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LIVE REPORT

Japanese

PENGUIN RESEARCH

Skream! マガジン 2018年09月号掲載

2018.07.08 @日比谷野外大音楽堂

沖 さやこ

バンド初の野外ワンマン、大成功と言っていいだろう。堀江晶太(Ba)と生田鷹司(Vo)を中心にして、スタジオ・ミュージシャンなどで活躍していた敏腕プレイヤーたちが集まり、バンドとして活動を始めて約3年。何度もツアーを重ねたことでそのグルーヴはさらにダイナミックになっている。それに加えて生田にフロントマンとしての箔がついてきたことで、バンドが引き締まり逞しくなった。すなわちこの3年で、PENGUIN RESEARCHは3,000人強のキャパシティを掌握できるバンドに育っていたのだ。

1曲目「嘘まみれの街で」から観客のボルテージは最高潮。3,000人強が一気にジャンプすると、野音の地面が波のように大きく揺れた。堀江と神田ジョン(Gt)は見た目的にも華やか且つアグレッシヴなプレイ・スタイル。新保恵大(Dr)と柴﨑洋輔(Key)も安定感と迫力のある音色で魅了し、個々の演奏スキルの高さはバンドにとって重要であることを改めて痛感させられる。

生田が"俺らだけでもライヴはできないし、みんなもひとりではできないし、今日は最後まで俺らとみんなで最高に楽しいステージを作りたいと思います! 最後まで全力で駆け抜けようぜ!"と言い「SUPERCHARGER」などアッパーな楽曲を畳み掛ける。ド派手なテクニックが作り出す嵐のようなサウンドスケープ、歌詞と歌をまっすぐ届けるブライトなヴォーカルと、閃光のような威力と鮮やかさだ。だがPENGUIN RESEARCHの魅力のひとつは表現方法が一辺倒ではないところ。「八月の流星」では一転、一気に爽やかな情景を彩った。「ハートビートスナップ」では客席からクラップが沸き、スタイリッシュなピアノ・ソロ、胸に染み入るギター・ソロ、スウィングが効いたベースなどが効果的に響く。生田もギターを持ち披露したミディアム・ナンバー「songwriter」では、温かく感動的な空間が広がった。

少しずつ日が落ち、足元のアスファルトからは昼間の熱がじわりと伝わり、遠くで蝉の鳴き声も聞こえる。夏を感じるには絶好のシチュエーションだ。和気藹々としたMCタイムでは、インドアを公言している堀江が"死にそう"と言うと客席も大爆笑だった。だが彼らは観客に楽しんでもらいたいという想いも強い。そのあとの「BUREIKO TIME」や「アジテーション・パレード」では、柴﨑がショルキーを構えステージ・センターでパフォーマンスしたり、新保が電飾のついたサングラスをかけたり、生田と神田と堀江が客席中央に設置されたステージでプレイや歌唱をしたり、観客が一斉にタオルを回したりシンガロングをしたりと、エンターテイメント性を持たせたハッピーなステージ展開もお見事だった。

オレンジの夕焼けが美しいタイミングで、生田が観客に着席を促す。生田がソングライターの堀江に新曲「少年の僕へ」に込めた想いを尋ねると、堀江はそれを語り、最後に客席をまっすぐ見つめ、いつもの静かなテンションで"バンドをやっていて良かった。このバンド、すげぇいいバンドなんです"と告げた。そのシンプルな言葉は、観客だけでなくバンド・メンバーにも響いたことだろう。「ジョーカーに宜しく」をゆったりとしたジャズ・アレンジで届けたあとはラスト・スパート。新曲「WILD BLUE」、「シニバショダンス」、「敗者復活戦自由形」、「boyhood」とエモーショナルな楽曲を届けると、生田が"今日という日、みんなと一緒で本当に良かったよ! 俺らと新しいステージ突き進んでいこうぜ!"と叫び、本編ラストは「近日公開第二章」を披露した。インタビュー(※2018年1月号掲載)でも"素朴で正直なロック"と語られた曲だが、ストレートなぶん、プレイヤーのメンタリティや人間としての原始的なパワーがダイレクトに飛び込んでくる。堀江の"バンドをやっていて良かった"という言葉を音で証明するような熱演と、夜空に舞った水色と銀のテープは、最高のクライマックスに相応しいほど壮観だった。

アンコールで生田はこの公演がソールド・アウトしたことを報告。最後に「旅人の唄」を披露すると、生田が笑顔で高らかに"出会ってくれて本当にありがとう!"と観客へ呼び掛ける。5人は最後に全員で手を繋いでマイクを通さず"ありがとうございました!"と言い、最後にひとり残った生田は声を振り絞り"また絶対に会おうな!"と叫び、ステージをあとにした。バンド活動の充実を演奏とパフォーマンスで証明した2時間超えの野音公演。PENGUIN RESEARCHのひとつの大きな結実と言っていいだろう。