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INTERVIEW

Japanese

Poet-type.M

2015年04月号掲載

Poet-type.M

Member:門田匡陽

Interviewer:石角 友香

-そうですね。ところで今回のこの春編は想像していたより軽快でした。

あ、そうですね。うん。それはこないだのライヴとはまたガラッと違う1枚になってると思うんですけど。やっぱり入口として今回は特にそこに気を遣いました。いきなりディープなものを出さないで、やっぱり最初は、ここで初めてPoet-type.Mを聴く人に対して閉じたくないなって気持ちはありました。僕みたいなこういう考え方で音楽やってると、すごくなんかこう、門を狭く捉えられがちになってしまうから、そこはやっぱり音で......なんて言うんだろう? みんなから拒否されないようにっていうか(笑)。

-萎縮しないようにと。驚くほどメジャー・キーだし、音数自体は少ないわけじゃないけど、音色が選ばれてるなと感じたし。

うん。音で景色を表現することは曲作りの段階でもかなり意識しました。ただ、この春編に関しては、わりと80'sに近い感覚で作ってるところはあるんですけど、Poet-type.Mの音楽がイコールそうなのか?と言ったら全然そういうわけではなくて。僕にとっての"春"のイメージがこういう音像だったんです。だからこの後に続く夏・秋・冬編はどの作品もまったく違った雰囲気になってくると思います。

-音像はまさにそうですね。Track.1の「唱えよ、春 静か(XIII)」は、意思表明的でこのシリーズ自体の1曲目らしい内容ですね。

はい。"サーティーン"という、まぁあだ名を持ったある少女がいて、この『(A Place,)Dark & Dark』全体が群像劇なんだけど、恐らくこのサーティーンの目線っていうのが常にあるんだろうなと思ってます。

-サーティーンって年齢の比喩ではなくて?

サーティーンは、ま、13じゃないですか。13は数字としてはあんまり縁起のいい数字じゃないですよね。僕の中ではこの、"サーティーン"は周りに溶け込めなくて、周りから浮いている女の子のニックネームなんです。その女の子こそ、まさに今の"Poet-type.M"ですね(笑)。あとは、僕1月30日生まれなんですけど。それでなんだか、1と3......13っていう数字に縁を感じているんですよ。自分にとってはアナグラムみたいなものもあって、ちょっと愛着がある数字なんです。

-そして結構YESとNOの観念というか。YESとNOをどう捉えてるのかがわかる曲が多く出てきますね。

うん。そこが大きなテーマです。この『(A Place,)Dark & Dark』に関しては、何にYESと言って、何にNOと言うか。ま、大きなYESと細かいNOなんですよね。大きなYESだからこその細かいNOというか。そこのコントラストを非常に大事にしたいなと、今の状況では思っています。

-どうとでも捉えられる歌詞もありつつ、そうとしか捉えられないだろうという「救えない。心から。(V.I.C.T.O.R.Y)」という曲もありますが。

そうですね。

-"中身の無い労苦にぶら下がった 一年持たない歌"というくだりとか、この曲で歌われているような状況にある音楽は実際多いですね。

うん。結局、まぁ、さっきの感動の話じゃないけど、音楽にまつわる人たち、ま、ミュージシャンも含めてですけど、送り手側が、どんどんどんどん窮屈にしてしまってるから。"もう、強迫観念じゃないか?これは"って音楽が多いなと思っています。で、そこに対するNOをちゃんとミュージシャンの立場で残しておかないと、結局音楽って文化だから。......僕らが生まれたときにはすでにパンクはあったんですよね。ま、THE BEATLESももちろんいました。でも、そういった存在って、当時はラディカルなものだったはずじゃないですか。でも僕たちは文化の延長線上で途中乗車してくるから、それがもう普通になっている。だから、自分で選択して音楽を聴くとき、パンクを聴いて"すげぇ先進的だ"とかTHE BEATLESを聴いて"こんな音楽、今までなかった"とはならないんですよね。で、ここから何年も未来があったらば、今、僕たちがやってる音楽がそこの礎になってますよね。そうなったときにとにかく今の状況に責任をとれないと思っていて。僕らのやってることは文化だし、そこに対する、そこの一員であるっていうこと、そこにもう少しミュージシャンが目を向けたほうがいいと思っているんです。厚かましいことかもしれないけど。

-何年か経ったら、バンドが盛り上がったんじゃなくて、フェスが盛り上がった時代っていう認識になるかもしれないし。

うん。ただ、もう良くなるんじゃないか?って予感はしてます。やっぱり去年が決定的だったなと思います。僕は音楽をやり始めてからそんなに時間が経ってる方ではありませんが、その中でも去年は決定的な1年だったんじゃないかと。