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INTERVIEW

Japanese

四星球

2015年08月号掲載

四星球

Member:北島 康雄(シンガー) U太(Ba) まさやん(Gt) モリス(Dr)

Interviewer:天野 史彬

-去年のモンバスでの経験を、今回、1曲の形にしてシングルとして出すっていうのは、どういうところから生まれたアイディアだったんですか?

北島:要素はいくつかあったんですけど、ひとつは、もともとライヴ映えする曲が1曲欲しいっていう気持ちがあったっていうこと。で、もうひとつは、MONSTER baSHで去年あんだけのことをして、この先、自分らとMONSTER baSHの関係性はどうなるんだろう?、っていうことを考えたときに、曲を作るっていうことはまだしてないなって思って。音楽的なことで何かをしたいなっていうのがあったんですよね。あとは、まぁ、去年のお礼もあるし。観てくれた人たちにも、"ありがとうございました"っていう気持ちをひとつ残したかったっていうのはありましたね。もし、これがバーンとええ感じで売れたりしてもらえたら、余計、恩返しにもなるかなって思うし。それから、今年のMONSTER baSH当日までをどう楽しむかっていう。今までも、MONSTER baSHの当日で使う音をライヴハウスでお客さんと一緒に録音したりして、その日までを一緒に楽しんできたんですよね。その一環でもありますね。

-この曲はタイトルが"MOONSTAR daSH"だし、サビは"ぶっかけまわす ぶっかけぬける"っていうフレーズだし、"駆け抜ける"がひとつのキーワードになっていると思うんです。やっぱり"駆け抜けたな"っていうのが、去年の実感として強かったんでしょうか?

北島:そうですね(笑)。体感時間がおかしかったですから。実際、予定していた時間よりはみ出してしまったんですけど、僕にとっては正直、あっという間でしたから。だから"駆け抜けたな"っていう感じもあるし、あとは、ほんまに"かき回したったな"っていう実感も強かったですし。演奏しながら、"ああ終わってまうな、もったいないな"っていう感覚もあったし、でも"バーっとやりたいな"っていう気持ちもあったし......そこを歌にした感じですかね。

-Track.2の「武器を捨てよ 太鼓を持て」を聴くと、そうしたMONSTER baSHの経験を経たうえで、バンドの芯を歌っている感じがするんですよね。歌詞にある"媚びうるが魂は売らず"っていうのは、バンドにとっての本質的な部分なのかなって。

北島:うんうんうん、なるほどねぇ(笑)。でもたしかに、このTrack.2は1番優しい、丸くなった歌かもしれない。で、その要因として、(MONSTER baSHで)あんだけ愛情を感じたっていうのはあるかもしれない(笑)。だって、あんだけ愛された日はなかったので。それはたしかにあるかもしれないですね。狙ってやったわけではないですけど。

-"コミックバンド"を名乗りながらやっていくうえで、"媚うっても魂売らず 夢を売り未来を買う"っていうフレーズは、かなり大事な根幹なのかなって思うんですけど。ただ、四星球からは、"楽しませよう"っていうサービス精神も感じるし、同時に、すごくわがままな感じもするんです。

北島:結局、自分に跳ね返ってくるところというか。"楽しませたい!"って言いながらも、時間とお金を割いて来てくれる人に対して、"損したな"って思って欲しくないっていう気持ちもあるし。その最たるものが去年のMONSTER baSHだったんですよね。みんな次の日仕事あるし、雨降ってるし、それでも最後まで残ってくれて、それで"こんだけ待ったのにこれかよ"って思われたら終わりだなっていう。それはもう、サービス精神というよりは自分を助けたいっていうことだと思うんですけどね。あと音源に関して言うと、今回のTrack.4(「モリス教授の世界一のLove Song...夏」)なんかはいらないですもんね(笑)。これはサービスでしかない(笑)。

U太:難しいですけどね。一概にサービスと言っても、こっちの過剰な押しつけとも言えるし(笑)。このTrack.4とかも、イラっとする人もいるかもしれないですから(笑)。だからある種、万人に受けようとは思っていないのかもしれない。それでも、極力いろんな人に笑ってもらえるものを作ろうっていう。

北島:自分たち自身の物足りなさとの折り合いが重要というか。1番バランスのええとこ行かなあかんなっていう。だって、ほんまに面白いと思ったら、Track.4みたいなやつを4曲入れてもいいわけじゃないですか(笑)。"ほんまに、こっちがゲラゲラ笑えるのはこれや!"みたいな。でも、それは絶対にやったらあかんから(笑)。そこの折り合いのつけ方かなぁ。

-なるほど、なるほど。これは、すごくそもそもの話なんですけど、"コミックバンド"って、背負えば十字架になるような言葉でもあるじゃないですか。それでも何故、四星球は"コミックバンド"を名乗りながら、人を笑わせるパフォーマンスを突き詰めていこうとするんだと思います?

北島:ほんまに簡単に言うと、達成感が倍々っていうのはありますよね。他のバンドさんでは味わえん部分を味わさせてもらってるっていう。例えば、2万の人がバーッて笑う声なんて、そうそうステージで聞けないじゃないですか。それを聞いたときには、"ああ、これは特権やなぁ"って思いますね。"コミックバンド"を名乗ってやってきた分だけ返ってきたときは1番嬉しいですね。それが1番大きいのと、あとは逆に、それを十字架とせず、武器としていろんな人と絡めるっていうことですかね。このふたつだと思うんですけどね。やりたい理由とか好みとかを一切置いておいて考えると。

-その"やりたい理由"っていうのは、どこにあったんですか?

北島:やっぱり、(他のバンドと)"被りたくない"っていうところが1番大きいんじゃないですかね。なんか残したいんだと思うんですよね。その日、何かを残したいっていうところを突き詰めた形やったと思うんですけど、そもそもは。あとはまぁ、知ってもらいたいっていうところを突き詰めた形でもあるし。

U太:"コミックバンド"っていうのは、意地でもあり、プライドでもあり(笑)。もちろん十字架でもあるし......でも、何かに対するアンチテーゼというか、パンク精神みたいなものはあると思うんですよね。"舐められたくない"っていう気持ちがめちゃくちゃあるんですよ。誰よりも楽しませたいし、かといって、曲を馬鹿にされたらシバいたろうかって思いますし。そうやって、いろんな要素があって、それをギュッとしたらこういうスタイルになってしまったっていう(笑)。だから、今の自分たちがあるのは結果論でしかないというか。何を考えても、いろんなことがこのバンドには当てはまるし、いろんなことが当てはまらないから、どう考えてもゴールは出ないバンドだし。だから実際、このバンドを続けているのって、すごいバランスやと思うんですけど(笑)。

北島:笑いでコーティングしてるだけのようにも見えるしね。パンク・スピリッツ的なものを笑いでコーティングしてるんだけど、その素材がねっちょりしてるっていう(笑)。"いい曲を歌いたい"っていう気持ちも笑いでコーティングしていて、それを離すことはできない、みたいな。イメージ的にはそんな感じですかね。

-アンチテーゼという言葉に関していうと、四星球は何に対するアンチテーゼなんだと思いますか?

U太:何に対してなんでしょうね? でも、腹立ちまくってるんですよ。こんなことあんまり言わないですけど......別に、大きなことを言うようなバンドではないんですけど、今の音楽に対してっていう部分もあると思うし。"なんやそれ、ええなぁ"みたいな、アンチというよりは嫉妬かもしれないですけど(笑)。でも、"うちらの方がいいから、近い奴からやっつけたろ"って思って、パッと武器取ったら、変なしゃもじだったっていう(笑)。でも、しゃもじの先がどんどん尖っていったんでしょうね。まぁ、矛盾がいっぱいあるバンドだと思いますよ。舐められたくないけど笑わせたいし、ええ曲歌いたいけど笑われたいし。矛盾と矛盾が重なってますよね。結構、考えてるバンドやと思うんですけどね(笑)。でも、こっちの場合もあっちの場合もって、いろんなことを考えてるから、それが重なったときに、矛盾が出てくるっていう。

まさやん:欲張りやし、恥ずかしがりなんやろうね。剛速球投げるのは恥ずかしいから、球自体は面白いもん投げつけたろう、みたいな(笑)。"速ぇ、でもなんじゃこれ!"みたいな。