Japanese
吉岡聖恵
2022年01月号掲載
ライター:石角 友香
ジャンルの好みや時代を飛び越えてくる歌声というものは存在する――それを2000年代以降のJ-POPで実感させてくれたのが、いきものがかりでの吉岡聖恵の歌唱だった。彼女が満を持して、ソロ活動を始動。先行配信リリースされた初めてのオリジナル新曲「まっさら」をタイトルに冠した、1stシングルが12月22日にリリースされた。
00年代~10年代のJ-POPを代表するグループであるいきものがかりだが、ティーンエイジャーのリスナーにとっては名前を知った頃、彼らはまさに活動休止中(放牧期間)だったかもしれない。この機会に少しおさらいしてみようと思う。1999年に水野良樹(Gt)と山下穂尊(Gt)が結成した母体のグループが行っていた、相模大野駅前のストリート・ライヴに吉岡が飛び入り参加したことをきっかけにスタートしたいきものがかり。「ブルーバード」や「帰りたくなったよ」を収録した、2008年の3rdアルバム『My song Your song』でオリコンのチャート1位を獲得し、同年の"第59回NHK紅白歌合戦"に初出場。以降もドラマ"ゲゲゲの女房"主題歌「ありがとう」や、"NHKロンドンオリンピック・パラリンピック放送テーマソング"として書き下ろした「風が吹いている」など、全世代が知っていると言っても過言ではない楽曲をリリース。加えて、アルバム評価の高いグループでもあり、『My song Your song』を皮切りに『ハジマリノウタ』(2009年)、『NEWTRAL』(2012年)、『I』(2013年)、『FUN! FUN! FANFARE!』(2014年)の5作連続、オリコンのアルバム・チャート1位を獲得している。幅広いファン層を持ち、2011年には横浜スタジアムでのライヴを開催するなど、大会場での吉岡のパワフルなパフォーマンスもファンにはおなじみに。2017年にメジャー・デビュー10年の節目を終え、"放牧宣言"として活動休止を発表。この期間に吉岡は初のカバー・アルバム『うたいろ』(2018年)をリリースしている。そして2018年11月3日より、いきものがかりとしての活動を再開。2021年3月には9枚目のオリジナル・アルバム『WHO?』をリリースしたが、6月に山下が芸能活動から身を引くことを発表。6月10日、11日の横浜アリーナでのライヴ"Yakult ミルミル Presents いきものがかりの みなさん、こんにつあー!! THE LIVE 2021!!!"が、3人体制最後のステージとなった。
グループと同世代の30代後半のリスナーや、少し若いアラサー世代にとっては、日常を彩る名曲の数々が今も寄り添っているだろうし、上の世代にとっても、テレビ/メディアを通してポップ・ソングが共有されていた最後の時期の曲という印象が強いだろう。現在のいきものがかりはそうした普遍的なポップ・ソングを、新曲においてはアップデートし、引き続き送り出している。水野が"考える場、つながる場、つくる場"として主宰する"HIROBA"の立ち上げの際の2019年4月、まず彼が対談に迎えたのはメンバーである吉岡。そこで吉岡こそが"広場"のような存在だと話していたことは、彼女のグループでの立ち位置のみならず、人としての核心でもあったように思う。
いきものがかりとは同期の秦 基博だから共有できた吉岡の歌詞作りのベクトル
前段が長くなってしまったが、吉岡聖恵のソロ・キャリアは他アーティストのカバーからスタートした。"放牧中"の2018年、『EIICHI OHTAKI Song Book Ⅲ 大瀧詠一作品集Vol.3「夢で逢えたら」(1976~2018)』に、様々なアーティストに歌われてきた「夢で逢えたら」で参加したことを契機に、同年10月には同曲も含むカバー・アルバム『うたいろ』をリリースしたことで、ソロ・アーティスト、ヴォーカリストとしての持ち味を発揮。「少年」(ゆず)、「アイネクライネ」(米津玄師)、「初恋」(村下孝蔵)、「冷たい頬」(スピッツ)、「500マイル」(PETER, PAUL AND MARY)、「糸」(中島みゆき)、「ヘイヘイブギー」(笠置シヅ子)、「さらば恋人」(堺 正章)、「哀しい妖精」(南 沙織)、「World In Union」(Kiri Te Kanawa)、「夢で逢えたら」(吉田美奈子)という、3世代が楽しめるような選曲に正直驚かされた。だが、吉岡が歌うとまるで彼女のオリジナルのようにどの曲もニュートラルで、記憶に刻まれたメロディも初めて接するような新鮮さを伴っていたのだ。妙に背伸びすることなく、メロディと歌詞が持つ力をそのままスッと差し出せる才能と言ったらいいだろうか。もちろん、30代半ばになった当時の彼女だからこそ歌える作品を選んだことも良質のカバーに結実した理由だろう。子供の頃から歌うのが好きで好きでたまらなかった女の子がすくすく育った素直さもあり、人間として経験を重ねた良さもある。
2020年5月からは、彼女が親しんできた童謡や、唱歌の素晴らしさを紹介する"吉岡聖恵の毎日がどうよう日 ~家族で歌おう!~"が公式YouTubeチャンネルでスタート。ejiのピアノ伴奏としろくまななみんのイラストでシンプルに構成されたこのシリーズは、吉岡の楽しそうな歌声が印象的。活動の幅を徐々に広げていることも実感できる機会となった。
そしてついに初のソロ・オリジナル楽曲「まっさら」の先行配信が、2021年11月29日からスタートした。作曲はいきものがかりとデビュー年が同じで、イベントやテレビ出演など様々な機会に交流を深めてきた秦 基博が担当。作詞は吉岡が、秦が上げてきたデモを聴いた際、イメージが明確に浮かび上がったことから自らペンを取ることに。編曲は秦とトオミヨウが手掛けている。初めてこの曲を聴いた際、おそらくほとんどの人が耳を惹かれるのはイントロのシグナルのようなフレーズ(リフ)だろう。誘うように曲中でも大事な役割を果たすこのフレーズと、16ビートのミディアムの横ノリのグルーヴが、ソロの新しい幕開けに意外な親和性を感じさせる。そして何より書きたいことが浮かんだというだけあって、一歩踏み出す心境を自分の言葉で綴った歌詞が、この曲の見晴らしの良さを確かなものにしたのではないだろうか。タイトルの"まっさら"のワードがすぐに浮かんだそうだが、秦とのやりとりの中で、前向きな心情に至るプロセスも組み込むとより思いが伝わるのでは? というアドバイスを取り入れ、2番の"望まれた私を演じてた/本当はただ 怖かった"というソロならではの自分のストーリーを書いたのだとか。歌詞のビルドアップについてはCDに付帯するDVDで秦との対談を見ることができる。それにしても"新しいメロディー まだ見ぬ景色よ/私を待っていてね"という部分は吉岡聖恵ならではだ。歌うために生きているというと暑苦しいが、生きていくなかで出会うメロディに期待と喜びが止まらない人なのだと思う。
カップリングにはTULIPの名曲「夏色のおもいで」のカバーを収録。同曲は作詞家、松本隆の作詞活動50周年トリビュート・アルバム『風街に連れてって!』にも収録され、話題を呼んだ。ちなみに同曲は吉岡の母親の青春時代の思い出の曲だそうで、時を超えてひとつの曲が親子を繋いだ奇跡を喜ぶ姿を、ライヴ映像で見ることができる。そう。今回、同梱されるDVDの内容は盛りだくさんで、「まっさら」のミュージック・ビデオとメイキング、前出の秦 基博との出会いや制作に関する充実した対談、さらに12月18日に配信されたばかりの、ソロとしては初の配信イベント"吉岡聖恵×THE PREMIUM MALT'S プレミアムナイト~プレミアムな泡(Hour)ー!!!~"を収録。「まっさら」のライヴ初披露や、カバー、NakamuraEmiを迎えての「YAMABIKO」や、橋口洋平(wacci/Vo/Gt)との「別の人の彼女になったよ」など、様々な表情が堪能できる。
どんなテーマでも浸透力の高い歌にストレートに昇華できる吉岡聖恵が、今ここから何を歌っていくのか、興味は尽きない。
▼リリース情報
吉岡聖恵
ニュー・シングル
『まっさら』
NOW ON SALE
[EPIC Records Japan]
【通常盤】(CD+DVD)
ESCL-5606~7/¥2,200(税込)
amazon
TOWER RECORDS
HMV
※三方背スリーブケース仕様(初回仕様のみ)
※オリジナルプレート「まっ皿」が当たる応募抽選ハガキ封入(初回仕様のみ)
[CD]
1. まっさら
2. 夏色のおもいで
3. まっさら (Instrumental)
[DVD]
1. まっさら (Music Video)
2. まっさら (Music Video -Behind The Scenes)
3. 吉岡聖恵 × 秦 基博 Talk about "まっさら" ※対談映像
4. 吉岡聖恵 × THE PREMIUM MALT'S プレミアムナイト 〜プレミアムな泡(Hour)ー!!!〜 (Live Video)
夢で逢えたら
夏色のおもいで
アイネクライネ
YAMABIKO (NakamuraEmi × 吉岡聖恵)
少年
キミがいる
まっさら
別の人の彼女になったよ (橋口洋平[wacci] × 吉岡聖恵)
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