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INTERVIEW

Japanese

SCOOBIE DO

2017年04月号掲載

SCOOBIE DO

Member:マツキタイジロウ(Gt)

Interviewer:岡本 貴之

俺たちも長く続けていく以上はアップデートし続けていかなければいけないなって


-2016年から始まったツーマン・イベント"Young Bloods"で若手バンドと対バンしたことも刺激になっていますか?

そうだなぁ......もちろん若手バンドとやることでの刺激はとてもあるんですけど、どちらかというと、スタート自体はもう少しネガティヴというか。こういう形態(シングル)でやってみようってなったのも、『アウェイ』(2016年リリースの12thアルバム)を出したあとなんですけど、だいたいアルバムを出してちょっと経つと次のスケジュールを立てないといけないので、ミーティングする機会が多くなるんです。そのときに何を話すかというと、次のリリース・タイミングをいつにするかということなんですけど、そういう話をしていたときにベースのナガイケ(ジョー)から、"『アウェイ』も良い作品だけど、結局毎年同じようなテイストの作品を作り続けているだけじゃないですか"っていう意見があって。

-ここにきてそういう意見が出るなんてちょっとビックリしますね。

そうそう(笑)。たしかに、俺がすべて作っているから俺のテイストではあるし、そこで少なからずアレンジや音を自分なりに工夫しながら変えていこうと思ってやっているんだけど、"それはマツキさんの良い部分をどんどんすり減らしながら毎年作品を重ねているだけなんじゃないか"ってことも言っていて。それで爆発的なヒットが生まれたらいいけど、生まれないまま来ているから、どこかで何かひとつ工夫をしないと、新しいものって生まれないんじゃないかって。たしかに、言われてみればそうだよねっていう。それが良いのか悪いのかっていうのは、聴いてる人たちと俺たちの判断でしかないし、俺はそれが悪いことではないと思っていたんだけども、だからこそやってみたことがないことをやらないと、ある意味"自家中毒"というか、スクービーを好きな人にしか届かない音楽から脱さないといけないんじゃないかっていう空気感に、そのミーティングのときになったんですよね。それで"だったら、プロデューサーを立ててみようか"っていう話になったんですけど、まず1回今までのやり方を変えて、俺が全部作ってみてそれを生のドラムとベースに差し替えるという、要するに俺がもっとプロデューサーっぽくなってやってみるのはどうかなっていうことで、「ensemble」を聴かせたんです。

-打ち込みでマツキさんがある程度作ったということですか?

ある程度ではなくて、全部作りました。歌もドラムもベースもギターも全部入ったものを"これを作りたいんだ"って聴かせて、"いいんじゃないか"っていうことでできたのが「ensemble」なんです。外部のプロデューサーに乗っかって自分たちを底上げしてもらうんじゃなくて、自分たちの中で意識的に"よいしょっ"ってやらないと、やっぱり先には進めないんじゃないかって、俺はすごく感じたし、他のメンバーもそういうふうに感じているんじゃないかって思いますね。

-"楽団はいつだって強引だ"という歌詞にそのへんの心境が表れている感じがありますね。

はははは、そうですね(笑)。THE COLLECTORSの武道館ライヴを観たときに"30年スタイルを変えずにやってます"って言っていて、一見そういうふうに見えるけれど、30年の中であの人たちなりにちょっとずつアップデートしてたんだと思うし、やっぱり長くやっているバンドってどんなバンドであれアップデートしてきた痕跡があると思うんです。デビュー当時から一切変わっていない人たちは絶対いないわけだし。俺たちも長く続けていく以上はアップデートし続けていかなければいけないなって。

-『アウェイ』は音を加工せずに、ライヴで聴いている印象に近づけたかったと言っていましたが、今作のサウンド面ではどんなことを考えましたか?

今回は本当に、俺が打ち込みで作ってドラム、ベース、歌を差し替えてもらったような形なので、ライヴ感とかを意識せずに、今自分が聴いて心地よいもの、2017年に聴いて今っぽいなと思ってもらえる音像にしたいなとは思っていたんですよね。ナガイケが言ってた、俺の才能をすり減らしているだけなんじゃないかっていうのは、スクービーって60~70年代のソウル・マナーに則った、極論すればオールディーズをオリジナルに昇華して演奏しているバンドっていう見え方だと思うんだけど、そこを変えたかったというか。ただそれはそれで、そうやって生まれついちゃったから変えられないものという認識が自分の中にあるので、どこまで変えられるかわからなかったんですけど、その中でどうやって今の時代の音楽として通用するものを作れるのかっていうところに挑戦したかったんです。だから、聴いてくれた人が"あれ? 違うな"っていう手触りを感じてくれたら嬉しいですね。

-キメがすごく多いですけど、そこも最初からマツキさんが打ち込みで作ったものなんですか。

一字一句変えずにやってる感じですね。自分たちがやっている音楽って、すごく大胆に言えばノリ一発みたいな音楽ではあるんだけど、実際に人に心地よく聴かせようとすると、すごく繊細なことをやらないといけないんだろうなっていうことは思っていて。スタジオで"せーの"で口でああやってこうやってというアレンジだと、たぶんこれまでのスクービー味のまんまだったんじゃないかなって。そこは全部自分で作っちゃわないと新しいところにはいけなかったんじゃないかなって思うので、本当に"これを生でやって"という渡し方でした。

-他のアーティストに曲を提供するようなニュアンスですか?

そうです。それを今回はやってみたかったんですよね。

-コーラスには佐々木詩織さんが参加していますが、コーラスはこの曲にかなり大きな役割を果たしていますね。

そうなんですよ。今回作るにあたって、とにかく新譜を聴こうと思って。ロックよりは、どちらかというとR&B、ソウル、ヒップホップの新しいCDを極力聴いていたんですけど、最近の傾向として、音数が少なくてすごくシンプルなものが多いんですよね。だけどグッとくる感じってなんなのかなって考えたら、シンプルなんだけど必ず耳を惹く楽器の音色が入っているというか。最近の流行りでいえば80sっぽいアナログ・シンセの音だったり、そういうもので今時っぽさを出してるのかなって。「ensemble」を作って"何かひとつグッと惹かれるものが足りないな"と思ったときに、女の子のコーラスかなと思って、詩織ちゃんにコーラス・アレンジもお願いしたら、ドンピシャなものが返ってきたので"おぉっ、これだった!"って思いましたね。

-初めて聴いたのに何か懐かしい匂いがするというか、センチメンタルな感じがする曲でいいですね。

ブラック・コンテンポラリー感、80s感はありますよね。そこに詩織ちゃんの声がすごくハマりました。「ensemble」はMVを作っていて、詩織ちゃんには主役の感じで出てもらってます。