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INTERVIEW

Japanese

オワリカラ

2011年05月号掲載

オワリカラ

Member:タカハシヒョウリ(Vo&Gt)

Interviewer:島根 希実


-では、その4曲を含めて、このアルバムの中で一番“つきささる曲”といえば?

やっぱり、「swing」じゃないかなぁ……。「swing」はやっぱり、そういう曲なんだろうなと思う。あと、「ベイビーグッドラック」っていうのは、また違う意味で言葉が届くんじゃないかな。自分の気持ちが届くんじゃないかってすごく思ってる曲なので。

-歌詞についてですが、前作もそうでしたが、すごくシンプルですよね。シンプルなフレーズを繰り返したり。

あんまりリアリティのない言葉は使わないようにしようっていうのは思ってて。逆に言うと、NGみたいな言葉もなくそうっていうのは思っているんですよね。例えば、固有名詞とかを僕は割と使うことが多くて。そういうのって、あんまり使わないじゃないですか。音楽であまり使わないと思うんだけど、僕らが日常的に使っている言葉ですごくリアリティを持ってるものを出来るだけ歌詞に使いたいっていう気持ちはやっぱりあるから、そういうところが出てるのかも。

-リアリティという意味で、前回のインタビューでは“オワリカラは2010年の都市に生きる若者の言葉で歌いたい”という発言をされているのですが。本作はどうでしょうか? “リアルな2011年=今”が鳴っていますか?

完全にそうだと思います。2011年のオワリカラそのままだと思うんで。

-“今=現実”ということで……。映画監督のTim Burtonは、自分の作品は“現実をリメイクしている”というような発言をされていたのですが、私はオワリカラの作品にも、これまではそれと似たようなものを感じてました。でも、今回ブログも拝見させていただいて、タカハシさんの日常だったりを垣間見ていく中で、そういった認識が逆転したんです。この作品世界はタカハシさんにとっては、実はとても普通で、素直に思うまま形にしているのかな?と。

そうですね、僕は結構そのままやってるっていうか。かなり正直にやってると思うんですよね。よく言われるんだけど、例えば「夢見る機械」の歌詞には“ショベルカー”が出てくるんだけど、それは奇をてらってやっているっていうよりか、本当に僕はショベルカーとかにすごく哀愁みたいなものを感じるんですよね。だから、僕の中でリメイクしているっていうよりかは、たぶんみんなにとっての現実みたいなものが、僕らを通してちょっと違う形で見えてるような……。でも、それが逆にすごく心地良かったりしたら、それは本望って感じなんですけど。

-正直に、思うままやっているということですが、オワリカラの描く世界って、その独自の視点からの現実を柱にしている中に、俯瞰的な視点も見え隠れするんですね。例えば、初めに用意した原材料が、“現実”や“主観”であったとしても、それをとりあえずテーブルの上に出して並べてみる、一度置いている感じ。あくまでも“材料を元に作る”というか…。

単純に、僕が、“ストレートなもの”って言ったらいいのかな? ただひたすらに、例えば悲しかったら、悲しい悲しいみたいなやつとか……。嬉しいっていうことに対して嬉しい嬉しいっていった音楽を聴いた時に、逆に僕はリアリティーを感じないんですよね。そうじゃなくて、逆に嬉しいも悲しいも一つの大きなものとして捉えてるような見え方っていうのような感じに、僕はすごくしっくりきて。僕、好きなミュージシャンがDavid Bowieとか井上陽水さんなんですけど、彼らの音楽とかに僕が感じるムードみたいなものって……。ただ感情をひたすらに、開けっ広げに渡してくるんじゃなくて、何かワンクッション置いたりすることによってもっと奥が見えてくるみたいなものが、すごく好きで。そういう考え方が完全に染みついちゃってるんだと思うんですよね。だから、そういう風にしようっていうよりかは、そういうものが出てくるんですよ。