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INTERVIEW

Japanese

チリヌルヲワカ

2018年05月号掲載

チリヌルヲワカ

Member:ユウ(Gt/Vo) 阿部 耕作(Dr)

Interviewer:岡本 貴之

-今回、南石さんと久しぶりにやろうと考えたのはどうしてですか。

ユウ:とにかく、新しいことをやりたいという気持ちはありました。

阿部:うん、それはあったよね。

ユウ:それでいろいろ選択肢を考えるなかで、南石さんとやってみたいという気持ちは以前からあったので。それと、いつも合宿レコーディングしていたところが閉鎖してしまったということもきっかけではありました。これを機に新しいところで挑戦してみようという。

阿部:まったく新しい人ともやってみたいという気持ちもあったんですけど、わりと短い時間で制作しなきゃいけないということもあって、やってみてちょっと違うよねってなるのも怖いので。ある程度経験があってこちらもその人のやり方をわかるという意味で、南石君とだとすごく話が早いし、作業も早くてストレスもないので。

ユウ:曲を用意してやることを決めておいて、それを清書するっていう感じでした。

-短期間で集中して作ったんですね。

阿部:そうです。というか、今までもそうだよね?

ユウ:今までもいつもそうです。なかなかギリギリのなかでやってるので、ちょっとでも体調を崩したりすると無理なスケジュールなんですけど(笑)。

阿部:そうそう。合宿はそれがね。しかもいつも冬場にやるので。そういうのがちょっとドキドキするよね。

ユウ:インフルエンザが流行っていたりして、いろんなリスクがあったんですけど、もうそのときの集中力はすごいです。

阿部:そういうことで延長しなきゃいけないっていうことは、不思議なくらいなかったよね? そういうことがあってもおかしくなかったのに。

-以前、ベテラン女性シンガー・ソングライターの方に取材したときに、"レコーディング前はいつも頭痛がしてすごく具合が悪くなる"って言ってたんですけど、そういう経験はあります?

ユウ:あぁ~、気持ちの問題ですよね。

阿部:わかる、わかる。僕も昔はレコーディング前にすごく体調が悪くなってたから。精神的なものだと思うけど。レコーディング前になると、なぜか口の中が荒れて口内炎とかがたくさんできて、レコーディング中いつも口の中が痛かった(笑)。

-ドラマーさんの口の中の状況までは、聴いてる人は気づかないですからね(笑)。

ユウ:あはははは(笑)。

阿部:でもだから、ヴォーカリストじゃなくて良かったなって。ヴォーカリストだったら痛くて歌えなかったと思う。

ユウ:たしかに。そういうのはプレッシャーとかストレスからくるんでしょうね。

阿部:今でもドラムの音はまず直さないんだけど、昔は特に、Pro Toolsがまだない時代だし、"絶対にドラムは直せない"っていうプレッシャーがあったんだよね。それに、早めに決めないとみんなも飽きてきて嫌な雰囲気になるから(笑)。だからすごく気合入れてた。

ユウ:あ~そうかぁ、なるほどね。私もレコーディング当日まで生きた心地がしないです。"早く終わってほしい"って。地に足がつかないというか、その日のことだけを考えて生きているっていうか。絶対体調も崩せないし、気持ち的には絶対崩さないぞっていう意気込みだからやれてると思うんですけど。前々回のアルバムのレコーディングのときは、初めて3人でレコーディングすることもあって、前日から一睡もできずに当日を迎えてしまって、次の日も眠れないみたいことがあったりして。それくらいプレッシャーが強かったですね。

阿部:レコーディングの仕方も、演奏を録ったらそのあとに歌も録っちゃうんですよ。だからユウちゃんはほとんど休みがない状態でやるので、それはすごいなって思います。

-しかも、今回は岡山に遠征しているから、何かあってもスケジュールの変更ができないという。

ユウ:そうなんですよ。

阿部:だから、ある意味奇跡的だよね?

ユウ:かなり無謀なことをやってると思います(笑)。

-さっきのスポーツ選手の話じゃないですけど、決まった期間で結果を出さないといけないわけですもんね。

阿部:そうなんですよね。

-今回はレコーディングの環境が変わったということもあって、そうしたメイキングのエピソードは興味深いです。

ユウ:今回はマスタリングまで南石さんに初めてやってもらってます。今回何が違ったかというと、トラック・ダウンとマスタリングは東京に戻ってきてからやりとりをしたので、データを送ってもらって各々が家でじっくり聴いて判断ができたんですよ。いつもはだいたいスタジオでみんなで聴いて一発勝負みたいなところがあったので、あとで思い返すと"ここでもっと注文を出せばよかったな"とか、"家でじっくり聴いて決めたかったな"というのを今回できたのは良かったです。

阿部:ただまぁ、一長一短で。メンバー間でちょっと意見が違ったときに、会ってないと説明できないところは難しいなって思いましたね。もうちょっと細かいニュアンスを伝えたいけど、メールとか電話だとこれは伝わらないなっていう部分はあったので。

-そういうところも含めて今回は実験的だったということですよね。

ユウ:はい、実験的ではありましたね。

-阿部さんは前作のときに、"単純にシンプルにやる方がカッコいいなと思うようになった"とおっしゃっていましたけど、今はどうですか?

阿部:やっぱり、だんだんそうなってる気はするかなぁ。でも毎回両面あって。自分のエゴを前に出していく部分と、むしろそういう部分を消すのと、両方意識してやっているというか。そこは常に難しいですね。あんまり自分を押し殺しすぎちゃうとそれはそれで後悔するし。でも、出さない方がいいときもあるから。