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INTERVIEW

Japanese

小林太郎

2015年12月号掲載

小林太郎

Interviewer:白崎 未穂

徹底的に"小林太郎"を消すことを意識したという今年2月にリリースした3rd EP『DOWNBEAT』で、ダンス・ミュージックという新たな武器を手に入れた小林太郎。フル・アルバムとしては約2年10ヶ月ぶりメジャー2枚目となる『URBANO』をリリース。ロック・サウンドから伸びやかな声で聴かせる壮大なバラードまで、彼が持っているすべての音楽性を研ぎ澄まし、洗練させたという。今現在の小林太郎の集大成となった今作について、話を訊いた。

-2012年に1st EP『MILESTONE』でメジャー・デビューして以来、毎年コンスタントに作品をリリースしていますが、今年2015年は3rd EP『DOWNBEAT』を2月に、そしてこの11月25日に2ndメジャー・フル・アルバム『URBANO』をリリース。2枚もリリースするって、結構ハイペースなんじゃないかと思うのですが、何かあったんですか?

前作『DOWNBEAT』を作り始めたのが去年の秋ぐらいですかね。そのときぐらいからEPを出したあとにフル・アルバムをガツっと出していこうと。

-フル・アルバムをリリースすることを決めたのはほぼ同時だったんですね。

そうですね。制作はもちろんEPが先ですけど、フル・アルバムを出すこともある程度決まっていましたね。なので、EP(『DOWNBEAT』)はテーマを設けて今までとは違うシンセや電子音、クラブ・ミュージックと激しさを融合してみようという方向性だったんですけど、今回のフル・アルバム『URBANO』は、EPを経たうえで出せる"小林太郎"の良さみたいなものを出していこうという感じですかね。

-アルバム『URBANO』の制作期間はどのくらいだったんですか?

デモを全部あげたのは今年の3月ぐらいでしたね。実際レコーディングが始まったのは8月末で、1ヶ月ぐらいで全部録りました。

-今作の『URBANO』聴かせていただきました。1stフル・アルバム『tremolo』(2013年リリース)も幅広い音楽性を持った作品だったと思うのですが、今作ではより深みが増してきたのかなという印象でした。ご自身では今作をどのように捉えていますか?

メジャー・デビューして3年、インディーズのころを合わせたら6年くらい経っていて。作品を出しつつ曲を作りながら時間が経ちましたが、その中でずっと使われなかった曲。作ってあったけど、使わなかった曲。2年前のものもあれば、4年前に作った曲もあってバラバラなんですけど。それを今回全部やろうって思ったんです。ストックはもっとあるんですけど、いつかやろうと思ってずっと使わなかった曲、そういう子供たちを今の自分でブラッシュアップしてできたアルバムです。アルバムの出来も素晴らしく。いつかずっとやりたいと思って心に引っかかっていたんですけど、それがとれたという気持ち良さもあったり、それを経験や知識で洗練できることも嬉しいし。いろんな面でできて良かったなと思えるアルバムです。

-制作で意識したことってありました?

歌詞の書き方をちょっと変えましたね。もともと全部歌詞ができていたものもあるんですけどね。以前はデモを作ってる最中に浮かんできたら書くこともあったし、先に曲として完成させてから歌詞を書き始める場合もありました。歌を録音する前までに歌詞を書くっていう感じだったんですよ。でも今回、スケジュールがタイトだったんで、レコーディング中に書こうと。レコーディングするとき、最初はサウンド・チェックから始まるんですけど、始めから最後まですべて演奏するんです。それを何回か繰り返して、音が決まったら録り始めるという段取り。で、録るのも一発録りじゃないので何回も繰り返すと。曲ができていく過程を見ながら繰り返し聴ける環境だったので、歌詞を書けるんじゃないかなと思ったんです。自分でも音とかレコーディングの大事なところを聴きながらずっと書いて。そしたらスラスラ書けて全部できちゃったんです。レコーディングは4日間で、1日2曲レコーディングするペースだったんですけど、1曲4時間程度で、その中で書き上げるようにしました。まぁ、自宅に持って帰って考えると時間をかけれるからそれもいいんですけど、やっぱり悩んでしまうんですよね。曲を聴かない状態で考えたりすることもあるし。それに、デモ音源を聴きながら書くより、レコーディングしてる音の方がいいし、音も大きいし、しかも生なので。すごく想像力が膨らみやすい環境だなと思って。ここで歌詞を考えるって、すごくいいんだなと思いましたね。本当にスラスラ書けました。

-今作は全体的にネガティヴなことや感情をポジティヴに捉えようとしてる歌詞が多いのかなって感じられました。特にTrack.3「伽藍堂」は"中身ならちょっとくらい入ってるくらい"という歌詞が空っぽの自分を肯定してるような気がするし、Track.6なんて「アイムレス」という曲名からすでに......。

基本ネガティヴです(笑)。今まではそれでも書き方を変えたり、アプローチを変えたりしたんですけど、今回は本当に出てくるがままに書いたんです。ほとんど吟味もしてないですね。歌いづらくなければそれでいいやって。そうしたら、俺なりの表現や言葉がすごく出てきてて。だからすごく急いで書いたとはいえ"この言い回し好きだな"とか、そういうのは結構ありますね。その中で、ネガティヴをポジティヴに捉えようとしてるってのは逆に今まで変わらなかったところなのかもしれないです。初期は基本的にネガティヴなんで(笑)。