Skream! | 邦楽ロック・洋楽ロック ポータルサイト

MENU

INTERVIEW

Japanese

小林太郎

2015年12月号掲載

小林太郎

Interviewer:白崎 未穂

-なるほど(笑)。先ほど例にあげた「伽藍堂」ですが、映画"復讐したい"の挿入歌となっていますが、ヒトリエのゆーまお(Dr)さんがレコーディングに参加されたそうですね。

いつもプロデュースしてくださってる涌井(啓一)さんがヒトリエさんもプロデュースされてて、その繋がりで今回ゆーまおさんに叩いてもらいました。すごくタイトなドラムでした。ミュージシャンによってフレーズの個性があるのはもちろんなんですけど、僕の場合スタジオ・ミュージシャンの方と一緒にやることが多いので、バンドをやっている方と一緒にやることが少なくて。だからすごく刺激的でした。逆にゆーまおさん自身も、バンドでしかドラムを叩くことがなかったそうで、緊張されてましたね。

-お互いにとって新鮮なやりとりだったんですね。じゃ、今後はライヴで共演する機会があるかもしれないですね。

そうですね。もしかしたら、そういうこともあるかもしれませんね。

-Track.4「花音」は"花の儚い一生"を花の目線で表現してますが、これはいつごろ作られた楽曲なんですか。

この曲は2~3年前ぐらいに作りました。バラード自体はこれまでもあったんですけど、ストリングスを入れたイメージのバラードを作り始めたのが「花音」と「鎖」(Track.11)。この2曲は同じ時期に作りました。どちらも音の雰囲気は明るいというかあたたかいイメージですかね。どっちかというと「花音」の方が同じ春の季節でも良い面を持っていて、"芽吹く""始まる"とか良くなっていくかもしれないという希望的な春をイメージしました。「鎖」は同じようなバラードで、ふんわりしてるんだけど、どっちかというと"別れ""旅立ち"をイメージしてます。春をふたつの曲で表現できたなと思います。

-Track.9「時雨」はバラードでもダンス・ロックでもないミディアム・バラードとでもいうのか、憂いを感じさせる絶妙なテンポですよね。

それこそ、4年前ぐらいに書いた曲かもしれないです。インディーズのころに作った曲ですね。19~20歳ごろですかね。それをブラッシュアップして今回収録しました。テンポはもうちょっと遅かった曲ですね。「時雨」は特にこのアルバムの中で1番好きな楽曲です。踊るテンポというか落ち着いて聴けるぐらいのテンポ感で、メロディや声質は綺麗な感じ。でもちょっとサビがエモーショナルで、それがすごくクールに聴こえるんだけど、綺麗で素敵な曲だなと自分で思いますね。

-また"時雨"という曲名が合う楽曲ですよね。

そうですね。タイトルまで当時決まってました。この曲はもちろんライヴでもやりたいけど、気分を上げるというより聴かせる感じ。だから雨とか、湿っぽいイメージにしたいなと思っていました。「鎖」はわかりやすく"別れ"や"さよなら"という感じですけど、「時雨」の歌詞はちょっと複雑で雰囲気が切ないんですよね。

-そうですね。その他、ご自身でお気に入りの曲はありますか?

「tachikiru melody」(Track.2)ですかね。この曲は3年前に作った曲で、デモの段階ですでにダンサブルでした。四つ打ちだったりダンサブルなものは前作『DOWNBEAT』でやったことでもあるんですけど、前作を経たことでよりループ感が強いというか、ダンス・ミュージックっぽい抑揚のつけ方ができてよかったです。

-今回タイトルに"URBANO"って名づけていますが、これはどこから?

"URBANO"ってイタリア語なんですけど、英語で言うと"URBAN"で、"都会的""洗練された"って意味です。自分の土台となる部分やもともとの自分の音楽性は、地元の静岡でやっていたころに形成されて。19歳ぐらいで上京してきたんですけど、そうすると新しいものに晒されるわけじゃないですか、経験として。音楽でも音楽以外でも、それは一緒で。今回の場合、ゼロ地点は昔のデモだと思います。しかも使われなかった曲だから偏っていたりするんですけど、もともと持っている自分らしさがより出てたりしてて。そういう曲たちをいろいろ経験してある程度洗練された自分がブラッシュアップする。自分の変わらない元の部分を洗練する。言ってしまえば"都会的"な要素を入れるっていうところで"URBANO"という言葉を選びました。

-上京される以前から数々の楽曲を生み出し続けていらっしゃいますが、アルバムやEPなどを発表し続けるうえでブレないこだわりってありますか?

『DOWNBEAT』のとき、実験的にできるだけ自分らしさをなくそうと思ったんですけど、俺が歌うとやっぱ俺の音楽になるんだなっていうことに気づいたんです。だから何をどうやっても、自分で歌ったりギターを弾いたりしたら俺っぽくなる。っていうことは、そこをもう考えなくてもいいんだなって思って、今回は曲のことだけを考えたのですごく自由にできたんじゃないかと思います。