Skream! | 邦楽ロック・洋楽ロック ポータルサイト

MENU

LIVE REPORT

Japanese

Academic BANANA

Skream! マガジン 2022年09月号掲載

Academic BANANA

Official Site

2022.08.14 @LOFT HEAVEN

Reported by 藤坂 綾 Photo by 小山田祐介

8月10日に1stフル・アルバム『SEASON』をリリースしたAcademic BANANAが、LOFT HEAVENにてワンマン・ライヴを開催。2019年12月21日以来のワンマンということで、バンドにとってもファンにとってもこんなにも待ちわびた日はなかっただろう。

SEと共にグランド・ピアノが用意されたステージにメンバーが登場。すぐさまピアノのイントロから始まる「残り香」でライヴはスタート。続く「真夜中の月」ではヴォーカルの齋藤知輝がギターを置き、声と身体のすべてを使いこのエモーショナルな楽曲を表現する。会場は一気にアカバナ(Academic BANANA)の艶やかな世界に染まっていった。

このメンバーでは久しぶりのライヴになることと、アルバムがリリースされたことを告げ、アルバム『SEASON』 から「抱擁」、「サイレントラブ」とまた立て続けに披露。スタート2曲とは打って変わったミディアム且つポップな2曲に、客席の空気も少しリラックスしたものに変わる。曲が終わり"これがアカバナです"という齋藤の顔は、自信に満ち溢れ輝いていた。

MCではメンバーをひとりひとり紹介していくということで、まずはライヴ開始直後から笑顔が止まらなかったドラムの清水裕貴を紹介。案の定"楽しくて仕方がない"という清水は、齋藤と共にレコーディングの思い出話を繰り広げ、その流れから、齋藤がレコーディング中に"バンドのパワーはこれだ!"と気づきを得たという「望遠鏡」へと続く。グランド・ピアノの豊かで伸びやかな音色が印象的だ。

「共犯者」、「ミッドタウン」をクライマックスさながらの勢いで演奏し、続いて『SEASON』のアレンジをほぼ担当したというベース、萩原健太の紹介へ。齋藤いわく"喜怒哀楽をどこかに置いてきた男"という萩原が、久しぶりのライヴに"マジ嬉しい!"と叫ぶと、客席からは大きな拍手が。当たり前なんて何ひとつないことを改めて思い知る。

「夜明け前のダンス」、「Tokyo Dada City」では、楽曲センスとメンバーそれぞれのスキルの高さを見せ、サポート・ギター 藤代佑太郎の紹介へ。藤代と齋藤は昔一緒にバンドをやっていたが疎遠になり、巡り巡ってまた同じステージに立っているのだという。当時のエピソードを面白おかしく話すものの、音楽を続けてきたからこそ今日があるわけで、言葉にせずともその喜びはちゃんと伝わってきた。そんな藤代のコール&レスポンス(ファンは声を出せないため失敗に終わる)からの「恋をしよう」でライヴは後半戦へ。「Sexy Station」で身体を揺らしたあとは、幻想的なピアノ・ソロから始まった「白く」、そして心の中を振り絞るかのように歌う「金木犀」と続き、"この人のピアノに出会えて良かったと各季節毎に思います"と、ピアノの大浦史記を紹介。まるで兄弟のような関係を、何気ない日常の出来事を例に話したあと、"様々な事情でやめていく仲間が多いなか、続けてこれたのはこの人のおかげです"と、齋藤がヴォーカルで参加するワルメン応援&リズム・ゲーム"ブラックスター -Theater Starless-"よりTeamKの「黒い虚実」をカバー。そして、"立ち止まったり、壁にぶち当たったり、たまにひとりぼっちで歌うこともあるけど、それでもアカバナの齋藤知輝でいれば今日みたいにみんなでできる日も来ると思ってやってきた。離れていった人たちにはまたここに来てもらえるように、今日来てくれた人たちには全力で届けられるように、最後に心を込めて歌うので受け取ってください" と「Feel Like Sunny」を歌い、本編は幕を閉じた。

アンコールはまず齋藤と大浦が登場。齋藤が故郷の祖母との思い出を話し、大浦のピアノで「口紅」を歌う。ちょうどお盆だったこともあり、さよならした大切な人のことを想いながら聴いた人も多いだろう。この日この場所で聴いたこの曲のこと、そして歌い終わった齋藤の目からボロボロとこぼれ落ちる涙がとても美しかったことは、きっと一生忘れられない。ラストは再びメンバー全員で「Sound Goes By~幸せの風~」を演奏し終了。

どこまでも人間臭いAcademic BANANAがこの日ここに現れた。それは楽曲やパフォーマンス然り、メンバーとの関係性然り、ライヴ終了後LOFT HEAVENへ感謝の想いを述べる姿にまで至る。過ごしてきた季節や乗り越えてきた季節をかっこつけずにぶつけてきてくれたからこそ、それをしっかり受け取ることができたし、こんなにも情熱的な夜を過ごすことができた。この夜を越え、これから彼らが歩む季節はどんなものになるのだろう――いつかまたその季節と出会える夜が来ることを心から楽しみにしている。

  • 1