Japanese
Poet-type.M
2016年02月号掲載
Member:門田匡陽
Interviewer:石角 友香
-言ってしまおうと?
作ってるときはそこまで感じてなかったんですよ。"あ、俺、そう言おうとしてるんだ"って、終わったあとに気づいたというか。だから個人的には初めてなんですよ、自分で自分に対して歌ってるというのが。それは作ったあとに気づいたんですけど、作ったあとに正直すごく不安になったんですよ。"これはあまりにもパーソナルすぎるかな? こんなパーソナルな曲、人に聴かせるべきなのかな?"って。でも"こういう曲できちゃいました"とデモを作ってみんなにメールで送って(笑)。そしたらみんな"涙が出た"とかね、そういうふうな感覚で受け取ってくれたから、"じゃあ、これで終われるのかな"って、やっと自信が持てたというか。これがダメだったら、言うなれば"僕の音楽人生がダメだったんじゃないか?"っていうくらいの覚悟があったので。今まで自分が作った曲が何曲あるかわかんないけど、絶対に1番好きな曲はこれです。「永遠の終わりまで、『YES』を」、それが今できて、そのぶんみんながどう思うか不安でした。
-聴き手の反応が、ですか?
いや、聴き手の想像力だけを期待していこうと思って。実はDavid Bowieが死んだあと、非常に不安定になって過呼吸になるくらい"これはヤバイ"って状態になっちゃったんですよ。というのも、僕は7歳のころからDavid Bowieが好きで、親父と会話するより全然、David Bowieの曲聴いてる方が長かったんですよ。それで、なんか"R.I.P"とかいう言葉が大嫌いで、そういうことを言うヤツを金属バットで殴りに行こうかってくらい追い詰められちゃったんですよ、なぜか。"これはヤバイな"って、自分でも嫌になるぐらい、ダメになってしまって。そのときに「永遠の終わりまで、『YES』を」を聴いたら、すごく救われたんですよね。自分で1番効く薬を用意してる、だからこれを処方しなきゃけないと思って。それで、この曲を聴いて。だからまだみんなこの曲を知らないけど、いきなりこの曲に救われた人間が1人いるという(笑)。
-そうでしたか(笑)。ただ「永遠の終わりまで、『YES』を」のアウトロには楽団が行進していくようなニュアンスのパートがあるので、あたたかい気持ちで終われたのかな?と思ってたんですが。
今言ってもらったことはものすごく正しくて、そのために(内田)武瑠を呼んで、やってもらったんです。ちゃんと"THE GOLDENBELLCITY"にいた誰かと終わりたいっていう気持ちがあったから、"THE GOLDENBELLCITY"にいた楽団が"Dark & Dark"に来て、"Dark & Dark"を離れていくところを表現したくて、最後のあのパートがあるので。Poet-type.Mとしての"A Place, Dark & Dark"としてはそれがもう久しく僕がやりたかったことなんです。でも人間、門田匡陽としては"Dark & Dark"の終わりをこうしたことによって、もう降ろせると思った重荷の存在をものすごく感じているんです。
-でもね? 台本があって4章で完結するんだったら世話はないっていうか。それで武瑠さんを呼んだのはSOSだったのかもしれないですね。
そうかもしれないですね。ま、武瑠がいなかったら絶対あれはできないことはわかってましたし。あの曲に関しては(伊藤)大地と武瑠と3人でやって――さっき言った"バンドはできない"ってことをわかったうえで、あの2人を呼んでやってるわけですからちょっと面白いですね(笑)。
-いや、優しい終わり方だと思いますよ。門田さんの気持ちとは裏腹に成熟した作品で、これまでで1番まとまりもあるし、じっくり聴けるアルバムだし。今まで追いかけてきてよかったなと思いますけどね。
僕も思います。1番思うのは、まず約束通り、春・夏・秋・冬とだんだんよくなっていったなって、自分の中で。それが......1番嬉しかったです。ただ、もうPoet-type.Mがあと戻りできないんだなっていうのはちょっと......"やっちまったな(笑)、もう帰ってこれない人なんだろうなこの人は"っていう感覚はあります。
-違うスタンスでやるのもありじゃないですか?
それは自分の中では想像できないかな。人としてもうあまり屋号は変えたくない、みんなに迷惑かけたくないってのもありますし(笑)。でもPoet-type.Mが、もう戻ってこれないんだなっていうのは非常に可能性を感じてる部分でもあるんですよ。そういう......だからいろんな意味でやっちまったな、ですよ。悪い意味ではないです。
-明確になったということ?
そう、明確になったから自分の中でPoet-type.Mの次のステージはどこだ?っていう部分が見えたんですよ。それはライヴで今までファジーな部分が魅力ではあったんだけど、でも"Poet-type.Mってこうでしょ"っていうのが明確になったから、これをよりエンターテイメントに昇華できる気がして。そこに今、ワクワクしてるんです。
-4月にはライヴがありますが、どういうふうに集大成にしようと?
"festival M.O.N"より大変だろうなって思っていますね。実は1番緊張感がある音楽なんですよね、Poet-type.Mは。だから今回、みんなに椅子に座って観てもらえる環境でよかったなと思って。こんな大掛かりなプロジェクトの1番最後をやるんだったらみんなにリラックスして観てもらわないと、たぶんもたないだろうなと思ったりもするし。ただ、ひとつはっきり言えるのは、ちゃんと説明できるライヴをやろうと思ってます。たぶん(リスナーは)歯痒く思ってる部分もあると思うんですよね。僕が音楽上、"Poet-type.Mってこうだよ"って言い切ってないぶん、ライヴぐらいは親切にやってあげたいなって。
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