Japanese
the twenties / FUNKIST / odd five / ザ・チャレンジ
Skream! マガジン 2022年10月号掲載
2022.08.31 @下北沢LIVEHOLIC
Writer 稲垣 遥 Photo by タチバナジン
下北沢LIVEHOLICで不定期で開催されている"俺の生き様!!"が今回、ライヴハウスの7周年イベント・シリーズとコラボしたスペシャル・バージョンで開催された。豪華4組が顔を揃えたこの日はチケットもソールド・アウト。筆者としても久しぶりに、コンパクトなライヴハウス特有の"熱気"を体感した夜だった。
トップバッターはザ・チャレンジ。"20世紀フォックス"のファンファーレなど壮大すぎるBGMが鳴るなか登場し、「会いたい 会いたい ちょー会いたい」から、世代やジャンルを問わず一発で耳に馴染む楽しいサウンドでテンションを高めていく。そして、彼らにとってこの日はなんと8ヶ月ぶりのライヴ。"会いたかったかい!"と沢田チャレンジ(Vo/Center)がお馴染みの問い掛けをすると多くの手が上がったが、それはバンド側の気持ちでもあっただろう。タイトル・コールから観客が反応したディスコ・チューン「サマーライダー」、トリプル・ヴォーカルが炸裂する爽やかな「夏のせい」と続けたが、久々のライヴと言えど、ライヴハウス・シーンを盛り上げてきたその確かな実力は健在。沢田が"(コロナ禍で)それぞれ修行して、僕は10キロ増えてました。ひと周り大きくなった俺たちを観てほしい"と笑いを起こし、チャレンジオノマック(Vo/Gt)の甘いソロ歌唱から始まる「マイガール」、「お願いミュージック」とロマンチックなダンス・ナンバーを畳み掛けた。"渋いベース・ライン"が効いたなかでのカッティング・ギターなど、快音に身を任せポップな振りで踊るオーディエンスと沢田――が、久方ぶりのライヴである沢田には相当キツかったようで、腕時計で心拍数を確認すると170。爆笑(とちょっと心配)を生みながら"あともう1曲やりたくない! ギター・ソロから始まるパターンな!"とメンバーへ懇願し、小気味良いロックンロール「恋をしようよ」(※短時間凝縮バージョン)を最後に届ける。一発目から笑顔を咲かせる満足度の高いステージを見せつけていった。
"始めようかー!"フロントマン、中 拓史が叫んでスタートしたodd five。「韃靼人の憤り」からラウドロック・サウンドにレゲエのテイストなども盛り込んで、ティン・ホイッスルを吹き鳴らし、彼らの持ち味である異国情緒漂う音作りで会場をodd five色に染めていく。リズム・チェンジの多い「マクガフィン」、呪術的とでも言うべきか、エキゾチックなギターの調べが印象的な「曼荼羅」と続け、"音楽の深いところで繋がりに来ました"と中。独自の音楽性に誇りを持ち、それを貫くアティテュードが清々しい。そして、この日の時点ではリリース前の新曲「SALAMANDER」も披露。ギラついたキーボードとギターのリフが心地よい、どっしりとしたミドル・テンポに赤の照明が似合っていた。そこからセッションを挟んで「Mutant talks」。今度はチャイナ風のサビが耳に残るダンサブルな1曲で空気を変えた。北欧、南米、アジア。国境を越えて旅するようなライヴは彼らならではで、最初は耳慣れない一風変わったその楽曲も、ユニークな魅力と化し徐々にフロアを惹き込んでいく。"ぽっと出てきたやつが、いろんな人に届くこともある。すごく悔しいけど、初期衝動を大事に、自分たちがワクワクする音楽を届けていきます。何かちょっとでも心に残ったら一緒にとんでもない景色作っていきましょう。よろしく"と中がはにかむような笑顔でフロアに語り、「Cambrian Trip」まで渾身のトラックをたっぷり詰め込んだライヴを繰り広げた。
続いてFUNKISTがライオンを施したフラッグを振りながら登場。「Time has come」から土着的なソカのビートで会場を大きく揺らした。本能に訴え掛けるような大陸的な彼らの楽曲は、ひと塊になったときの爆発力が凄まじいと思い知らされる。そして、染谷西郷(Vo)がLIVEHOLICの7周年に触れ、「MAMA AFRICA」へ。"音楽は簡単に死なない。なぜか? ステージに俺らがいるからじゃない。ライヴハウスにあなたがいるからだ。ヤバいやつ見せてくれ!"と煽ると一段と大きくなる観客のジャンプに、"最高だよ"と言いながら微笑み掛ける染谷。1回も出たことのないライヴハウスなのに周年公演に呼んでもらえたことが嬉しいと話すと、爽快なロック・チューン「Snow fairy」を披露。力強いだけではない、言葉がはっきり飛び込んでくる、包容力のある歌が楽曲を引っ張っていた。MCではザ・チャレンジが楽しくてずっと楽屋で沢田の振付の真似をしていたとヨシロウ(Gt)が言い、染谷もodd fiveとも有観客ライヴで会うのはしばらくぶりだと語る。そんな出会いや再会の喜びをアコギに乗せて即興で歌い、そのまま「三日月トリップ」へ突入した。"お前はお前でいろ"というメッセージを、背中を押すというよりも肩を組んで一緒に歩くような頼もしさで届ける。ラストは「SUNRISE」。ドラムとベースのソロ対決を挟んだり、沢田に影響されたか、普段やらない振付をフロアと一緒にやってみて笑ったりと、とにかく楽しそうなバンドの姿が印象的だった。
トリを務めたのはthe twenties。「そらのよすが」からライヴをスタートさせた。歪んだツイン・ギター、5弦ベースに、鋭く弾けるドラム、ハイパーなシンセ風のシーケンスが重なり、迫力の音圧で聴かせる。長い黒髪をふたつに結び、ヒョウ柄のニット帽を被って大きなサングラスを掛けたフロントマン、タカイリョウが"くだらねえ"と吐き捨てたいくらいの現実と闘う様を泥臭く描く姿に釘づけだ。次いでリバーブをかけたヴォーカルでサイケなムードを増幅した「さらば青春の光よ」、「Come!!」。ストロボが光り、狂騒感を生んでいくが、一見エキセントリックな導入から流れ込むサビのメロディが美しくエモーショナルで、そのメリハリに惹き込まれる。ブリブリなベース・リフから手拍子が自然発生した「ドドドドド」、まさに炎のように燃える、ダークで武骨なガレージ・ロック「fire」と初期曲を連続投下した中盤。彼らの濃厚なサウンドが癖になる人が増えてきたようで、続く「LET IT DIE」では気づくと床が揺れていた。そうして蠱惑的に観客の心を掴んだところでこの日発売の新曲「VENUS」をお見舞いするが、ここでは珍しく曲についての想いを語ったタカイ。"俺らを観に来た客にしか歌ってない。この状況でもライヴハウスに来てくれるみんなが愛おしくて"。そんな言葉以上にまっすぐに、フロアへの溢れんばかりの愛情を、トロピカルでエレクトロなギターに乗せて歌う。アングラな雰囲気から急転直下で光に満ちる、あまりにピースフルな展開がニクいくらいにハマっていた。"こんなうるさいバンドを最後まで観てくれてありがとう"とタカイが挨拶し、最後はクラブのような酩酊感と、なんでもできそうなトリップ感を生んだ「Last Nite」。優しい轟音でライヴハウスを包み込んでいった。長丁場にもかかわらずアンコールが起きたのだが、"じゃあ......心を込めて好きな1音を"と、4人が一発鳴らして去っていったのも彼ららしくてクールだった。
[Setlist]
■ザ・チャレンジ
1. 会いたい 会いたい ちょー会いたい
2. サマーライダー
3. 夏のせい
4. NEVER ENDING MUSIC
5. マイガール
6. お願いミュージック
7. 恋をしようよ
■odd five
1. 韃靼人の憤り
2. マクガフィン
3. 曼荼羅
4. 蜘蛛と蝶々
5. SALAMANDER
6. SESSION
7. Mutant talks
8. 火影の譽
9. Cambrian Trip
■FUNKIST
1. Time has come
2. MAMA AFRICA
3. Snow fairy
4. Bright
5. 三日月トリップ
6. V-ROAD
7. SUNRISE
■the twenties
1. そらのよすが
2. さらば青春の光よ
3. Come!!
4. FAKE
5. ドドドドド
6. fire
7. LET IT DIE
8. VENUS
9. Last Nite
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