Japanese
いきものがかり
2024年02月号掲載
Writer : 高橋 美穂
エレクトロ、ヒップホップ、バンド......ジャンルを越えた参加アーティストが鮮やかに、温かに"もの"にした12曲
12組のアーティストが、いきものがかりの楽曲を舞台に新たな世界観を繰り広げる新解釈コラボレーション・アルバム『いきものがかりmeets』が2月14日にリリースされる。
"新解釈コラボレーション"には、いきものがかりの楽曲をサウンド・アレンジはもとより、楽曲構成や歌詞に至るまで自由に改変していいという条件のもと、参加アーティストがそれぞれの解釈を反映させたという意味合いがある。そこにはいきものがかりが貫いてきた"歌は、誰のものにでもなれる"という姿勢があった。"吉岡(聖恵/Vo)が届ける歌声が、水野(良樹/Gt/Pf)がつくりだす楽曲がまだ出会っていない遠い誰かのものになってほしい。路上ライブでスタートしたときから、そんなポップミュージックのミラクルを信じて、愛おしい楽曲たちを送り出してきました"――今作のリリースにあたって、いきものがかりはこうコメントしている。この大らかな"ポップ・ミュージックの定義"のもと活動してきたからこそ、いきものがかりの楽曲は老若男女に聴かれ、歌われてきた。
一方で、この新解釈はかなり攻めているとは思う。でも、参加アーティストが"もの"にした楽曲の新解釈を提示することで、"歌は、誰のものにでもなれる"といういきものがかりの姿勢を改めて知らしめることができる。さらにリスナーも、自分自身の解釈をアップデートすることができる。何より、水野と吉岡はどんな新解釈においても、自分たちの楽曲の良さは失われないという自信を持っていたんだと思う。
ここからは収録順に1曲ずつ触れていこう。まずはAwesome City Clubによる「花は桜 君は美し」。この曲を選んだのは、デビュー前のいきものがかりがライヴで披露しているのを観ていたモリシー。原曲は、2003年にインディーズで発表された『誠に僭越ながらファーストアルバムを拵えました...』に収録されており、2008年1月にはリアレンジ版が8thシングル表題曲としてリリース。新解釈ではatagiとKOHD(agehasprings)の編曲でガラリとダンス・チューンに変貌したようで、儚いジャンル感と歌詞の切ない世界観、そしてPORINの歌声が驚くほどマッチしている。
2曲目は幾田りらによる「ノスタルジア」。原曲は『誠に僭越ながらファーストアルバムを拵えました...』に収録され、2010年にはリアレンジ版が17thシングル表題曲として発表。中野領太(agehasprings Party)の編曲と幾田のまっすぐな歌唱で、2024年版正統派ラヴ・バラードとなった。
ここからは収録順に1曲ずつ触れていこう。まずはAwesome City Clubによる「花は桜 君は美し」。この曲を選んだのは、デビュー前のいきものがかりがライヴで披露しているのを観ていたモリシー。原曲は、2003年にインディーズで発表された『誠に僭越ながらファーストアルバムを拵えました...』に収録されており、2008年1月にはリアレンジ版が8thシングル表題曲としてリリース。新解釈ではatagiとKOHD(agehasprings)の編曲でガラリとダンス・チューンに変貌したようで、儚いジャンル感と歌詞の切ない世界観、そしてPORINの歌声が驚くほどマッチしている。
2曲目は幾田りらによる「ノスタルジア」。原曲は『誠に僭越ながらファーストアルバムを拵えました...』に収録され、2010年にはリアレンジ版が17thシングル表題曲として発表。中野領太(agehasprings Party)の編曲と幾田のまっすぐな歌唱で、2024年版正統派ラヴ・バラードとなった。
3曲目はSUPER BEAVERによる「コイスルオトメ」。原曲は2005年にインディーズでリリースされた『人生すごろくだべ。』収録で、2006年10月にリアレンジ版が3rdシングル表題曲として発売。艶やかな新世代ロック・スター 渋谷龍太(Vo)の手に掛かれば"あたし"という主語の"コイスルオトメ"感満載の歌詞もナチュラルな印象だ。
4曲目は緑黄色社会による「月とあたしと冷蔵庫」。『人生すごろくだべ。』に収録されており、2008年2月にはリアレンジ版が2ndアルバム『ライフアルバム』に収められた。吉岡と長屋晴子は高い歌唱力を持つバンド(グループ)の女性ヴォーカリストという共通点があり、吉岡も作詞に関わった、等身大な女性像が浮かび上がるこの楽曲とも相性がいい。編曲は穴見真吾(Ba)とLASTorderが手掛けている。
3曲目はSUPER BEAVERによる「コイスルオトメ」。原曲は2005年にインディーズでリリースされた『人生すごろくだべ。』収録で、2006年10月にリアレンジ版が3rdシングル表題曲として発売。艶やかな新世代ロック・スター 渋谷龍太(Vo)の手に掛かれば"あたし"という主語の"コイスルオトメ"感満載の歌詞もナチュラルな印象だ。
4曲目は緑黄色社会による「月とあたしと冷蔵庫」。『人生すごろくだべ。』に収録されており、2008年2月にはリアレンジ版が2ndアルバム『ライフアルバム』に収められた。吉岡と長屋晴子は高い歌唱力を持つバンド(グループ)の女性ヴォーカリストという共通点があり、吉岡も作詞に関わった、等身大な女性像が浮かび上がるこの楽曲とも相性がいい。編曲は穴見真吾(Ba)とLASTorderが手掛けている。
5曲目は梅田サイファーによる「SAKURA」。2006年3月にリリースされたデビュー・シングルの表題曲である原曲を生かしながらpeko、KOPERU、KennyDoes、teppei、テークエムが、自身が手掛けたラップを披露し、トラック制作はCosaquが手掛けた。異色のようで、梅田サイファーにとっての「SAKURA」が表現された、エモーショナルな仕上がりだ。
6曲目はTOMOOによる「茜色の約束」。原曲は2007年発売の7thシングル表題曲。小西 遼(象眠舎/CRCK/LCKS)の編曲、編曲補は高井天音となっており、ドラマチックな原曲を崩しすぎずに、グッと聴かせるTOMOOの世界観に寄せたアレンジになっている。
5曲目は梅田サイファーによる「SAKURA」。2006年3月にリリースされたデビュー・シングルの表題曲である原曲を生かしながらpeko、KOPERU、KennyDoes、teppei、テークエムが、自身が手掛けたラップを披露し、トラック制作はCosaquが手掛けた。。異色のようで、梅田サイファーにとっての「SAKURA」が表現された、エモーショナルな仕上がりだ。
6曲目はTOMOOによる「茜色の約束」。原曲は2007年発売の7thシングル表題曲。小西 遼(象眠舎/CRCK/LCKS)の編曲、編曲補は高井天音となっており、ドラマチックな原曲を崩しすぎずに、グッと聴かせるTOMOOの世界観に寄せたアレンジになっている。
7曲目は上白石萌音による「帰りたくなったよ」。原曲は2008年4月にリリースの9thシングル表題曲で、編曲は佐藤直紀が手掛けており、効果的にちりばめられた電子音と生音と無音がシネマチックな世界観を演出。そのうえで、上白石のピュアな声質と豊かな表現力が発揮されている。
8曲目はyamaによる「ブルーバード」。原曲は2008年7月に発表された10thシングル表題曲。新解釈では切ないメロディはそのままに、編曲のtofubeatsがエレクトロにアレンジ。令和のアーティストが先鋭的に落とし込んでも、時代を越えた親しみやすさは息づいている。
7曲目は上白石萌音による「帰りたくなったよ」。原曲は2008年4月にリリースの9thシングル表題曲で、編曲は佐藤直紀が手掛けており、効果的にちりばめられた電子音と生音と無音がシネマチックな世界観を演出。そのうえで、上白石のピュアな声質と豊かな表現力が発揮されている。
8曲目はyamaによる「ブルーバード」。原曲は2008年7月に発表された10thシングル表題曲。新解釈では切ないメロディはそのままに、編曲のtofubeatsがエレクトロにアレンジ。令和のアーティストが先鋭的に落とし込んでも、時代を越えた親しみやすさは息づいている。
9曲目はアイナ・ジ・エンドによる「じょいふる」。原曲は15thシングル『YELL/じょいふる』(2009年9月リリース)収録で、振り切ったポップ・センスを見せつけた。新解釈では、西田修大の編曲とハスキーに弾けたアイナの歌声で、振り切りに拍車が掛かったエッジィな仕上がりになっている。
10曲目はゆずによる「YELL」。原曲は『YELL/じょいふる』に収められ、ゆずと共にトオミヨウが編曲している。ゴージャスなアレンジの核にあるのは力強い歌声とアコギやブルースハープで、ゆず、そしていきものがかりの原点である弾き語りの力が見えてくる。
9曲目はアイナ・ジ・エンドによる「じょいふる」。原曲は15thシングル『YELL/じょいふる』(2009年9月リリース)収録で、振り切ったポップ・センスを見せつけた。新解釈では、西田修大の編曲とハスキーに弾けたアイナの歌声で、振り切りに拍車が掛かったエッジィな仕上がりになっている。
10曲目はゆずによる「YELL」。原曲は『YELL/じょいふる』に収められ、ゆずと共にトオミヨウが編曲している。ゴージャスなアレンジの核にあるのは力強い歌声とアコギやブルースハープで、ゆず、そしていきものがかりの原点である弾き語りの力が見えてくる。
11曲目は伊藤沙莉 × ハンバート ハンバートで「なくもんか」。原曲は2009年11月リリースの16thシングル表題曲。ハンバート ハンバートの佐藤良成(Vo/Gt/Vn etc.)が編曲を手掛けており、温かな歌声と生楽器の重奏が力強い生命の躍動を感じさせる。
12曲目はwacciによる「笑顔」。原曲は2013年にリリースされた26thシングル曲。wacciのメッセージにも通じる原曲のまっすぐさが、久保田真悟(Jazzin'park)の編曲でシティ・ポップな変化球となった。
ジャンルを越えた新解釈から見えてきたのは、いきものがかりの楽曲が名曲揃いであることや、参加アーティストの豪華さだけではない。ポップ・ミュージックは大らかな広さがありながら、予想もつかない進化を遂げていくという、両極を持っている。いきものがかりは、『いきものがかりmeets』でそれを体現したのだ。
11曲目は伊藤沙莉 × ハンバート ハンバートで「なくもんか」。原曲は2009年11月リリースの16thシングル表題曲。ハンバート ハンバートの佐藤良成(Vo/Gt/Vn etc.)が編曲を手掛けており、温かな歌声と生楽器の重奏が力強い生命の躍動を感じさせる。
12曲目はwacciによる「笑顔」。原曲は2013年にリリースされた26thシングル曲。wacciのメッセージにも通じる原曲のまっすぐさが、久保田真悟(Jazzin'park)の編曲でシティ・ポップな変化球となった。
ジャンルを越えた新解釈から見えてきたのは、いきものがかりの楽曲が名曲揃いであることや、参加アーティストの豪華さだけではない。ポップ・ミュージックは大らかな広さがありながら、予想もつかない進化を遂げていくという、両極を持っている。いきものがかりは、『いきものがかりmeets』でそれを体現したのだ。
▼リリース情報
いきものがかり
V.A.
新解釈コラボレーション・アルバム
『いきものがかりmeets』
2024.02.14 ON SALE
ESCL-5911/¥3,300(税込)
・いきものカード065 封入(初回仕様のみ)
1.花は桜 君は美し / Awesome City Club
Sound Produced by atagi, KOHD (agehasprings)
2.ノスタルジア / 幾田りら
Sound Produced by 中野領太 (agehasprings Party)
3. コイスルオトメ / SUPER BEAVER
Sound Produced by SUPER BEAVER
4. 月とあたしと冷蔵庫 / 緑黄色社会
Sound Produced by 穴見真吾, LASTorder
5. SAKURA / 梅田サイファー
Sound Produced by Cosaqu
6. 茜色の約束 / TOMOO
Sound Produced by 小西遼 (象眠舎, CRCK/LCKS)
7. 帰りたくなったよ / 上白石萌音
Sound Produced by 佐藤直紀
8. ブルーバード / yama
Sound Produced by tofubeats
9. じょいふる / アイナ・ジ・エンド
Sound Produced by 西田修大, 君島大空
10. YELL / ゆず
Sound Produced by トオミヨウ, 北川悠仁
11. なくもんか / 伊藤沙莉 × ハンバート ハンバート
Sound Produced by 佐藤良成
12. 笑顔 / wacci
Sound Produced by 久保田真悟 (Jazzin'park)
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