Japanese
PENGUIN RESEARCH
2019年08月号掲載
Member:生田 鷹司(Vo) 神田 ジョン(Gt) 堀江 晶太(Ba) 新保 恵大(Dr) 柴﨑 洋輔(Key)
Interviewer:沖 さやこ
-"ダイバー"や"ナイトクルーザー"や"灯台"などなど、海に関するワードが多くなったのは、海や水が生命のモチーフになっていたりするのでしょうか?
堀江:いや、そんな大それたことではなくて。なんなら海や水に関する言葉が多いと気づいたのは、作り終わったあとなんです。思い当たる節としては、真夜中にひとりでドライブして海に行って、人気のない状態でその景色を眺めているのが好きで。何か思うことがあったり、人生の節目になることがあったりしたときに、そこに行っていろんなことを考えるのが習慣的にもなっているんです。今回も制作中に行ったので、その風景がフラッシュバックしたのもあるのかな。あとは、自分にとっての歌詞を書くという行為は、"自分はこう思うけど、なぜこう思うんだろう?"とか"話し言葉とはもっと違う言い方ができるんじゃないか"みたいに、自分の意識に潜っていくという意味合いが強くて。そういう没入する感じが、無意識的に出てきたのかなと思ってますね。
-ソングライティング面でもアレンジ面でも、ヴォーカルや演奏面でも、よりメンバーそれぞれの深いところに踏み込んだ作品だからこそ、色鮮やかな作品になったのかもしれませんね。となると必然的にライヴがどうなるのか期待が高まってきます。
生田:激しいけれど、遊び心がある曲や、「青い灯台」みたいな淡々と進んでいく曲もあるので、面白いアルバムになったし、ライヴでもいろんな色やアクセントを加えてくれると思います。でも、まずは今回ってる『決闘』ツアーのファイナル、8月10日の横浜文化体育館("Penguin Go a Road 2019 FINAL「横浜決闘」")ですね。ツアーで培ったものを全部発揮できる場所にしたいです。
-そのツアーの中で今回のアルバムも完成したくらいですし、バンドにとってかなり充実したツアーだったということですよね?
生田:今までのツアーって、ライヴのたびに行って帰ってというプランが多かったし、自分ももっとイメトレをしたり、しっかり休養を取ったりしたいなと思って、インドアに過ごすことが多かったんです。でも今回はスケジュールがパンパンすぎて自分の頭もパーンと爆発して、行った先でその土地に触れたり、お酒を飲んだり、メンバーと外に出てごはんを食べたりして――変な話かもしれないけど、そこで自分が生きてることを実感したんですよね。"俺らこの街でライヴをしたんだな"とか"この街に住んでいる人は、ちゃんとひとりひとりの想いがあって、この街に生きているんだな"とかいうのが目に見える瞬間も多かったし、ちゃんとツアーを回ったという実感も得られたし、バンド・メンバーと音楽以外の話をすることもたくさんあって......すごくいいツアーだったんですよ。大変なことも楽しいこともどちらも感じられたことで感受性も豊かになったし、バンドとしてすごく密になってきたんです。
神田:『決闘』のツアーを回る前、"バンドの強度が強くなれば、いいライヴやいい空気を作れることに繋がる。それができたら演奏スキル云々はあとからついてくる"と思っていたんです。このツアーを始める前と今ではバンドだけでなく、スタッフさんを含めたチーム全体の空気が良くなった。それだけでもかなり意味のあるツアーになったと思っています。PENGUIN RESEARCHというバンドが成長したことを実感してますね。
-それだけいい空気だから、新保さんが打ち上げで気持ち良くお酒を飲んだ結果べろべろになって、堀江さんがそこでひらめいて曲ができて――といういいサイクルが生まれたんでしょうね。
新保:今回のツアーは、初めて一緒に回るスタッフさんが、"PENGUIN RESEARCHのことをもっと知りたい"と言ってくれたのもあって、めちゃくちゃ打ち上げで飲んだんですよ。
神田:うんうん。ほぼ朝までいたよね。
新保:神田さんは"飲みたい!"と思うときにしかお酒を飲まない人で、付き合いはすごく長いのに、べろべろに酔っぱらってる神田さんを見たのは、過去に1回くらいだったんです。
柴﨑:でも、今回のツアーの打ち上げ、神田さん毎回べろべろだったからね(笑)。ツアーをしているという実感が強かったし、その土地土地でのライヴを経ることでバンドがどんどんいい方向に進んでいると思います。ファイナルの横浜文化体育館も、その集大成が出せればいいという感じで。
神田:その"集大成"もそういうものにしようと構えているのではなく、自然と出ると思うんです。やっぱり自然体って大事ですよね。初期のPENGUIN RESEARCHは"こういうことをしていこう"としっかり計画してたから、ほぼ未経験の鷹司に、"こういうヴォーカリストになってほしい"という理想を、背負わせていた部分もあったと思うんです。でも、それは鷹司の長所を生かしたものなわけではないから、うまくいかないですよね。メンバー全員が自然体でいいものを出せる――それがバンドとして正しいと思う。それで横浜文化体育館でどーんとやれたら最高! 反省点はこの先なんとかしましょうって感じですね。バンド史上最大キャパというのもあって未知な部分も多いので、まずはやってみないとというところです。
堀江:ワンマンは、お客さんがみんなPENGUIN RESEARCH目的で来てくれるから、期待値が高いですよね。俺らはその期待に応える責任があるので、フェスやイベントよりも、何よりもワンマンが緊張します。みんなが横浜文化体育館のツアー・ファイナルを楽しみにしてくれている空気は伝わってくるので、それに応えられたらいいライヴになると思いますね。
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