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INTERVIEW

Japanese

ザ・チャレンジ

2016年01月号掲載

ザ・チャレンジ

Member:沢田チャレンジ(Vo/Center)

Interviewer:吉羽 さおり

2015年4月にメジャー・デビューを果たしたトリプル・ヴォーカル・バンド、ザ・チャレンジ。姿かたちは三の線だが、音楽で、ロック・バンドで最高のエンターテイメントを、という姿勢で抜群にパワフルで陽性なサウンドを熱く奏でるバンドである。よって、誰かを楽しませ笑顔にするために、ジャンルは不問、あらゆる音の手立てを尽くして、思わずリズムを刻んだり口ずさんでしまうメロディを紡いでいる。あえて明記はしないがメンバーはそれぞれさまざまなキャリアを築いてきた5人。その英知を絞りつつ、バンドが表現できることを追求している爆裂感がある。1stアルバム『ザ・チャレンジランド』にはその濃いエキスが詰まっている。

-もともとは沢田チャレンジさんが"バンドをやりたい"とTwitterでつぶやいたところからスタートしたということですね。

僕自身がもともと別のバンドをやっていて。それがいいところまではいっていたんですけど、なかなかメジャー・デビューするまでに至らなかったということがあって。メンバーもいい年齢になってきたときに、人生の方向性の違いみたいなものが生じ始めて、活動休止することになったんです。そのとき自分も"もうロック・バンドはいいかな"って思ったんです。それで半年くらいはバンド活動をすることもなく、たまに仲間とライヴをやってという生活をしていたんですけど、やっぱりバンドやりたいなって思っちゃったんですよね。それでTwitterで"バンドやりたいな"ってつぶやいたら、ちょうどドラムのドラゴンチャレンジも彼がやっていたバンドを抜けて半年とか1年とかのころで、"俺、叩くよ"って言ってくれて。ベースのヤンキーチャレンジも"手伝うよ"と言ってくれて。普通、バンドを組むときになかなか見つかりにくいリズム隊がまず集まったんですよね(笑)。

-たしかに(笑)。もうそれでバンドできますね。

そう、これでもう3ピース・バンドができるじゃんって思ったんですけど。いかんせん、僕がお歌もギターもあまり得意じゃないので(笑)。これはまずいぞということで、他にギター・ヴォーカルをふたり入れるということで、補強をし。

-そこでいきなりふたりのギター・ヴォーカルを据える発想もなかなかないですけどね。

両脇にギター・ヴォーカルを従える、"水戸黄門スタイル"と呼んでます(笑)。僕は印籠を出すだけでいいっていう。それで5人バンドを結成したんです。だから、バンドをやろうと思ってから結成までは、1時間くらいだったんですよね。それで2ヶ月後に最初のライヴをやることになって、そのために6曲くらいオリジナルをバーッと作ったんです。今でもライヴでやっている曲が、2~3曲あったりするんですよ。だから、始めたきっかけとしてはすごくピュアで。バンドやりたいよねっていう気持ちだけだったんです。で、それに賛同した仲間たちという。

-メンバーみなさん昔馴染みだし、お互いのやってきたことだったり音楽性も知ってるからこそ気軽にできるというスタンスだったんですね。

3年目くらいのときに、"こんなに長く続くとは思ってなかった"ってタラコチャレンジ(Vo/Gt)に言われたことありましたけどね(笑)。周りにも2~3回の企画バンドだと思われていたみたいなんですけど、意外と人気も出てしまって。あとはやってて、本人たちも楽しいんですよ。それがあるからこそこんなに続いてしまったという感じですね。やっぱり動機がピュアだったので、"音楽が好き"、"ロックが好き"っていう気持ちが常にあったし。沢田チャレンジとしても、"これで失敗したら、人生終わりだ"みたいなことじゃなく、"楽しく音楽をやろうよ"っていうスタンスだったから、みんなも気軽にできて。それがよかったのかなって思ってます。ただそれによる不都合もたくさんあってですね、周りから本気でやってないと思われがちなんですよね(笑)。

-まさに企画ものバンドだと思われてしまう(笑)。

そうなんですよねえ。人生をかけてやってるバンドのみなさんがたくさんいますからね。いや、僕たちも僕たちなりに、人生はかけているんですけど、やっぱりそう見られないところがあって――見せてないっていうのもありますけど。そういう誤解は多いんです。でもまあ、ライヴを観てもらえばどのくらいマジでやっているかはわかると思うので。それでいいかなとは今は思っていますね。

-それぞれキャリアのあるメンバーだから、あえてこの5人が揃ってやるからには何かのアンチテーゼみたいなもので今の音楽の形になってるのかなと思っていたんですけど。もっと初期衝動的だったんですね。

そうですね。うちのバンドが面白いのは、"沢田チャレンジのやりたいことをやりなよ、俺たち手伝うから"というスタンスなんですよね。沢田さんは音楽的な方向性や指針は立てないんです。音楽のジャンルとか、今のサウンドを追うっていうよりは、もっと俯瞰した視点で、バンドとして表現したいことがあるんですよね。みんなを楽しませたいという思いだったり、ロック・バンドであること自体がすでに感動だと僕は思っているので。今のシーンがこうだからこういう音楽をやろうっていうのは、一切ないんです。もともと5人でこういう音楽をやりたいからって結成したバンドじゃないので。グランジに影響を受けてとか、ダンス・ミュージックとロックを融合させたいとかね。だから、まずお客さんに提示したいことがあって、それをミュージシャンとして、どう音楽でやろうかを考えるんです。そういうところは他のバンドと違うかもしれないですね。

-その"みんなを楽しませたい"、という始まりとして大きいのは何だったんですか。

これがなかなか自分でも答えられないんですけど、たぶん、沢田チャレンジという人が抱えている闇の部分というか(笑)。"楽しませないではいられない病"なんですよね。もともとが不安で小心者なところがあるので、過剰にエンターテイメントにしちゃうんですよ。普通のロック・バンドなら、"俺たちはこういうやりたいことがあって、こんないい曲があるんだからそれを聴いてくれ"とか、"感動するかしないかはお前らに委ねる"、というふうになると思うんですけど。僕は、例え自分がやりたいことがあっても、それをみんなも楽しんでくれるかどうかわからない、だったら手土産をご用意させていただきますみたいな。おしぼりに匂いつけちゃうぞみたいなね(笑)。そういう、ごはんじゃないところのサービスを充実させるところがあるんですよね。決して、ごはんに手を抜いているということではないんですけど――そういうところがすごくデカい。

-俺の生き様を見せるぜ、みたいなものではないと。

ないですね。そういうのもあるんですけど、他の部分が立っちゃう。そもそも俺の生き様を見たい人なんていないだろうっていうのがあって(笑)。