"全曲失恋ソング"と掲げつつ、先ほどもバラエティに富んだという話もあったんですけど、先行配信シングル第1弾「センチメンタルに刺された」が、いきなり激しめのポップ・パンクな曲調できたのはいい意味で驚きでした。

ほんとですか。でも、たしかに失恋って聞くと、「たばこ」(2017年リリースの配信シングル)のイメージですごくスローな歌なのかなって想像するんでしょうけど、この曲はサウンド的にはパンクっぽくてロックで、ライヴでもワーワーみんなで楽しくなるような曲になったらいいなって思うので、第1弾には相応しいなと感じますね。

-この曲はどうやって作っていったんですか?

これは、お風呂に入ろうとしてたんですけど、うち、"もうすぐ溜まります"ってアナウンスが鳴るんですよ(笑)。それで、もうすぐ溜まるのかってなんかすごくウキウキしてて、お風呂入る気満々でもう服も脱ぎかけてて。それまでは今作の中でも先に暗い曲ができてたんです。だから、明るい曲欲しいな~って思って鼻歌っぽく歌い出したのが始まりでした。そのあとは曲が思いついちゃったから、お風呂沸いてもずっと入らずに――

-冷めていっちゃいますね(笑)。

そう、冷めるまで(笑)ノリノリで歌ってたと思いますね。

-まさにMVの女の子みたいに。

そう! そうなんです! 私が曲を作った瞬間が家でこうやってひとりで歌ってたから、自分がソファの上で暴れながら歌ってる映像を、ウチボリ(ウチボリシンペ)さんに"これもテーマとして参考にしてください"って送りました。

-あのMVはコレサワさん自身でもあったんですね。一方、歌詞のほうでは"あたしは今ここで消えちゃうの?"と綴っていて。

失恋したときって愛してくれた人がいなくなるわけだから、この先誰に"おやすみ"を言えばいいんだろうとか、電球は誰に替えてもらったらいいんだろうとか、ひとりぼっちになった気がしちゃう。それって自分も消えちゃったみたいになっちゃうじゃないですか。それを明るく歌ったら、ちょっとはみんなの気持ちが晴れてくれるかなぁって。

-相手の存在が大きすぎて、相手を失う=自分がなくなってしまうという怖さですね。"刺された/ところから流れ出す愛の歌/誰かふさいで"というところも歌詞としては悲しくて。

"誰か"ね(笑)。

-そう、"誰か"なんですよね(笑)。まだ特定の相手がいないから。

まだいないから漏れちゃう(笑)。悲しみダダ漏れみたいな感じですよね。いつか、いい人がぽっと出てきて塞いでくれるまではダダ漏れだと思います。

-アルバム1曲目「Day by Day」は聴いた瞬間に"おっ"と思いましたが、Helsinki Lambda Clubによる編曲なんですね。Twitterでも"大好きなバンド"とつぶやいていらっしゃいましたが。

めっちゃ好きで、ドライブに行くときはヘルシンキ(Helsinki Lambda Club)を聴きます。あと歌詞が良くて。薫(橋本 薫/Vo/Gt)さんの書く歌詞は、母性本能がくすぐられるというか、ちょっとダメ男な感じのものが多くて、"またこいつ恋愛うまくいかなかったのかよ~"みたいなツッコミを入れたくなるような(笑)。ヘルシンキはサウンド的にもエネルギーがあって好きだったので、今回の「Day by Day」はめっちゃ合うだろうなぁって思ってお願いしたら、忙しいなか快く引き受けてくださって、すごくいいものになりました。

-ヘルシンキとはもともと面識があったんですか?

数年前からサーキットなどでは一緒の日になって、"お久しぶりです"、"こんにちは"とかそういう挨拶をするくらいだったんですけど、今回ちゃんと話してみたらやっぱり緊張しましたね(笑)。

-コレサワさんの曲については何かおっしゃってました?

はい。この「Day by Day」もすごく褒めてくれて、愛情を持ってやってくれたのがすごくわかって嬉しかったです。

-私も今作の中でもすごく好きです。ぜひライヴで聴いてみたいって思う曲でした。

薫さんが弾いたギターのパートを私もライヴで弾くことになるんですけど、ダウン・ピッキングのテンポがすごく早いから、レコーディングのときに薫さんが"手がヤバい"って言ってて。私はその速さでできないから、簡単に弾きたいなって思って、腕をめっちゃ速く動かして頑張ってます。

-練習しないといけないですね。イントロから軽やかに広がる洋楽っぽいアレンジが、コレサワさんの楽曲としては新しい感覚でした。

レコーディング・エンジニアは、いつもヘルシンキを担当していらっしゃる池田さんという方にお願いしました。音数はそんなにたくさん重ねたりしてないんだけど、一個一個の音の粒がしっかりしてるというか、際立ってて、本当にヘルシンキチームで作ってもらったっていう感覚がありました。

-今回はヘルシンキ以外にも、渡辺シュンスケ(Schroeder-Headz)さんなど、これまでのコレサワさんのポップ・ソングとは少し違ったイメージもある、いろんなアレンジャーさんを曲ごとに迎えていますね。

はい。もともとシュンスケさんは「恋人失格」のときにピアノで参加してくださってた方で。そのときに素敵なピアノで、中身が少年みたいな、子供のままの気持ちを持ってる人なんじゃないかっていう純粋さを感じたんです。それからシュンスケさんにアレンジもしてもらいたいなってずっと思ってたので、今回(「バカでしょ」で)オファーさせてもらいました。

-新しい感覚がありました。

そうなんですよね。いつもバラードはエレキ・ギターが入ってるんですけど、今回は"ストリングスじゃない?"ってシュンスケさんがアレンジしてくださって。アルバムのラストに相応しいものになりました。