Japanese
phatmans after school
2017年12月号掲載
Member:ヨシダタクミ(Vo/Gt) ユタニシンヤ(Gt) ヤマザキヨシミツ(Ba)
Interviewer:秦 理絵
-ヤマザキさんは、なぜ今回は"歌を押したい"と思ったんですか?
ヤマザキ:ずっとそうした方がいいんじゃないかと思ってはいたんですけど、初めてバンドがガツッと出てくるような作品にチャレンジしてみて、"やっぱりこっちじゃない?"っていう確信があったんです。
ヨシダ:そのころ2公演ぐらいエモーショナルなセットで攻めたときがあったんですよ。でもそれが滑っちゃって。別にぐちゃぐちゃにはならないですけど、届いてるか、届いてないかっていう感覚で言うと、届いてなかった。"次もこの人たちは来てくれる"っていう実感が伴わなくて。
ユタニ:激しい曲とか踊れる曲をやるときも反応は悪くないんですけど、タクミがガッと歌い上げる曲の方が掴んでる手応えがあるんです。
ヨシダ:それは曲の良し悪しじゃなくて、僕自身に合うか合わないかなんですよね。
-その話を聞くと、今回のリード曲が「イトシキミヘ」っていうバラードになったのも納得ですね。一番目立つところにバンドの意志があるというか。
ヨシダ:ミディアム・バラードをリードにするのは初めてですね。この曲はアルバム制作の最後の方にピアノから作った曲なんですけど、リードにしたのは歌詞を乗せやすかったからなんですよね。メロディに意味を持たせやすかったというか。
-歌詞は別れのバラードですが。
ヨシダ:恋愛では男の方が女々しいっていうことを歌ってます(笑)。僕のまわりにも6年間ずっとひとりの女の子が好きで、でもその子が結婚して子どもがいるのをLINEのトップ画像で知って落ち込む......みたいな人がいて。意外と男の方が現実を見られないじゃないですか。女の方がすぐ"さよなら"ってするけど、男は別れても永遠に"まだ自分のことを好きなんじゃないか"っていうアホな自分がいるんですよ。
-わかります(笑)。この歌の締めくくりも"ねえ、もう一度"ですもんね。
ヨシダ:それって全人類共通だと思うんです。"もう1回会えたら幸せになりたい"って。女の子にその気がなくても、男にはそういう気持ちがあるっていうことを、女の子には知ってほしいし、男にはわかってもらえたらいいかなっていう曲ですね。
-なるほど(笑)。"歌"を聴かせるアルバムではありつつ、収録曲にはいままでにない新機軸の曲も入ってます。「エスニックガール」とか、ファンキーに振り切ったなぁと。
ヨシダ:この曲にきましたか(笑)。かなり実験的な曲ですね。これはアルバム制作の初期に僕がMIYAVIさんにハマってたんですよ。あのギターのスラップってすごく人を惹きつけるじゃないですか。あれって概念の問題なのかなと思うんですよね。たぶん"ギターでスラップなんて普通はしないだろう"っていうところから始まったと思うんですよ。
-三味線から着想を得たっていう話もありますよね。
ヨシダ:そうそう。で、僕もギターでスラップをしてみたくなって、僕らのアルバムでよくある概念をぶち壊すシリーズの第1弾ですね。ベースのスラップだけに聴こえるかもしれないんですけど、ギターのスラップも入ってるんです。
ユタニ:この曲のデモがきたときに、"これ絶対タクミは布袋(寅泰)さんかMIYAVIさんを聴き始めたな"って思いました(笑)。
-鋭いですね(笑)。ヤマザキさんはベーシストとしては燃える曲じゃないですか?
ヤマザキ:そうなんですよ。最近、ああいう跳ね系のリズムが得意なんです。でも今回のアルバムでは他にそういう曲がないじゃないですか。だから全部詰め込もうと思って、やりたい放題にやりました。フレーズを考えるのに一番時間がかかったと思います。
-この曲の歌詞は退廃的なSFの世界というか、空想の未来の話ですか?
ヨシダ:"たられば"ですね。この曲のテーマは人間って本質的には一生変わらないんだなっていうことなんです。有名な話として、4,000年前のエジプトの壁画に"最近の若者は......"って書いてあるんですよ。"先人の言うことをまったく聞かない、嘆かわしい"とか書かれてるんですけど、その最近の若者はもう4,000何歳とかですよね(笑)。
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