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LIVE REPORT

Japanese

小林太郎 / Academic BANANA

Skream! マガジン 2018年09月号掲載

2018.06.26 @下北沢LIVEHOLIC

Writer 吉羽 さおり

5月に約2年半ぶりのリリースとなるEP『SQUEEZE』をリリースした小林太郎。今回は人生初のバースデー・イベントということで、小林のステージは2部構成のライヴとなった。第1部は"セレクト・ベスト"。そして第2部へと繋ぐ前にレーベル・メイトでともにツアーをし、EP『SQUEEZE』制作にも携わったAcademic BANANAが登場し、第2部は、"リクエスト・ベスト"というスペシャルなもので、小林太郎のバンドもAcademic BANANAがサポートを務める。気の置けないメンバーでの熱いステージだ。冒頭からエンジン全開だったのか、"渋谷よろしく! ......いや、下北沢だったな"と照れ笑いした小林太郎。『SQUEEZE』収録の馬力あるロックンロール「Jaguar」でスタートした第1部は、"初のバースデー・イベントで緊張しておりますが、幸せであります。ともに叫べますか、下北沢!"とフロアの熱を上げながら、新旧の曲を様々なアレンジで聴かせた。バンドもギター、ベース、ドラムの編成だけでなく、リアレンジ・バージョンの「蛇烙」ではアコースティック・ギターの小林とエレキ・ギターという編成で演奏し、「鎖」ではピアノと小林の歌のみという編成でしっとりと響かせるなど、曲に合わせてフレキシブルに変化する。せっかくの誕生日で主役にもかかわらず、ステージ上の誰よりも地味な格好をしているとAcademic BANANAのメンバーたちにいじられていた小林。しかし、事務所を独立し、自身でレーベルを立ち上げて作品をリリースするまでのおよそ2年半を経て、今こうして人生初のバースデー・イベントができている喜びを、重厚なロック・サウンドで爆発させ、歌のパワーに変えていった。第1部のラストは、過去曲のフレーズを盛り込みつつ、それを超えるタフさを持った「バラード」で締めくくり、続くAcademic BANANAへと繋いだ。

『東京』をリリースしたAcademic BANANA。「Tokyo Dada City」からスタートし、ロック、ファンク、ジャズ、フュージョンなどをバックボーンにしたメロウで心地いいグルーヴのあるサウンドで、観客がハンドクラップし、身体を揺らす。齋藤知輝(Vo)は小林太郎のスタッフも務めており、"太郎は音楽以外何もできないんですよ"と愚痴をこぼしつつも、「雨上がりKiss」、「ミッドタウン」では小林をステージに呼び、息の合ったデュエットを聴かせた。大浦史記(Pf)がギラン・バレー症候群で療養していたこともあって、久々のメンバー4人揃ってのステージだったという。賑やかで、フレンドリーな笑顔に包まれたフロアのムードやステージは、リリース・パーティーに相応しいものだった。

そして小林太郎の第2部は、地味な黒Tシャツを浴衣に着替え、ヘアメイクもして華やかに登場。"リクエスト・ベスト"の1曲目は、彼が高校時代に"小林太郎とマサカリカツイダーズ"で活動していたときの懐かしの曲「安田さん」でスタートした。"踊れ"の声で、大きく盛り上がる会場に「ソフィー」を連投。小林が主題歌を担当し、公私ともに仲のいい"仮面ライダーアマゾンズ"の出演者、小林亮太、俊藤光利、田邊和也、勝也、宮原華音が駆けつけて28歳の誕生日を祝うなど、スペシャル感が満載だ。ゲストにちなんで「仮面ライダーメドレー」も披露され、涼やかな浴衣姿ながら誰よりも汗だくになり、骨太なサウンドで「飽和」と「目眩」を叩きつける。"18歳で始めたときは、こんなふうに誕生日を祝ってもらえる10年後は想像できなかった。これからもどんどん曲を作って、ライヴをしたい"と語った小林。小林太郎第2章のスタートに相応しい一夜となった。

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