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LIVE REPORT

Japanese

岸田教団&THE明星ロケッツ

Skream! マガジン 2021年12月号掲載

2021.10.28 @Zepp DiverCity(TOKYO)

Writer 杉江 由紀 Photo by フクシアヤミ

ヲタみはなかなかに濃いけれども、出す音そのものは紛うことなきロック・バンドのそれである岸田教団&THE明星ロケッツが、このたびコロナ禍の影響による1年半遅れでようやくメジャー・デビュー10周年記念ツアー"厳かに祭典"を開催するに至った。

ツアー・ファイナルでもあったこの東京公演については、アニソン・シーンの御大、影山ヒロノブが歌う"真ゲッターロボ「世界最後の日」"主題歌「HEATS」が爆音でオープニングSEとして流されるなか、2011年に彼らがメジャー・リリースしたアルバム『POPSENSE』の1曲目を飾っていた「ナイトウォッチ」から幕開けすることに。

以降、今宵はデビュー10周年記念のライヴらしい選曲がひたすらに続いていくのかと思いきや、なんと本編中盤ではいわゆる"東方"関係の非商業な楽曲である「妖々跋扈」や「東の国の眠らない夜」などがてらいなく連打される一幕もあり、これはきっとコア・ファンらにとって堪らない展開だったはず。と同時に、この場面は岸田教団&THE明星ロケッツの色あせぬヲタスピリッツを改めて感じられたくだりでもあったのではなかろうか。

なお、岸田教団&THE明星ロケッツというバンド名の由来にも関係している曲であり、もともとは"東方文花帖 ~ Shoot the Bullet."(※シューティング・ゲーム)の「レトロスペクティブ京都」を原曲として作られたという「明星ロケット」では、いよいよ彼らのテンションが限界突破をしてしまったようで、演奏のエモ度が急激なハネ上がりをみせてしまい......"いやー、今のは(テンポ)速かったねぇ"(はやぴ~/Gt)、"ちょっと一瞬ヤベぇ、これは叩けねぇかも!? って思った(笑)"(みっちゃん/Dr)、"俺も始まった瞬間ビビりました。みんな面食らったかもしれないけど、俺たちも面食らってっから(笑)。というわけで、岸田教団は動物園に戻ってます!!"(岸田/Ba)、"でも、楽しかったよね。そして、ファンのみんなもよくついてきたよ(笑)"(ichigo/Vo)と、メンバー自身もまるで予測していなかったほどの盛り上がりぶりを見せることになったのである。ちなみに、ドラムのみっちゃんはこの1年間で叩き方をバージョンアップしたことにより、今まで以上の轟音を叩き出せるようになったそうで、今ツアーからは初めてドラムの周囲に音響コントロール用のアクリル板が立てられるようになっていた点も確実に特筆すべきだったと言っていい。

そのあと、この夜の彼らはアニメ"とある科学の超電磁砲T"のEDテーマとして起用された「nameless story」や、メジャー・デビュー曲「HIGHSCHOOL OF THE DEAD」などを畳み掛けつつ、本編の最後には岸田教団の名に恥じぬ教祖、岸田様からのありがたい説法MC付き「Hack&Slash」でさらなる高みを体現したライヴ空間を生みだしてみせたほか、アンコールは彼らが同人音楽サークル、岸田教団だった時代からの人気曲「星空ロジック」で締めくくることになり、結果としてこの夜は"厳かに祭典"どころか極めて"賑やかな"祭典とあいなったのだ。

なお、岸田教団&THE明星ロケッツは引き続きここからも精力的なライヴを続けていくそうで、2022年2月からは現在発売中のベスト・アルバム『異世界転生したらベストアルバムでした。』の内容を軸としたツアー"岸田教団&THE明星ロケッツ LIVE TOUR 2022 異世界転生したらライブハウスでした。"を開催したのち、3月27日には新宿BLAZEにて"岸田教団が東方アレンジだけするライブ vol.1"も開催とのこと。ヲタみありきな彼らのロック魂はこれからも燃え続ける!


[Setlist]
1. ナイトウォッチ
2. 感情 in the black
3. ハンゲツトウゲ
4. ワールド・エンド・エコノミカ
5. 妖々跋扈
6. YU-MU
7. ラストリモート
8. 東の国の眠らない夜
9. 明星ロケット
10. 夏色ストレート!
11. nameless story
12. ストライク・ザ・ブラッド
13. GATE ~それは暁のように~
14. HIGHSCHOOL OF THE DEAD
15. Reboot:RAVEN
16. LIVE MY LIFE
17. Hack&Slash
en1. EGOISTIC HERO
en2. 星空ロジック

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