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INTERVIEW

Japanese

チリヌルヲワカ

2018年05月号掲載

チリヌルヲワカ

Member:ユウ(Gt/Vo) 阿部 耕作(Dr)

Interviewer:岡本 貴之

毎年、ほぼ同じ時期にコンスタントにアルバムを発表し続けているチリヌルヲワカ。前作と同じ5月10日にリリースされる9thアルバム『ノンフィクション』を手にしたとき、ふとランダムに曲を再生してみた。すると、これまでにないファンキーなギター・リフが耳に飛び込んできて驚いた。それが「極楽浄土」だった。新たなチャレンジを聴かせつつ、これまで以上にはみ出した感のあるサウンド。その音も歌詞も、紛れもなく最新アップデートの"ヲワカ節"だ。初の試みもあったという制作エピソードや楽曲について、ユウと阿部耕作に訊いてみた。

-前作『きみの未来に用がある』(2017年5月リリースの8thアルバム)以来ちょうど1年ぶりの作品になるわけですが、1年に1枚コンスタントにアルバムを出すというのは結構大変なことなのか、それともこの時期に出す、というモチベーションになっているのか、どんな感じなんでしょうか。

ユウ:大変といえば大変ですけどね。曲もいっぱい作ってきたので、毎年"もう出ない"って思うんですけど(笑)。また1年後に作るわけじゃないですか? 毎回もうこれ以上出ないっていうくらい出し切ってるんですけど、また作る時期がやってきて、"もうちょっと出るんだ"って。

-作る時期が来たら毎年そう思うわけですね。

ユウ:去年はもう無理って思ったけど、まだできて良かったみたいな感じですね。

阿部:スポーツ選手みたいだよね。記録を更新していくという。

-そのときそのときのベストな記録を出していくという。

ユウ:うん、そんな感じですね。

阿部:ユウちゃんは作詞作曲をしてくれているので大変さは違うと思うんですよね。こっちはできあがった台本を頂いてそれを演じるというか。でもバンドとしては、常に新曲が生まれていくというのは、やっぱり飽きないしやりやすいですよね。新しい曲ができると過去の曲も印象も変わるから、ライヴの感じも変化していけるので。先に進んでいってる感覚は常にありますよね。

-今回は明らかにこれまでと違う曲がありますよね。「極楽浄土」みたいなファンキーなサウンドってこれまでにあったかなって。

ユウ:なかったですね。初めてやりました。この曲は最初、私の中では全然違うイメージの曲だったんです。結構前から温めていたメロディだったんですけど、いろいろ他の曲ができてきたなかで、前からこういうファンキーなノリをやりたいと思っていたので、この曲に当てはめてみたらどうなるかなってやってみたら、いい感じにハマりました。最初に思い描いていた曲は、わりとこれまでの流れを汲んだ私らしい雰囲気だったんですけど、すごく新しい感じになったから良かったです。

-もとの曲にあった"私らしい雰囲気"というのは?

ユウ:オリエンタルな雰囲気というか。チャイナっぽいというかアジア的な(笑)。そう思ってたら初めてやる感じの曲になったから良かったですね。

阿部:この曲は1曲目にするかもしれなかったんですよ。そういう意味では今回一番引っ掛かる曲になったんじゃないかなって。

-タイトルも引っ掛かりますもんね。「極楽浄土」ですからね。

ユウ:まぁ、らしいっちゃあらしいと思いますけど(笑)。

阿部:今回、違った雰囲気になったのは、アレンジ的なことよりも、ユウちゃんの視点を変えてみようということが一番大きくて。リズム隊としては、ややファンキー寄りにアプローチしてみようと思った曲は今までもあったと思うんですよ。でも、良くも悪くもユウちゃんのスタイルを崩さないところもちょっとあったので。だけど今回は、ユウちゃん自ら違ったアプローチにしてみたいっていう感じがあって、わかりやすく言えば、ギターのアプローチを今までにない感じにしてきたんです。リズム隊が同じことをしていても、ユウちゃんが変えてこなかったら、もしかしたら今までとそれほど大きく変わった印象にはならなかったんじゃないかなって思いますね。

-エンディングでも延々とギター・リフを弾いてますよね? すごくフレーズを気に入って弾いてる感じを受けました。

ユウ:意外とああいうループ感って今までなくて。そういう曲は嫌いじゃないんだけど、自分の中から全然生まれなかったんですよ。そういう意味でもすごく新鮮な曲になりましたね。

-毎回"こんなコンセプトでやろう"っていうのはそんなにないとはおっしゃってますけど、今回も結果的にこういうアルバムになった感じでしょうか。

阿部:アレンジは常に結果だよね? その曲に対してどうやるかっていうことしか考えてないので。ユウちゃんの中では、曲のタイプでバランスを取っているというのはあると思うけど、この曲をファンキーにしたから全体をファンキーにしよう、ということはなかったですね。今までもそうだし、今後もそういうやり方はあんまりしないかなって思います。

-それでも統一感のある1枚に聴こえました。今作は1stアルバム『イロハ』(2005年リリース)を手掛けた南石聡巳さんがエンジニアを担当しているそうですね。

ユウ:そうなんです。去年南石さんが設立した、岡山県にある"duskline recording studio"に行ってレコーディングしました。

阿部:最初は彼に東京に来てもらおうっていう話もあったんですけど、せっかくだから思い切って行ってみようということになって。最近は合宿レコーディングを毎回していたので、そのことも、統一感のある作品のイメージに繋がってるのかもしれないですね。期間を分けて作っていたら、曲によってバラつきが出るかもしれないけど。