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いきものがかり

 

いきものがかり

Writer : 藤坂 綾

どの時代、どの世代にも注がれる温かな光と小さな勇気


2023年、水野良樹(Gt/Pf)と吉岡聖恵(Vo)で新たなスタートを切ったいきものがかりが、ふたり体制として初となる両A面シングル『うれしくて/ときめき』を9月13日にリリースした。『BAKU』(2021年リリース)から約2年半ぶり、両A面シングルとしては『ラストシーン/ぼくらのゆめ』(2016年リリース)以来7年ぶり、34枚目のシングルとなる今作は、今年20周年を迎えるアニメ"プリキュア"とのコラボレート作品で、「うれしくて」は9月15日公開の"映画プリキュアオールスターズF"主題歌として、「ときめき」は"プリキュア"20周年記念ソング/TVアニメ"キボウノチカラ~オトナプリキュア'23~"オープニング・テーマとして起用され、いきものがかりのファンにとってはもちろん、"プリキュア"ファンにとっても喜ばしい作品となることは間違いない。

いきものがかり「うれしくて」(『映画 プリキュアオールスターズF』) Music Video


ここで今一度、彼らの活動について振り返ってみる。1999年2月1日、小、中、高と同じ学校に通っていた水野良樹と山下穂尊(Gt/Hmc)がいきものがかりを結成。地元の厚木、海老名や小田急線沿線で路上ライヴ活動をスタートし、のちにふたりの同級生の妹である吉岡聖恵が路上ライヴに飛び入り参加したことをきっかけに3人での活動が始まる。ちなみにユニット名である"いきものがかり"は、水野と山下が小学校1年生のときに、一緒に金魚に餌をあげる"生き物係"をしていたことによる、というのはファンの間では有名な話だろう。2003年8月25日にアルバム『誠に僭越ながらファーストアルバムを拵えました...』でインディーズ・デビューを飾り、2006年3月15日に『SAKURA』でメジャー・デビュー以降は、「ありがとう」(2010年リリースのシングル表題曲)、「YELL」(2009年リリースのシングル『YELL/じょいふる』収録)、「ブルーバード」(2008年リリースのシングル表題曲)、「風が吹いている」(2012年リリースのシングル表題曲)など数々のヒット曲を世に送り出し、2008年の"NHK紅白歌合戦"初出場以降は親しみやすい楽曲で一気にお茶の間に浸透していく。

いきものがかり 『ありがとう』Music Video


いきものがかり 『YELL』Music Video


メジャー・デビュー10周年の節目を迎え、2017年1月5日に"放牧宣言"を行い、一時活動休止。活動休止期間の2018年には吉岡が初のカバー・アルバム『うたいろ』をリリース。個々での活動、充電期間を終え、2018年11月2日の"集牧宣言"にて活動を再開。2021年3月にはアルバム『WHO?』をリリースなど精力的な活動を続けるなか、同年に山下がグループを離れることを発表。6月10日と11日の横浜アリーナでのライヴ"Yakult ミルミル Presents いきものがかりの みなさん、こんにつあー!! THE LIVE 2021!!!"で3人体制での活動は完結となり、ふたり体制での活動をスタートさせることとなる。昨年2022年はソロワークが中心だった彼らがそれぞれそこで得たものを持ち寄り、パワーアップしての再開となるのが今作『うれしくて/ときめき』であり、デビュー当時から老若男女問わず多くのファンを魅了し続けてきた彼らの最高潮の地点が、今作なのだ。

いきものがかり 『ブルーバード』Music Video


いきものがかり 『風が吹いている』Music Video


"映画プリキュアオールスターズF"の主題歌として書き下ろされた「うれしくて」は、サウンド・プロデューサーに蔦谷好位置を迎えたミディアム・ナンバー。弦楽器の壮大なアレンジときらびやかなサウンドにはドキドキワクワクといった胸の震えが止まらず、愛と勇気に満ち溢れた吉岡のヴォーカルは伸びやかで、どこへでも飛んでいけそうな気分になる。これまでラヴ・ソング、青春ソング、応援ソングと数多くの楽曲を歌ってきたいきものがかりの真価がここにはあり、またそれと同時に彼らの真骨頂でもある1曲。アニメと照らし合わせるとさらにグッときてしまうピュアでまっすぐな歌詞もまた"らしく"、どんなときにも愛だけ持って歌ってきたからこそ歌える歌、響く歌。吉岡の歌と同じく力強いリズムもまた耳に残る。

TVアニメ"キボウノチカラ~オトナプリキュア'23~"のオープニング・テーマとなる「ときめき」は前述の通り"プリキュア"20周年記念ソングとして書き下ろされた楽曲で、サウンド・プロデュースは島田昌典、作詞作曲は「うれしくて」同様水野良樹が担当。「うれしくて」とは打って変わりシンプルな構成ではあるものの、ふたりの人柄を表すかのような清々しさがなんとも印象的、ポップに振り切った1曲である。そしてここで特筆すべきはやはり吉岡の歌だろう。どんな憂いも、どんな喜びをも優しく抱きしめてしまう包容力。そしてそれを大きな力に変えるほんのちょっとの勇気。そのすべてが彼女の歌声にそのまま凝縮されているのだ。どんなポップな歌を歌ってもただポップなだけではないのは、確かな温度を持つこの歌声があるから。その温度がしっかりと流れているからこそこちら側へ伝わるものもあるし、説得力も増す。

1999年の結成から、時代がどう変わろうと、例えばそれが悲しくあっても、嬉しくあっても凛とした姿で立ち続けてきたいきものがかり。どんな時代であっても自らのメッセージを変えることなく歌い続けてきたいきものがかり。根本は変わらずとも確実に深化しているからこそ、どの時代にも、どの世代にも彼らの歌はフィットする。そして、これだけの活動歴があるなかで、ここまでピュアで瑞々しい音楽を届け続けるのは難しいことなのかもしれないが、それでも彼らの音楽がどれだけ年を重ねてもこんなにも瑞々しく響くのは、その土台が変わらずあるから。土台とは、つまりはいきものがかりそのもので、水野良樹、吉岡聖恵そのもの。このふたりに変わらぬ愛とピュアな想いがある限り、それはいつ何時も伝わり続けていく。いきものがかりから注がれるこの温かな光と小さな勇気がここからどこへ繋がっていくのだろうか――『うれしくて/ときめき』を聴きながら、ぜひ想像してみてほしい。こんなにも幸せな景色はないはずだ。



▼リリース情報
いきものがかり
NEW SINGLE
『うれしくて/ときめき』
[EPIC Records Japan]
NOW ON SALE

Q7uceSuA.jpg
©東映アニメーション ©ABC-A・東映アニメーション
【初回生産限定盤】CD+Blu-ray
ESCL-5850~1/¥2,200(税込)
・『プリキュア』書きおろしスリーブケース仕様
・いきものカード061封入
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【通常盤】CD
ESCL-5852/¥1,320(税込)
・いきものカード061封入(初回仕様のみ)
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[CD]
1. うれしくて
2. ときめき
3. うれしくて -instrumental-
4. ときめき -instrumental-

[Blu-ray]
1. うれしくて Music Video
2. うれしくて Music Video -Behind The Scenes
3. ときめき プリキュア20周年PV (Vocal ver.)

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