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INTERVIEW

Japanese

nano.RIPE

2018年09月号掲載

nano.RIPE

Member:きみコ(Vo/Gt)

Interviewer:山口 智男

-じゃあ、選曲は今のnano.RIPEをまんべんなく表現することを考えたわけですね。

リード曲をバラードにしようということと、アニメ"劇場版 のんのんびより ばけーしょん"のオープニング主題歌である「あおのらくがき」を収録することは先に決まっていました。それ以外のところは、今の演奏力だからできるというところで攻めた「月兎時」を入れたり、「ステム」のようなシンプルで何も考えずにライヴで楽しめる、でもちゃんとメッセージもあるような曲を入れたりして。あとはnano.RIPEって、世間のイメージでは「なないろびより」(2013年リリースの12thシングル表題曲)、「面影ワープ」(2011年リリースの5thシングル表題曲)といったポップ寄りの曲が代表曲とされているので、ロックなnano.RIPEだけに偏らずに「雲の落とし物」のようなポップに振り切った曲も入れたりして、そういうバランスはすごく考えました。

-「雲の落とし物」はアレンジがすごく面白い。

アレンジは、菊池達也さんにやっていただきました。最初にデモを聴いたときは気づかなかったんですけど、レコーディングしていったらギターの本数がすごいことになって。こんなにギターを入れたことないっていうくらいジュンも弾いてました。そういう細かな仕掛けがたくさんあるので、そういうところを気にしながら聴いたら面白いと思います。

-メインになるリフはロックンロールの定番なんですけど、バンド・サウドに収まり切らないアレンジになっているところがいいですね。

すごく頭のいい曲になったと思います(笑)。あたしが弾き語りで作ったときは、ただかわいらしいポップな曲だったんですけど、それがこんなにふうになるんだってびっくりしました。

-そして1曲目の「インソムニア」は、きみコさんが大好きなスピッツの『ハヤブサ』を手掛けた石田ショーキチさんの編曲です。

ジュンが、以前ショーキチさんがやっていたバンド、Spiral Lifeが大好きだったんです。ジュンがある程度作り込んだデモを渡したら、驚くくらいそれをぶっ壊したアレンジが返ってきて。ジュンがアレンジしたデモは8ビートの疾走感のあるものだったんですけど、ショーキチさんがそれを四つ打ちにして"あ、それもありだな"って思って、そこから意見を交わしながらちょっとずつ擦り合わせていきました。どうしてそういうアレンジにしたのか、その理由を"この曲は1曲目でメロディがこうだから"ってすごくわかりやすく説明してくれて、ジュンとあたしは理論をすっ飛ばしてきたから、ほんとに勉強になりました。

-1曲目と決まっていたんですね?

新録でアルバムを始めたかったんです。でもリード曲の「ポラリス」はバラードだから、1曲目じゃないと思って。そうなると「インソムニア」か「ステム」の2択でした。「ステム」で始まるとすごくnano.RIPEらしい感じになるんですけど、nano.RIPEらしさもありながら新しさもあるってところで、ジュンも気に入っていた「インソムニア」がいいんじゃないかって。「インソムニア」は一番新しい曲なんですよ。

-10月から始まる20周年記念のワンマン・ツアー"nano.RIPE 20th anniversary ONE MAN TOUR 2018 「きせきのつるぎ」"は、どんなツアーになりそうですか?

アルバムの曲を中心にやるんですけど、20周年も大事なものとしてあるので、これまでのライヴの定番曲、代表曲もやります。今のnano.RIPEって昔に比べて、ライヴもハッピーな空気になってるんですよ。ステージで歌うことが毎回楽しかったわけではなかった時期に比べると、今はすごく楽しいので、そういう空気が溢れるライヴにしたいですね。

-"きせきのつるぎ"というツアー・タイトルはどこから?

"ドラクエ(ドラゴンクエスト)"のアイテムなんです。相手を倒して、さらに自分が元気になる武器なんですけど、ライヴってそういうところがある。わーって歌って、すり減るんだけど、みんなからヒット・ポイントを貰える。体力的には減っているはずなんですけど、始まる前よりも元気になっているってところがライヴにはあるんですよ。