Japanese
コレサワ / 吉田凜音
Skream! マガジン 2018年08月号掲載
2018.06.21 @下北沢LIVEHOLIC
Writer 稲垣 遥
この日は女子からの注目を集めるコレサワ、吉田凜音による初ツーマン、さらには女性限定ライヴということで、10代~20代前半の若い女子たちが、はちきれんばかりのワクワクを持ち寄りLIVEHOLICに集っていた。
まずステージに登場したのは、原宿の次世代ポップ・アイコン、高校生シンガーの吉田凜音だ。専属ダンサーNATT!の4人を引き連れステージに上がると、オーディエンスからは近距離での対面に興奮の声が上がる。"知ったふりしろ吉田の凜音 君に言わせる「超かわいいね」"と初っ端から攻撃的にラップ・スキルを見せつける「Ride On Turtle」でまずは自己紹介。キュートなルックスとの大きなギャップで、観る者を圧倒する。さらに、ケンモチヒデフミ(水曜日のカンパネラ)作曲の民族的な楽曲「KESALAN BLUES」では激しいダンスを披露。短いMCを挟み、フレンズのおかもとえみ(Vo)作詞曲「EYE CANDY」へ。ビビッドな電子音でポップに彩るこの楽曲では、ピンクの照明に照らされ、とびっきりガーリーに。最初のラップ・パートも繊細にキメて、後半ではしっかり歌も聴かせる。ハスキーな歌声が大人の女性のセクシーさを醸し出したかと思えば、曲終わりには少女のような無邪気な笑顔を見せ、17歳の彼女の魅力を溢れさせていた。
"女性限定ライヴは初めてでドキドキしてたんですけど......楽しいね!"とNATT!とも顔を見合わせ笑いながら、キャッチーな「ヤバババイ」を披露。"「オオカミくんには騙されない♡」(※AbemaTVの恋愛リアリティ番組)に出てたんですけど、その主題歌を歌っていたのがコレサワさんで。今日は楽しみにしてました"と共演のコレサワとの接点も語りながら、ラスト・パートへ。"吉田の前ではインスタ映えとかチャラい真似は やめなされ"という歌詞が印象大の、いい意味で生意気な「BQN」から、「パーティーアップ」へ繋ぐ。序盤では気圧され気味だったフロアだったが、上がった手がすっかり会場を埋め尽くすほどに。若者目線で世の中への怒りや苛立ちをまくし立てるラップに、同世代女子たちが呼応する様子は、この日ならではの光景だ。"真面目に生きてて何になった?"というパートもライヴハウスの空間にぴったりでスカッとするものがあった。
ギター1本を手に現れたコレサワは、開口一番"前ここで男の人だけでやったときとニオイが全然違う"と演奏前からいきなり笑わせる。序盤「ショートカットに憧れて」で、はたから見れば大したことないかもしれないけれども本人にとっては深刻な女性の悩みを歌い、共感から一気に観客を引き寄せる。そして"私と凜音ちゃんを繋いでくれた曲"と「あたしを彼女にしたいなら」を演奏。前述の"オオカミくんには騙されない♡"主題歌の、強がりながらも、自分のダメな部分を好きな人に受け入れてもらいたい本音を描いた1曲だ。コレサワの楽曲は、自身や友人の実体験をもとにしたリアルなエッセンスを含み作られている。だからこそ、ドキッとするような部分も曝け出した描写が、聴き手の"あの日"と重なり心に染みるのだろう。「友達だからかな」では優しく、リスナーの目を見て情感たっぷりに歌うコレサワ。見る見るうちに、持ち前の明るさと親しみやすさで観客との距離を縮めていく。彼女は、ステージ上にいながらも、隣に寄り添ってくれる友達のような気がするのだ。
尖ったワード・インパクトとポップな曲調が炸裂する名曲「君のバンド」。"あたしの好きなバンドはなぜか"とコレサワが歌い、続く"ちっともちっとも売れない"というフレーズをフロアに歌わせるのだが、"女子!"とマイクを何度も向け笑顔を咲かせる様がお茶目だ。そして"勝負下着がヨレヨレになった"と歌い出す「女子諸君」を演奏。日々戦う女子へエールを贈るこの曲は、この夜にぴったりだった。人気曲「たばこ」では最後の1音まで丁寧に、且つ力強くギターを爪弾く。"最後は元彼に捧げます。みなさんもそれぞれの相手を思い出して、ぶん殴って帰ってください"と、シンガー・ソングライターとして歌っていく決意を込めたナンバー「SSW」を披露。うまくいかなかった過去も想いも背負い、そしてそれらを恥じず素直に表しながら、前を向いて朗らかに夢を追い掛ける強い女性像。同世代ながら私もそんなふうに生きたい、と憧れさせてくれるステージだった。
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