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INTERVIEW

Japanese

岸田教団&THE明星ロケッツ

2017年04月号掲載

岸田教団&THE明星ロケッツ

Member:ichigo(Vo) 岸田(Ba)

Interviewer:沖 さやこ

岸田教団&THE明星ロケッツがメジャー・オリジナル・フル・アルバムとしては2年3ヶ月ぶりの新作『LIVE YOUR LIFE』を完成させた。今作は、タイトルどおり"あなたの人生を生き抜け"という強いメッセージが込められた楽曲と4曲のシングルを収録している。バンドが始動して10年目になるタイミングで、なぜ彼らは"メッセージ性"を強くしたのか? そして、そのメッセージを伝えるためにどのようなサウンドメイクをしたのか? バンドの中心人物である岸田とichigoに訊く。

-フル・アルバムとしては約2年3ヶ月ぶりのリリースで、2015年にはシングルを1枚、2016年にはシングルを3枚リリースなさっています。この時期を振り返ってみていかがでしょうか?

ichigo:去年は岸田が忙しかったよね(笑)。自分たちの曲と親和性の高いアニメのタイアップが続いたので、いい曲がいっぱいできて良かったなと思うけど――

岸田:二度とあのペースではやりたくないよね、2016年のことは思い出したくない(笑)。

ichigo:これまでわりとのんびり活動してきたんですけど、2016年は制作とライヴがどちらもがっつりあって。そういうペースで活動するのは初めてだったんです。実際やってみて、メンバー全員、性には合ってないなと(笑)。でも、忙しいのはいいことだなとも思います。

-岸田教団&THE明星ロケッツはバンド活動としては今年10年目になりますが、この10年でメンバー同士の関係が変化した、などはありますか?

ichigo:特にないですけど、強いて言えば10年前にバンドを組んだときよりはメンバーのことがちょっと好き、くらいですかね。

岸田:ははははは!

ichigo:珍しいよね(笑)? 普通バンドって気の合う者同士で"やろうぜ!"と組むことが多くて、それでも10年も一緒にいると顔も見たくなくなったり、だんだん仲が悪くなっていくパターンもあったりすると思うんです。でも、私たちは岸田さんが知り合いを集めた感じで結成して、10年のんびり活動してきたのもあって、10年前よりちょっと好きだし、10年前より会うのが楽しい。

岸田:10年でようやく、本来ならバンドを結成する関係性になったということだね(笑)。

ichigo:そうだね(笑)。あんまり会わないと長く続けられますね。私たちは半年くらい一堂に会さないこともあって。密に会ってる期間は"やっぱりこいつらのことムカつくな"と思うんですけど、半年くらい経つと忘れてるんですよ(笑)。だから"久しぶり、元気?"と楽しめる。でも、そのうちまた"腹立つなぁ"と思って、そこで間が空いて――というサイクルで。怒るのはだいたいichigoかはやぴ~(Gt)なんですけど、ケンカしても次に会うときには忘れてるんです。

岸田:怒ってる理由もくだらないからね(笑)。つい数年前のことなんですけど、レコーディング中、はやぴ~さんがワウが壊れたせいでずっと怒っているのを見て"家に帰らないだけでもこの人すげぇ成長したな"と思ったもん。自分に戦慄した(笑)。

-(笑)ありがとうございます。新作『LIVE YOUR LIFE』は人生を強く生き抜く、力強い楽曲が揃っていると感じました。

岸田:"劇場版岸田教団"、という感じになりましたね。シングルを作り終わったあとに、アルバムの構想を練っていって。アルバムのテーマはタイアップ曲と繋がってるし、アルバムのテーマというよりは、ここまでくると自分たちのテーマだよね。

ichigo:シングルが4曲入っているので、その曲たちを繋げる感覚でアルバムの曲作りをしていたんですけど、いまやりたいことをやったら自然に馴染んだというか。今回のアルバムは岸田教団としてやれること、いち個人として言いたいこと――そういうものを込めたので、ちょっとメッセージ性が強まったかなと思います。

岸田:無駄にメッセージ性を込めたよね(笑)。そこに必要性があるかどうかは聴いてくれる人次第。メッセージ性が不要だと言われたら、俺は手のひらを返しますんで(笑)。

-なぜそういう作風に?

岸田:世相ですかね。

ichigo:物申したくなる時代、みんな物申したく思ってる時代というか。

岸田:そうそう。物申した方が得しそうな時代(笑)。

ichigo:今回のアルバムの歌詞は、未来に希望を探しているけど、現状に不満がある、切ない、悲しい......そういう視点が多いと思います。暗いところから明るいものを見るようで、でも暗いところは暗いまましっかり見つめる。そういう時代性を反映させたというか。

岸田:時代性を意識しつつも時代性に合わせるのではなく、我々がこの時代で生き抜くにはどうするか? ということですね。世の中的に我々は、生き残ることを約束されている側ではなく、どちらかというとサバイバルをしなければならないポジションなんです。だから世相を動かしたいわけではなく、この世相の荒波にもまれてどうすれば生き残れるか? を考えたというか。

ichigo:"LIVE YOUR LIFE"や"LIVE MY LIFE"(Track.12)というタイトルのとおり、人生を生き抜いていくことを考え、憂いているアルバムだよね(笑)。

岸田:俺たちも生き抜いていかなければいけない人間だけど、みなさんもそうだろう、と。生き残ることが大切ですよね、何事も。死んだらそれまでだから。

ichigo:うん。生き抜いてこそです。