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INTERVIEW

Japanese

THE BAWDIES

2010年04月号掲載

THE BAWDIES

Member:MARCY (Dr & Cho) / TAXMAN (Gt & Cho & Vo) / ROY (Vo & Ba) /JIM (Gt & Cho)

Interviewer:佐々木 健治

THE BAWDIESが痛快なシングル『HOT DOG』に続いて発表するメジャー・セカンド・アルバム『THERE’S NO TURNIN’ BACK』。これまでのTHE BAWDIESのアルバムには統一されたムードがあったが、今作ではそれぞれ個性豊かなメロディとサウンドを持つ楽曲が並ぶ。多彩でありながら、そのどれもが今のTHE BAWDIESにしか鳴らせないロックンロール・アルバム。ロックンロールを自然体で楽しむTHE BAWDIESの笑い声が音から聴こえてくる。

-アルバム『THERE’S NO TURNIN’ BACK』を聴かせていただいたんですが、アルバムの話を伺う前にシングル『HOT DOG』に収録されている「Rocks」のカヴァーについて、凄くいいカヴァーだと思うんですけど、ほとんどアレンジは原曲と同じですよね。

ROY:同じです(笑)。コピーしてみたんです。だけど、それが既にカヴァーになっていた。

-なるほど。

ROY:一発目にセッションした段階で、ほぼあの状態だったので。それは、もうTHE BAWDIESのサウンドが確立されているからこそ、コピーがカヴァーになってしまうっていうのは素晴らしいことだと思ったので、これはこのままの形でやってみようと。そのままやらさせてもらったので、特に特別なことはしていないというか。

JIM:そうだね。「Rocks」に対して感じている魅力が、下手に変える必要のない魅力だったと思うんですよね。もうROYがシャウトしているだけで成立してしまうような感じだったので。

ROY:僕とBobby Gillespieのヴォーカル・スタイルが正反対なので、それでいいかなって。

TAXMAN:そこが楽しめればいいんじゃないかなと。

-同じなのに、あれだけ違うっていうのは凄いと思ったんですけど、何で「Rocks」だったんでしょう。

ROY:ロックンロールをカヴァーでやりたいなっていうのがあって、僕等が聴いている音楽、50年代から70年代のロックンロールをやったところで、あんまり面白くないと思って。現代のロックンロールって考えた時に、ルーツ・ミュージックに出会う前によく聴いていたPRIMAL SCREAMの「Rocks」っていうのが話の中で出てきて、それいいってなって。しかも、僕ずっと気になっていたんですけど、Bobbyの後ろで黒人の女性がコーラスで歌っているじゃないですか?いつも、あっちの方に目がいってしまうんですよ(笑)。

-(笑)なるほど。

ROY:あの人が前に出てきて、「Bobby、どけ」ってなったらどうなるのかって言うのを聴きたいと思って。その感覚を、BobbyをTAXMANにやってもらって、後ろでコーラスしてくださいと(笑)。それで、やっぱり現代のロックンロールの中でも、PRIMAL SCREAMの中でも、60年代、THE ROLLING STONESへのオマージュであったり、そういうものが出ていると思うから。それを逆に60年代的な感覚が基本にある僕等が返すとどうなるのか。それはまた面白いんじゃないかなと。60年代のバンドには、絶対にできないカヴァーだから、僕達がやったら楽しいんじゃないかと。

-なるほど。それで、アルバムですが、『THIS IS MY STORY』はもっと統一されたものがあったじゃないですか。だけど、今回は曲のスタイルや、参照点という言い方が正しいのかどうか分からないけれど、そういうものがかなりばらけていますよね。イメージとしては、THE ROLLING STONESだと『Exile on Main St.』というか。「Rocks Off」や「Rip This Joint」もあれば「Tumbling Dice」も「Sweet Virginia」とか「Shine A Light」もあるし、「Happy」もあるっていう。どうしてこういうアルバムになったんでしょう?

ROY:僕達はこれまでオリジナリティを出さないって言うことをずっとやってきたわけで、『THIS IS MY STORY』でようやく自分達らしさを出すっていうことをやったので。僕達のルーツ感は自然と出るから、ルーツ感は強調しなくてもいいっていうことをNAOKIさんから習って、自然にやろうと。そうした結果できたのが、『THIS IS MY STORY』だったんですけど、もっと自由にやっていいんじゃないかなって思ったのが、『It’s Too Late』だったんです。例えば、コード進行がロックンロールと関係ないとか、全く違うコード進行があっても、これはロックンロールじゃない、ソウルじゃないって思ったとしても、僕達がやれば、それはTHE BAWDIESのロックンロールになるんだって思ったのが『It’s Too Late』だったし、それは凄く自信になったので。例えば、全く違うメロディ・ラインが出来ても、これまでだったらこれを俺等でやれるかなって言う。どうやって歌おうかとか、この曲に合うように歌ったら、それはソウルじゃないし、違うんじゃないかとか。そういう気持ちがあったんですよね。だけど、今回は何が出てもいいじゃんって思えて。いいメロディだったら、それをやってみようと。やってみたら、絶対にTHE BAWDIESになるから、とにかく自由に出てきたものをやってみようと。だから、作曲の能力が上がったとか、幅が広がったわけではなくて、僕達の表現力が上がって、自由度が増したから、いろいろな曲が出来るようになったと思うんです。今回出てきたメロディ・ラインの感じは、もともと持っていたものだし、それを自然に表現できる演奏力がついたからこそ、幅が広がった。これまでは、向かっている方向が同じだったから、似た曲が多かったと思うんですよ。得意、不得意が関係なくなったっていうのが、今回のアルバムのバラつき・・・いい意味でのバラつきに繋がったんじゃないかなと。